The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-01] 口述演題(教育)01

卒前教育1

Sat. May 13, 2017 9:30 AM - 10:30 AM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:松本 泉(熊本駅前看護リハビリテーション学院理学療法学科)

日本理学療法教育学会

[O-ED-01-2] 基礎科目に対する反転授業の実践報告

加藤 研太郎, 宮原 拓也 (上尾中央医療専門学校教育部理学療法学科)

Keywords:反転授業, 解説動画, 基礎科目

【はじめに,目的】

2010年頃より米国で本格的に「Flipped Classroom」が導入され始めた(2013加藤)。本邦では反転授業と訳され,2012年頃より予備校や小学校をはじめ高等教育機関においても実践され始め,近年注目を集めている教育方法である。従来は学校で基礎から学習し自宅で応用を演習,もしくは次回に行っていた。反転授業は先に自宅で予習として解説動画で基礎を学習し,授業では演習時間や議論を多く確保する形式である。理学療法教育では導入報告がまだ少ない。基礎科目に反転授業を一部導入し,従来の方法と比較することを目的とする。

【方法】

A専門学校の理学療法学科1年生40名を対象とし,科目は基礎解剖生理学を選択した。本科目は解剖学・生理学を統合し,症例や症候を用いながら関係各部の構造と機能の理解を目的とする。全20コマ(9項目)のうち,「反射反応」「呼吸器」「運動器」「消化器/泌尿器」の4項目10コマは反転授業,「運動単位」「感覚器」「循環器」「代謝」の4項目7コマは通常の方法で実施した。反転授業の実施に際し,動画視聴のため教育SNS(Social Network Service)であるEdomodoを保護者承認のもと学生全員に登録させた。教員が事前に作成した10分程度の解説動画を予習として視聴させた。一方,通常の講義は事前に予習内容を伝え,自己学習を実施させた。両形態とも予習での理解度把握のため各項目の講義前に確認テストを実施した。記憶の定着を確認するため,各項目の講義1週間後に事前と同一内容の確認テストを実施した。確認テストは事前事後とも両形態でそれぞれ4回ずつ実施した。両形態で実施した事前確認テスト4回分の平均点と,事後の確認テスト4回分の平均点をそれぞれ比較した。統計解析はSPSSVer16を用いて,有意確率5%未満とした。シャピロウィルク検定にて正規性が確認できなかったため,マンホイットニー検定を使用した。学生に対して,平均視聴回数・動画に関すること・通常の方法との比較などについて5段階でのアンケートを実施した。1に近い方が好意的,3が中間,5に近い方が否定的として5段階で作成した。

【結果】

事前・事後ともに反転授業での実施の点数が高く,有意差が認められた(P<0.01)。学生アンケートでは平均視聴回数は3.17回,動画は予習に役立ったか1.06,動画は講義の理解に役立ったか1.03,従来と比較して効果的か1.17,記憶に残りやすいか1.50,動画の長さ2.94と好意的な回答を得た。

【結論】

通常の講義と比較して反転授業は,基礎科目において事前の理解を促進し,記憶の定着にも効果的である可能性が示唆された。解説動画は10分程度に留める必要がある。