第52回日本理学療法学術大会

講演情報

日本心血管理学療法学会企画 » シンポジウム1

[HT-1] シンポジウム1 How to get accepted in a competitive journal~質の高い国際誌にアクセプトされるには~

2017年5月12日(金) 11:00 〜 12:00 B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

座長:井澤 和大(神戸大学生命・医学系保健学域), 座長:神谷 健太郎(北里大学病院リハビリテーション部)

日本心血管理学療法学会企画

[HT-1-1] 加齢医学分野での経験から

山田 実 (筑波大学大学院人間総合科学研究科)

理学療法領域における研究を対外的に報告していくことは重要であり,このことは学問としての理学療法の質を高め,専門職の地位向上にもつながる。理学療法は,諸先輩の尽力により学術的な理論背景の整備がなされ,学問の体系化,職域の拡大が進んできた。今後は,さらに国際的視野に立ち,世界の理学療法を牽引していくような学術活動も必要とされるだろう。その中で,理学療法に関わる種々の研究成果を国際誌で発表することの意義は大きい。

世界随一の長寿国である我が国において,加齢医学分野の研究成果は各国の研究者より注目されている。例えば,介護保険は一部の国でしか導入されていない制度であるが,他の先進国でも高齢化は深刻な問題であり,この介護保険に関連した調査研究に対する関心度は高い。これ以外にも,認知症,骨粗鬆症,サルコペニア,フレイルなどの老年症候群は世界共通の関心事であり,日本で実施されているような先進的な取り組みは各国の研究者の興味を惹く内容となっている。

このように,我が国には世界から注目されるような課題は多くあり,国際誌で発表できるチャンスは多分にある。ただし,このチャンスを活かすためには,適切な研究デザインを組んでおくという過程が必要であり,質の高いデザインこそが学術誌に掲載されるために必要不可欠な要素となる。しかし,質を求めるがあまり現実的に実施が困難なデザインとなる場合もある。実現可能レベルをしっかりと見定めた上で,指導者や周囲の研究者,同僚らと共に,研究デザインについて十分に検討し合うことこそが国際誌での成果発表につながるだろう。

Yamada M, et al., Predictive Value of Frailty Scores for Healthy Life Expectancy in Community-Dwelling Older Japanese Adults. J Am Med Dir Assoc 2015, 16, 1002.e7-11.
Yamada M, et al., Prevalence of sarcopenia in community-dwelling Japanese older adults. J Am Med Dir Assoc 2013, 14:911-5.