The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)企画 » シンポジウム1

[KS-3] シンポジウム1 若手研究者(U39)による最先端研究紹介(1)

Sun. May 14, 2017 9:20 AM - 10:20 AM A2会場 (幕張メッセ国際会議場 国際会議室)

座長:大西 秀明(新潟医療福祉大学理学療法学科)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)企画

[KS-3-2] 運動イメージ・運動模倣の神経基盤を探る

菅田 陽怜 (大分大学福祉健康科学部福祉健康科学科理学療法コース)

理学療法場面で運動イメージや運動模倣が併用されることは多い。そのため,運動イメージや運動模倣に関する神経基盤の解明は,理学療法エビデンスの構築・強化や新たな神経リハビリテーションの開発に直結する。本シンポジウムでは,「運動イメージ」と「運動観察」をキーワードに掲げて,我々がこれまで脳磁図によって見出した知見を紹介する。

①運動イメージ:運動イメージに関する研究は古くから行われており,特に実運動との関連性に着目した研究が多く報告されている。過去のfMRI研究では,筋収縮の運動イメージによって一次運動野や補足運動野,運動前野が活性化することが示されており,運動イメージが実運動と共通の神経基盤を有する可能性が示唆されている。本研究では,この運動イメージについて,これまでに報告がない「脳情報」を用いて,実運動との関連性を見出したので紹介する。

②運動模倣:臨床現場において運動観察が有用であることは知られている。しかし,実際には,目的とする運動の手本をセラピストが示して,患者がその動きの真似をする,という場面も多い。したがって,そこには「運動模倣」の要素が少なからず含まれている。模倣は,他者の意図を推論することによって運動,コミュニケーションおよび社会スキルを学ぶための中心システムであり,近年,ミラーニューロンとの関連性についての報告が増えている。今回,我々は脳律動(脳の周波数成分)の観点から運動模倣の脳内メカニズムを調べ,運動模倣が種々の周波数に特有の神経活動から成ることを明らかにした。この結果は,単なる運動観察よりも「運動模倣」の要素を取り入れるほうがより効果的な理学療法につながるという医学的エビデンスになる可能性がある。