[O-DM-02-5] ADL能力,身体機能,倦怠感,認知機能が入院がん患者のPerformance Statusにおよぼす影響
Keywords:がん患者, 評価, Performance Status
【はじめに,目的】
入院がん患者のPerformance Status,およびPerformance Statusの変化に影響及ぼす因子について検証することである。
【方法】
方法は後方視的観察研究。対象は2016年1月から同年7月の間に理学療法依頼があり,理学療法開始時にECOG Performance Status(PS),Barthel Index(BI),Cancer Functional Assessment set(cFAS),Cancer Fatigue Scale(CFS),Mini Mental State Examination(MMSE)での評価が可能であった63例。調査項目は,年齢,性別,原疾患,治療目的,理学療法開始時のPS,BI,cFAS,CFS,MMSE,および理学療法終了時のPS,BI,cFAS,CFSを電子カルテより抽出した。検証内容は,理学療法開始時のPSとBI,cFAS,CFS,MMSEとの相関関係について検証した。さらに,理学療法終了時にPS,BI,cFAS,CFSの評価が可能であり,PSが維持または向上した37例を抽出し,PS維持・向上の2群間でBI,cFAS,CFSおよびcFASとCFSの下位項目の変化を比較し,加えて,有意であった項目を独立変数,PS維持・向上を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。統計ソフトはJMP Pro Ver.11を使用し,危険率は5%とした。
【結果】
対象の年齢は76.0±5.4歳(平均±標準偏差),性別は男性35名,女性28名,理学療法介入期間は中央値16日(範囲;0,85)であった。理学療法開始時のPSとBI,cFAS,MMSEに有意な相関を認めたが,PSとCFSに関しては有意な相関を認めなかった。PS維持・向上の2群間でのBI,cFAS,CFSおよびcFASとCFSの下位項目の変化量の比較では,PS向上群においてBI,cFASの筋力と活動性の項目にて有意に高い値を示した。多重ロジスティック回帰分析では,モデル全体の検定にて寄与率31.67%,p=0.012と有意であったが,群の判別に有意な変数は認めなかった。
【結論】
がん患者の全身状態やセルフケア能力を示すPerformance Statusには,倦怠感よりもADL能力,身体機能,認知機能が影響していることが示唆された。がんに伴う倦怠感は,がん治療を受けている患者の多くに認めるとされていることから,Performance Statusと関係なくがん患者に共通の症状であると考える。PS向上群においてBI,cFASの筋力と活動性の項目にて有意に高い値を示したことより,理学療法にて筋力向上,活動性向上,ADL能力向上を図ることでPerformance Statusを向上できる可能性が示唆された。
入院がん患者のPerformance Status,およびPerformance Statusの変化に影響及ぼす因子について検証することである。
【方法】
方法は後方視的観察研究。対象は2016年1月から同年7月の間に理学療法依頼があり,理学療法開始時にECOG Performance Status(PS),Barthel Index(BI),Cancer Functional Assessment set(cFAS),Cancer Fatigue Scale(CFS),Mini Mental State Examination(MMSE)での評価が可能であった63例。調査項目は,年齢,性別,原疾患,治療目的,理学療法開始時のPS,BI,cFAS,CFS,MMSE,および理学療法終了時のPS,BI,cFAS,CFSを電子カルテより抽出した。検証内容は,理学療法開始時のPSとBI,cFAS,CFS,MMSEとの相関関係について検証した。さらに,理学療法終了時にPS,BI,cFAS,CFSの評価が可能であり,PSが維持または向上した37例を抽出し,PS維持・向上の2群間でBI,cFAS,CFSおよびcFASとCFSの下位項目の変化を比較し,加えて,有意であった項目を独立変数,PS維持・向上を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。統計ソフトはJMP Pro Ver.11を使用し,危険率は5%とした。
【結果】
対象の年齢は76.0±5.4歳(平均±標準偏差),性別は男性35名,女性28名,理学療法介入期間は中央値16日(範囲;0,85)であった。理学療法開始時のPSとBI,cFAS,MMSEに有意な相関を認めたが,PSとCFSに関しては有意な相関を認めなかった。PS維持・向上の2群間でのBI,cFAS,CFSおよびcFASとCFSの下位項目の変化量の比較では,PS向上群においてBI,cFASの筋力と活動性の項目にて有意に高い値を示した。多重ロジスティック回帰分析では,モデル全体の検定にて寄与率31.67%,p=0.012と有意であったが,群の判別に有意な変数は認めなかった。
【結論】
がん患者の全身状態やセルフケア能力を示すPerformance Statusには,倦怠感よりもADL能力,身体機能,認知機能が影響していることが示唆された。がんに伴う倦怠感は,がん治療を受けている患者の多くに認めるとされていることから,Performance Statusと関係なくがん患者に共通の症状であると考える。PS向上群においてBI,cFASの筋力と活動性の項目にて有意に高い値を示したことより,理学療法にて筋力向上,活動性向上,ADL能力向上を図ることでPerformance Statusを向上できる可能性が示唆された。