第52回日本理学療法学術大会

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[JS-9] シンポジウム2 世界へ挑戦しよう―海外留学のすすめ

2017年5月13日(土) 16:00 〜 17:30 A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

座長:西田 裕介(国際医療福祉大学成田保健医療学部理学療法学科)

大会企画

[JS-9-3] 国際協力経験から考える理学療法士のキャリア形成

志村 圭太 (国際医療福祉大学成田保健医療学部理学療法学科)

「いつか海外で自分の専門性を生かした仕事がしてみたい!」そう思ったことことはないでしょうか?海外を拠点に理学療法と関わる選択肢のひとつに独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊への参加があります。青年海外協力隊事業の目的は,開発途上国の経済・社会の発展,復興への寄与,友好親善・相互理解の深化,国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元とされています。南米ボリビア多民族国の地方農村部の公的病院に理学療法士として派遣された私の青年海外協力隊員としての国際協力活動は,現地の理学療法士からのこんな一言で始まりました。

「僕らは別に困っていないけど,君は地球の裏側から何をしに来たの?」

多くの隊員は(私も含め)意気揚々と乗り込んで行くものの,実際に現地へ行ってみると様々な困難に遭遇します。私のケースでは,配属先に理学療法対象者がいない,技術移転をする相手がいなくなるなどの問題に直面しました。その他にも物質的な不足,異文化の衣食住への不慣れ,コミュニケーション不足など,挙げればきりがありません。しかしそんな中でも,同じ国あるいは同じ任地に赴任した別の隊員と協力しながら課題を見つけては解決方法を考え,現地の人と時にはぶつかりながらも信頼関係を築こうとする中で,問題解決能力,コミュニケーション能力は向上します。また,現地人との関わりの中で祖国を見つめなおし,多様な生き方を学ぶ機会が多く,人間力は高まると考えます。こうした経験を,将来のキャリア形成に生かす方法もあります。本シンポジウムでは,理学療法士の専門性を生かした社会貢献活動の一つである青年海外協力隊への参加経験を取りあげて,実際の活動―生活と行動―を紹介します。その上で,国際協力活動の経験を帰国後どのように生かしてキャリア形成につなげることができるかを考え,理学療法士の職域拡大の可能性を提示します。