The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-01] 口述演題(教育)01

卒前教育1

Sat. May 13, 2017 9:30 AM - 10:30 AM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:松本 泉(熊本駅前看護リハビリテーション学院理学療法学科)

日本理学療法教育学会

[O-ED-01-3] 解剖系知識の習得を目的としたICT教材の教育効果について

米ヶ田 宜久, 岩見 幸省 (九州中央リハビリテーション学院)

Keywords:イメージ, 解剖, 教材

【はじめに,目的】

理学療法の基礎ともいえる解剖学,特に筋系の知識は重要な要素である。しかし,対象学生への事前アンケートによると,「筋の重なりがわからない」(71.2%),「起始停止が覚えられない」(69.7%),「筋の立体構造がイメージできない」(57.6%)の順で難しいと答えた。

そこで今回,医療業界に広く浸透しつつあるタブレット・解剖アプリを用い,知識のイメージ化,記憶の固定化,学習意欲の向上について検討した。

【方法】

対象は本学理学療法学科の2年生64名(平均19.6±1.5歳,男35人,女27人)であった。学習教材としてapple社製ipadAir2を用い,アプリはteamLabBody-3D Motion Human Anatomy-を用いた。これにより,指操作で3軸の回転・拡大・縮小を可能とし,筋の位置・重なり・構造・名前を立体的かつ感覚的に学習させた。

まず独自作成した紙面テスト(筋の名前・位置・並び順等)を用い基礎知識量を調査した。このテストは筋のイメージ図を見て答える設問12問(以下イメージテスト)と文字設問5問(以下文字テスト)の2つで構成した(以下紙面テスト)。次に対象を約10名ずつ教員2名でアプリの操作方法を説明し,その後,対象となる筋を提示した課題に沿って自由にipadを用いて学習させた(30分)。後に同紙面テストを行い解答を提示・解説した。介入期間は平成28年7月4日から14日であった。記憶の固定化を確認するため,約1か月後に再度,同紙面テストを行った。統計手法はテスト結果をJSTAT Ver13.0を用い多重比較のBonferroni法を用いて比較した。有意水準は5%とした。

また,学習意欲の調査を行うために同時期にアンケート調査を3件法にて実施した。


【結果】

テスト結果は1問1点とし15点満点で採点を行った。平均点で(1回目6.4±1.89点,2回目13.1±2.4点,3回目12.8±2.9点)1回目と2回目,1回目と3回目に差を認めた(P<0.01)。また,イメージテストによる設問の平均は(1回目4.4±1.44点,2回目9.5±1.99点,3回目10.1±2.3点)1回目と2回目に差を認めた(P<0.01)が,2回目と3回目に差は認めなかった。

文字テストによる設問の平均は(1回目2.0±0.97点,2回目3.6±1.14点,3回目2.7±1.12点)1回目と2回目に差を認め(P<0.01),2回目と3回目においても差を認めた(P<0.01)。

アンケート結果は,「筋の重なり」を93%が,「起始停止について」は79%が,「立体構造について」は93%が分かりやすいと答えた。また授業形態は98.3%の学生が面白いと答えた。

【結論】

テストの平均点は約2倍に向上した。また2回目と3回目の結果に差がないことから記憶の固定化につながっていることが推測される。これはイメージ部分においては平均点は維持され,文字部分では低下した。これらの事より,解剖系の知識の習得にipadを用いることはイメージ部分において有用であることが示唆された。また,アンケート結果から授業形態も非常に肯定的であったといえる。