第52回日本理学療法学術大会

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日本運動器理学療法学会企画 » 教育講演1

[MT-1] 教育講演1 軟部組織と神経機能異常に対するエビデンスの現状

2017年5月13日(土) 09:30 〜 10:30 A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

司会:竹井 仁(首都大学東京大学院人間健康科学研究科理学療法科学域)

日本運動器理学療法学会企画

[MT-1] 軟部組織と神経機能異常に対するエビデンスの現状

山内 正雄1,2 (1.徒手理学療法部門, 2.首都大学東京大学院人間健康科学研究科理学療法科学域)

WCPT(世界理学療法士連盟)の下部組織であるIFOMPT(世界徒手理学療法士連盟)は,OMPT(徒手理学療法士)の国際標準化を目指している。そのためIFOMPTは独自の教育基準を持ち,加盟するためにはその教育基準を充たした教育内容で徒手理学療法士を養成していることが条件となる。その教育基準の核となっている項目の一つがEBP(Evidence Based Practice)である。IFOMPTは2008年の教育基準の大幅な改正で,EBPを盛り込み,実技の習得だけでなく研究にも力を入れた大学院教育を推進してきた。そして2016年の改正では,内容自体は大きく変わってはいないが,EBPからEIP(Evidence Informed Practice)へとエビデンスの質を向上させたのが今回の大きな変革である。今後,EIPに対応した徒手理学療法教育ならびに実践が求められてくる。
そこで今回は,軟部組織と神経機能異常に対する徒手理学療法のエビデンスの現状について報告する。軟部組織に対する徒手理学療法には,マッサージ,筋のストレッチング,筋膜に対するアプローチなどがある。今回は,特にマッサージについて検証していく。マッサージには,クリニカルマッサージ,整形外科的なマッサージ,スウェーデン式マッサージ,タイ式マッサージ,スポーツマッサージなど多くの種類がある。そのうち,我々理学療法士の日常の臨床場面においては,整形外科的なマッサージを中心に使用していると考えている。整形外科的なマッサージには,横断(深部)マッサージや機能的マッサージが臨床でもよく使われている。今回は,この整形外科的なマッサージを中心にエビデンスについて報告する。
神経機能異常に対する徒手理学療法は比較的新しい領域で,Robert Elvey氏やDavid S. Butler氏などによって発展してきた。しかし評価においてはスランプテストや末梢神経伸長テスト,治療においては神経モビライゼーションなどよく知られているだけでなく,臨床でも使われている機会が多い。今回は,神経機能障害に対する評価の感受性や特異性を含めたエビデンスについても報告する。