The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本糖尿病理学療法学会 » 口述発表

[O-DM-02] 口述演題(糖尿病)02

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:田仲 勝一(香川大学医学部附属病院リハビリテーション部)

日本糖尿病理学療法学会

[O-DM-02-1] がんリハビリテーションとハイパーサーミアの組み合わせが筋肉量減少に与える効果について

中村 智明1,2, 岩下 佳弘3, 坂本 貴幸1, 飯山 準一3, 赤木 純児4 (1.一般社団法人玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センター, 2.学校法人銀杏会熊本保健科学大学研究員, 3.学校法人銀杏会熊本保健科学大学保健科学部, 4.一般社団法人玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センター病院長)

Keywords:ハイパーサーミア, がんリハビリテーション, 筋肉量減少

【はじめに,目的】

末期がんでは悪液質や薬剤の有害事象により栄養状態に関係なく筋肉量減少が起こる。がんリハビリテーションはがん患者のADL維持やQOL向上が目的とされ,手段には運動療法も含まれている。運動療法による筋肉量減少の軽減が期待される。我々はハイパーサーミアと抗がん剤の併用により,抗がん剤の投与量を減らすことが可能であることを報告した。しかしながら,筋肉量減少を短期的に抑制することは困難であった。そこで今回,地域高齢者とがん患者の筋肉量を比較し,当院入院患者を対象に運動療法とハイパーサーミアの組み合わせが筋肉量減少に与える影響について検討した。

【方法】

平成24年4月1日から平成26年3月31日までに当院へ入院し,低栄養状態を除いたがん患者(平均80.8±7.4歳,男性19名,女性11名)の入院前ADL,栄養状態,四肢骨格筋量,除脂肪量のデータを後方視的に調査した。まず,地域高齢者と入院がん患者の四肢骨格筋量,除脂肪量を比較検討することを目的として,研究の同意を得た地域高齢者群(男性平均77.8±2.5歳,4名,女性平均78.7±3.3歳,9名)とがん患者群(男性平均78.9±7.6歳,19名,女性平均82.7±6.2歳,11名)の2群について検討した。次に,入院がん患者において,①運動療法とハイパーサーミア未実施のコントロール群(平均83.3±10.4歳,男性5名,女性3名),運動療法のみを実施した群(平均81.4±4.8歳,男性8名,女性6名),③運動療法とハイパーサーミアを実施した群(平均77.4±7.4歳,男性6名,女性2名)の3群に分け,四肢骨格筋量,除脂肪量について検討した。がんリハは20-40分間,週5日,ハイパーサーミアは42-43℃の熱強度で15分間,週1回実施された。2群間比較にはT検定,3群間比較にはANOVA,事後比較にTukeyテストを行った。

【結果】

がん患者の筋肉量は地域高齢者に比して男性1.58kg/m2,女性0.92kg/m2の低下が認められた。3群のがん患者の入院時の年齢,男女比,栄養状態,四肢骨格筋量,除脂肪量,入院前ADLに有意差は認められなかった。運動療法とハイパーサーミアを行った群においては,30日後の四肢骨格筋量がコントロール群に比して有意な高値(P<0.05)を示し,運動療法のみを行った群に比して高値を示す傾向(P=0.08)が認められた。除脂肪量に差は認められなかった。

【結論】

ハイパーサーミアは局所温熱刺激によるがん細胞の活動抑制,全身免疫の賦活化,また,深部体温上昇による基礎代謝量の増加が起こり,悪液質を改善する。ハイパーサーミアは骨格筋のコンディションにも寄与していると考えられ,運動療法との組み合わせは,骨格筋量の維持に有効である可能性が示唆された。