第52回日本理学療法学術大会

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[JS-7] ミニシンポジウム 女性研究者が活躍するには

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

座長:牧原 由紀子(国際医療福祉大学成田保健医療学部理学療法学科)

大会企画

[JS-7-2] 新たな一歩を踏み出すために

井上 倫恵 (名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻理学療法学講座)

筆者は大学卒業後,博士課程(前期課程),博士課程(後期課程)に進学した経験をもつ。特に博士課程(後期課程)への進学を決心した際には,身近に女性研究者のモデルケースが少なく,どのようにキャリア形成をしていけばよいのかイメージし難く,不安が非常に大きかったことを覚えている。博士号取得後は大学院で研究対象としていたウィメンズヘルス分野において臨床経験を積むことができ,これらの経験はその後のキャリア形成の基盤となっている。現職にキャリアチェンジする際には,今後自身に様々なライフイベントがあると推測される限りチャレンジすべきではないのではないかという考えと,それでもチャレンジしたいという思いとの葛藤があった。このような葛藤のなか新たな一歩を踏み出せたのは,自身がどうありたいかというキャリアアンカーが明確であったこと,さらに,これまでに自分にとってモデルケースとなる多くの女性研究者と出会うことができたことが重要であったと実感している。女性研究者を目指す方には,キャリアアンカーを具体的にイメージすること,自分にとってのモデルケースをもつこと,そして,自分の中で制限をかけずに挑戦することを推奨したい。
名古屋大学においては男女共同参画室が設置されており,女性研究者に対する「研究支援」,「子育て支援」ともに非常に恵まれた環境下にある。女性研究者が様々なライフイベントを乗り越えながらも学び続け,研鑽を重ねていくためには,「学会における託児室の設置」などの支援も望まれる。また,女性研究者に限らず,若手研究者にとっては「留学支援」も必要な支援であると考える。
本シンポジウムでは,キャリア形成について自身のターニングポイントとなった経験も交えて紹介し,キャリアアップに向けて望まれる支援制度について提言する。本シンポジウムが研究者を目指す女性が新たな一歩を踏み出す一助となれば幸いである。