The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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大会企画 » シンポジウム1

[JS-3] シンポジウム1 臨床で学術活動をどのように推進・実践するか

Fri. May 12, 2017 1:30 PM - 3:00 PM A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

座長:久保 晃(国際医療福祉大学理学療法学科), 座長:中山 恭秀(東京慈恵会医科大学附属病院)

大会企画

[JS-3-2] 回復期での臨床学術活動

生野 公貴1,2 (1.西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部, 2.畿央大学大学院健康科学研究科)

平成27年度に回復期リハビリテーション(以下,リハ)病床は全国で77102床となり,現在多くの理学療法士が勤務する領域となっている。リハ医療において,回復期は疾病により生じた機能障害の可能な限りの回復と,適切な代償手段の学習によりADLやQOLの向上を図る極めて重要な期間である。したがって,それらの発展を企図した研究は理学療法士の責務である。しかし,本邦の回復期リハ領域で実施される学術活動は,質および量を満たす十分なものなのであろうか。

この問題を打開するために,3つのレベルで問題提起をしたい。第一に,個人レベルの問題である。学術活動を推進する上で,個人の能力が必要なのはいうまでもないが,何より重要なのは問題意識の定着化であろう。日々の臨床での症例の病態分析,仮説検証作業が理学療法研究の原点といっても過言ではない。これらを推進するような自己学習,あるいは教育システムが重要となるであろう。第二に,施設レベルの問題である。回復期リハ病棟を運営している病院の多くは円滑なリハ提供のため,堅実なシステムが敷かれている。このシステムは管理運営上有益である一方で,個々の療法士の自由度が制限される場合もある。研究によっては,倫理的問題のため業務外で実施する場合が多々存在する。それらを許容する,あるいは支援するシステムは当該施設のみならず関係する組織も構築する必要がある。第三に,医療レベルの問題である。回復期脳卒中に絞って考えると,現在自然回復を凌駕するリハ介入は極めて少ないとされている(Krakauer, et al., 2012)。特に,リハ医療では基礎研究と臨床研究が結びついた研究が極端に不足している。大学や研究所などの研究機関,企業,病院など本格的な産学医工連携による共同研究が望まれる。これら種々の問題点に対して当院が具体的に取り組んでいる現状を紹介し,学術活動の推進の一助となれば幸いである。