[O-ED-01-1] 反復学習を促す教材が学習成果に与える効果
Keywords:反復学習, 教育手法, 卒前教育
【はじめに,目的】
理学療法教育ガイドライン(第1版)では卒前教育の到達目標を「理学療法の基本的知識と技能を修得するとともに自ら学ぶ力を育てる」とある。しかしながら,学生全員をこの到達目標に導くことは学生の質,教員の質など様々な要因により容易ではない。そこで,本校では学生全員が基本的知識と技能を修得できるような反復学習と完全修得を促す教材(以下,授業ノート)を開発し導入した。本研究の目的は,この授業ノートが学習内容の修得に効果を有するかについて検討することである。
【方法】
対象は,平成27年度に本学に入学した授業ノートの未導入学生40名(以下,未導入群)と平成28年度に本学に入学した授業ノートの導入学生40名(以下,導入群)とした。授業ノートの効果は,両群の1年次の前期末試験11科目の試験結果の比較から検証した。比較は,全体平均(単位:%)および領域別平均(単位:%)で行った。科目における領域内訳は基礎領域5科目,専門基礎領域2科目,専門領域4科目であった。統計処理は,R2.8.1を使用し,全体平均はMann-WhitneyのU検定,基礎領域の平均は2標本t検定,専門基礎領域の平均はMann-WhitneyのU検定,専門領域の平均はWelchのt検定で検証し,それぞれ有意水準を1%未満とした。
【結果】
全体平均は「未導入群」で83.61±5.91%,「導入群」で88.38±4.51%となり,「導入群」が得点率で「未導入群」を上回り有意差を認めた(p<0.01,r=0.393)。領域別では,基礎領域が「未導入群」で85.62±5.62%,「導入群」で90.25±4.81%となり,「導入群」が得点率で「未導入群」を上回り有意差を認めた(p<0.01,r=0.393)。専門領域でも「未導入群」で82.51±6.43%,「導入群」で88.89±4.88%で有意差を認めた(p<0.01,r=0.505)。専門基礎領域では「未導入群」で80.76±8.55%,導入群で82.68±6.39%で両群に有意差は認めなかった(p>0.01,r=0.221)。
【結論】
本研究により,授業ノートを導入することで基礎領域,専門領域において,これを導入しない場合よりも高い修得率を得られることが確認された。これは授業ノートが予習課題,講義,授業中の練習課題,復習課題から構成されており,1単元において同じ学習内容を最低でも4回行う設計によるものと考えられる。また,授業ノートには毎単元における具体的到達目標が示されており,学生の修得課題が明確であり,講義を行う教員の能力に影響を受けにくいことも大きな要因であると考える。しかしながら,専門基礎領域では十分な効果が認められなかった。この原因は今回の研究からは明らかにできなかった。今後,その要因を明らかにすることで,学生の基本的知識と技能の修得に効果を有する教材開発のヒントになると思われる。
理学療法教育ガイドライン(第1版)では卒前教育の到達目標を「理学療法の基本的知識と技能を修得するとともに自ら学ぶ力を育てる」とある。しかしながら,学生全員をこの到達目標に導くことは学生の質,教員の質など様々な要因により容易ではない。そこで,本校では学生全員が基本的知識と技能を修得できるような反復学習と完全修得を促す教材(以下,授業ノート)を開発し導入した。本研究の目的は,この授業ノートが学習内容の修得に効果を有するかについて検討することである。
【方法】
対象は,平成27年度に本学に入学した授業ノートの未導入学生40名(以下,未導入群)と平成28年度に本学に入学した授業ノートの導入学生40名(以下,導入群)とした。授業ノートの効果は,両群の1年次の前期末試験11科目の試験結果の比較から検証した。比較は,全体平均(単位:%)および領域別平均(単位:%)で行った。科目における領域内訳は基礎領域5科目,専門基礎領域2科目,専門領域4科目であった。統計処理は,R2.8.1を使用し,全体平均はMann-WhitneyのU検定,基礎領域の平均は2標本t検定,専門基礎領域の平均はMann-WhitneyのU検定,専門領域の平均はWelchのt検定で検証し,それぞれ有意水準を1%未満とした。
【結果】
全体平均は「未導入群」で83.61±5.91%,「導入群」で88.38±4.51%となり,「導入群」が得点率で「未導入群」を上回り有意差を認めた(p<0.01,r=0.393)。領域別では,基礎領域が「未導入群」で85.62±5.62%,「導入群」で90.25±4.81%となり,「導入群」が得点率で「未導入群」を上回り有意差を認めた(p<0.01,r=0.393)。専門領域でも「未導入群」で82.51±6.43%,「導入群」で88.89±4.88%で有意差を認めた(p<0.01,r=0.505)。専門基礎領域では「未導入群」で80.76±8.55%,導入群で82.68±6.39%で両群に有意差は認めなかった(p>0.01,r=0.221)。
【結論】
本研究により,授業ノートを導入することで基礎領域,専門領域において,これを導入しない場合よりも高い修得率を得られることが確認された。これは授業ノートが予習課題,講義,授業中の練習課題,復習課題から構成されており,1単元において同じ学習内容を最低でも4回行う設計によるものと考えられる。また,授業ノートには毎単元における具体的到達目標が示されており,学生の修得課題が明確であり,講義を行う教員の能力に影響を受けにくいことも大きな要因であると考える。しかしながら,専門基礎領域では十分な効果が認められなかった。この原因は今回の研究からは明らかにできなかった。今後,その要因を明らかにすることで,学生の基本的知識と技能の修得に効果を有する教材開発のヒントになると思われる。