The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会企画 » 特別講演

[NV-1] 特別講演 高次脳機能障害における理学療法の役割と責任Neglected side of physical therapy for neglect and related disorders

Fri. May 12, 2017 11:00 AM - 12:00 PM A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

司会:阿部 浩明(広南病院リハビリテーション科)

日本神経理学療法学会企画

[NV-1] 高次脳機能障害における理学療法の役割と責任Neglected side of physical therapy for neglect and related disorders

網本 和 (首都大学東京健康福祉学部理学療法学科)

高次脳機能障害は幅広い概念であり,具体的な症状は主たるものだけでも失語症,半側空間無視,半側身体失認,失認症,失行症,地誌的障害,注意障害,記憶障害,遂行機能障害,行動と情緒の障害,認知症などが含まれている。種村ら(2011)1)の調査(重複回答あり)によれば,関係する医療サービス提供職種のうち医師(95.4%)が一位を占めていることは当然であるが,次いで理学療法士(79.2%),作業療法士(77.4%),言語聴覚士(66.8%)の順となることが報告されており,作業療法士と肩を並べる割合であることはいささか驚きの念を禁じ得ない。この調査ではどの職種がどの症状に関与したかについては明らかではないが,総体的には理学療法士が重要な役割と責任を担っている(あるいは担うはずである)ことは容易に推察できる。
高次脳機能障害のリハビリテーションでは,当該の中核的症状または現象そのものに対しての治療アプローチとその症状を有する症例への代償的操作を含んだ日常生活への対応に大別できる。筆者ら(2001)2)はこのような観点から,半側空間無視(unilateral spatial neglect,USN)への理学療法的取り組みとして,USN現象とUSN症例へのアプローチの組合せについて論じ,これに加え経過時期と重症度への考慮が重要であると報告した。
本講演では,理学療法士が直接関与することが多いUSN及びその関連症状としてのPusher現象を取り上げ,そのメカニズムの考察に基づき機能構造的側面に対する治療および活動と参加の側面に関するアプローチについて,とりわけ姿勢と動作にどのように反映してゆくかという視点からこれらの徴候に対する理学療法で「無視」されてきたものとは何か?に関して論じたい。
【文献】
1)種村 純・他:高次脳機能障害全国実態調査報告。高次脳機能障害研究 31:19-31, 2011.
2)網本 和・他:半側空間無視。医療現場での取り組み―理学療法―.総合リハ29:29-33, 2001.