第52回日本理学療法学術大会

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日本糖尿病理学療法学会 » 口述発表

[O-DM-01] 口述演題(糖尿病)01

2017年5月12日(金) 14:10 〜 15:10 A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:大平 雅美(信州大学医学部保健学科), 座長:林 久恵(星城大学リハビリテーション学部)

日本糖尿病理学療法学会

[O-DM-01-3] 2型糖尿病患者のプレサルコペニアを予測する大腿四頭筋の筋厚および筋輝度のカットオフ値の検討

平沢 良和1, 松木 良介1, 谷名 英章1, 大木 敦司1, 惠飛須 俊彦1, 黒瀬 健2 (1.関西電力病院リハビリテーション科, 2.関西電力病院糖尿病・代謝・内分泌センター)

キーワード:サルコペニア, 筋厚, 筋輝度

【はじめに,目的】

大腿site-specificサルコペニアは歩行やバランス能力と関連し,またメタボリックシンドロームリスクを上昇させることが報告されている。この大腿site-specificサルコペニアは全身の骨格筋量が低下する以前から生じているとの報告があり,サルコペニアを早期から予期する上で有用となる。しかし,大腿site-specificサルコペニアを臨床的に判断する基準値が検討されていないのが現状である。そこで本研究の目的は2型糖尿病患者の大腿四頭筋の筋厚と筋輝度を超音波検査で測定し,プレサルコペニアを予測するカットオフ値を検討することとした。



【方法】

対象は当院糖尿病・代謝・内分泌センターに教育入院し,リハビリテーション科に運動指導の依頼があった2型糖尿病患者305名(平均年齢63.9±11.8歳,男性187名,女性118名)である。筋厚および筋輝度は超音波診断装置(Noblus,日立アロカメディカル)および画像解析ソフト(image J)にて測定した。測定部位は右下肢の大腿直筋,中間広筋(大転子と外側上顆を結ぶ直線の遠位40%),外側広筋(大転子と外側上顆を結ぶ直線の中点),内側広筋(大転子と外側上顆を結ぶ直線の遠位30%)とした。骨格筋量は生体電気インピーダンス法(InBody S10,インボディ・ジャパン)にて測定し,四肢骨格筋量の合計を身長の2乗で除したAppendicular skeletal muscle mass index(ASMI)を算出した。そしてAsian Working Group for Sarcopeniaが推奨するASMIのカットオフ値を用いてプレサルコペニアを決定した。統計学的解析はASMIと各筋の筋厚と筋輝度との関連をピアソンの積率相関係数を用いて検討した。プレサルコペニアを予測する各筋の筋厚と筋輝度のカットオフ値をReceiver operating characteristic(ROC)曲線を用いて解析した。有意水準は5%とした。



【結果】

プレサルコペニアは男性28名(15.0%),女性27名(22.9%)であった。男性および女性ともにASMIは各筋の筋厚と有意な正の相関関係を認め,各筋の筋輝度と有意な負の相関関係を認めた。プレサルコペニアを予測するカットオフ値は,大腿直筋の筋厚は男性9.0mm,女性8.2mm,筋輝度は男性105.7,女性119.9,中間広筋の筋厚は男性10.4mm,女性9.5mm,筋輝度は男性80.5,女性96.0,外側広筋の筋厚は男性17.0mm,女性14.1mm,筋輝度は男性84.1,女性104.9,内側広筋の筋厚は男性13.1mm,女性9.9mm,筋輝度は男性95.2,女性116.5であった。



【結論】

本研究で得た大腿四頭筋の筋厚および筋輝度のカットオフ値はプレサルコペニアを予測する上で有用となる。