The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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[JS-7] ミニシンポジウム 女性研究者が活躍するには

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

座長:牧原 由紀子(国際医療福祉大学成田保健医療学部理学療法学科)

大会企画

[JS-7-1] ライフイベントと物理的・認知的側面

鈴木 里砂 (常葉大学健康科学部静岡理学療法学科)

女性研究者がライフイベントを通じて遭遇する壁には,結婚,出産,育児,そして介護問題に関することがある。

筆者が研究活動と出産,育児を両立する際には,物理的(主に時間的)問題と認知的問題に直面した。日本の社会システムでは,母親に求められる役割が多く,保護者役員もほとんどが母親である。土日の行事も多くあり,急な病気に対する対応も求められる。深夜及び宿泊を伴う実験や学会参加は,協力者の存在がなければ難しい。

物理的問題を解決するには,多大な家庭内外の協力者の存在が必要である。協力が得られても,母親としての責務を充分果たしていないのではないかという自責の念に捉われ,研究活動への時間配分を減らすべきか悩むことも多い。そして,筆者は共同研究者の研究実施時間帯への協力体制,さらに研究が職務として認められる環境にも助けられている。研究が職務として認められなければ,就業時間外に研究活動の全てを実践することとなり,育児との両立は非常に困難なものとなるであろう。

認知的問題については,育児では子供の訴えや変化に応じ,臨機応変な対応をしなければならず,即時的な行動が求められる。しかしながら,研究を遂行する上では,集中して取り組むこと,そして論理的思考が必須である。この両者を同時に成立させることは,非常に心身への負荷が強く,筆者は疲労を強く感じることが多かった。同時に,研究活動を継続していく上では,周囲の環境の整備だけでなく,それ以上に女性自身の研究に対する意識改革の必要性も痛感する。

しかしながら,様々なライフイベントを経験することで,新たな視点を持つことが出来ることも事実であり,研究を実践する上でプラスとなる面も確実に存在する。

今回のシンポジウムでは,筆者自身の経験や周囲の男女研究者の意見を踏まえ,ジェンダーを超え,女性研究者が活躍する土壌がつくられるには,どのようなサポートや意識改革が必要か考えたい。