第52回日本理学療法学術大会

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[ED-1] シンポジウム 理学療法士教育における剖出を伴う人体解剖学実習を考える

2017年5月12日(金) 16:00 〜 17:30 B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

座長:河上 敬介(大分大学福祉健康科学部福祉健康科学科理学療法コース/人体解剖学実習検討ワーキンググループ)

日本理学療法教育学会企画

[ED-1] 座長より

河上 敬介1,2 (1.大分大学福祉健康科学部福祉健康科学科理学療法コース, 2.人体解剖学実習検討ワーキンググループ)

医学の進歩に伴い,理学療法士に要求される知識は以前と比べ物にならないほど高度になった。よって,理学療法学の礎を構築する解剖学においても,見学実習だけではなく,剖出を伴う人体解剖学実習(以下,剖出解剖学実習)や研究の要望が高まり,実施している機関も増えている。しかし,我々の行う剖出解剖学実習は死体解剖保存法の観点からグレーな状況が続いている。よって,「解剖学を教育する・研究する」という医師教育と同様の目的で実施している我々においても,また受け入れ側の解剖学教室の先生方においても,常に心配を伴う状況にある。一方25年前,日本解剖学会のコメディカル教育委員会が,本件の是非に関して厚生省に問い合わせたところ「必要としている職業団体からの公式な依頼や意思表示がない状況では検討に値しない」という尤もな回答をいただいたという話を伺っている。「時間と労力のかかる法改定ではなく,サージカルトレーニングの様な,法の解釈に対する見解変更で対応できるはずだ」という貴重な意見もいただいている。
そこで,日本理学療法士学会 人体解剖学実習検討ワーキンググループでは,学会としての公的な要望を行う準備を進めてきた。その成果の一つとして,第122回日本解剖学会総会・全国学術集会(2017.3 長崎)において,コメディカル教育委員会と共同でワークショップ「メディカルスタッフ教育に対する剖出をともなう人体解剖学実習を考える―理学療法士教育を例に―」を開催する運びとなった。
今回のシンポジウムでは,日本解剖学会から澤口朗先生(コメディカル教育委員会委員長)と松村讓兒先生(日本解剖学会理事,篤志解剖全国連合会会長)をお招きし,人体解剖学実習検討ワーキンググループの荒川高光先生,日高正巳先生とともにワークショップの成果を報告する。更にその成果を発展させ,我々の剖出解剖学実習が気持ちよく実施できる環境整備のための議論を深めたい。