The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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学会企画(研究安全・学術倫理委員会企画) » 教育講演

[JS-10] 教育講演 研究倫理の考え方―理学療法学領域における研究倫理―

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

司会:青山 誠(手稲渓仁会病院リハビリテーション部)

学会企画(研究安全・学術倫理委員会企画)

[JS-10] 研究倫理の考え方―理学療法学領域における研究倫理―

望月 久 (文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科)

研究倫理には,研究対象者の安全や権利の保護と,研究の適正な実施の2つの目的があります。具体的には,①研究対象者への説明と主体的な意思に基づく研究への参加,②研究に伴うリスクへの対応,③研究対象者の個人情報の保護,④捏造・剽窃がないこと,⑤利益相反に関すること,⑥研究の実行過程および終了後のモニタリングと報告,などが含まれます。これらについて,第三者として適切性を判断する役割をもつのが倫理審査委員会です。倫理委員会の承認を得ることは,研究者自身が安心して研究を行う上でも重要です。

理学療法学領域において,研究倫理が強く意識されだしたのはこの10年のことです。2000年に発刊された「理学療法学」の執筆要綱では,「対象者の保護には十分留意する」と記載されているだけです。2007年に「倫理的な配慮に関する記述をすること。」と一部改訂がありました。2009年には利益相反と研究倫理が項目として加わり,「厚生労働省の『臨床研究に関する倫理指針』などに従うこと。倫理審査を受けて承認されている場合には承認番号を記載すること。」と改定されました。そして,2017年より「研究にあたり,所属研究機関あるいは所属施設の倫理員会ないしはそれに準ずる機関の承認を得ることを必須とし,倫理審査委員会名および承認番号(または承認年月日)を必ず記載すること。」と改定されています。

このような「理学療法学」の研究倫理に関する記載の変遷の基軸には,「疫学研究に関する倫理指針(2002年)」,「臨床研究に関する倫理指針(2003年)」,そして2015年に両者を統合して施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」があります。

本講演は,研究倫理に関する歴史的変遷,研究倫理に関する基本的用語の解説,本年度より開始される理学療法士協会の倫理審査の紹介を通して,理学療法学領域における研究倫理について理解を深めることを目的としています。