The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-01] 口述演題(教育)01

卒前教育1

Sat. May 13, 2017 9:30 AM - 10:30 AM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:松本 泉(熊本駅前看護リハビリテーション学院理学療法学科)

日本理学療法教育学会

[O-ED-01-4] 国家試験問題を教材とするeラーニングの取り組みとその学習効果について
―理学療法学科と作業療法学科での比較検討―

小貫 睦巳, 鈴木 伸治 (常葉大学保健医療学部)

Keywords:eラーニング, 国家試験形式, 専門基礎科目

【はじめに,目的】講義を自主学習で補完し知識の定着を図るために国家試験問題を教材とするeラーニングを開発し取り組んだ結果を第3回理学療法教育学会で発表した。その際これは入学後早い時期に専門基礎科目で取り入れる必要性が示唆された。それに基づき今回は運動学の科目で同様にeラーニングを施行しその学習効果を検討した。また理学療法学生(以下PT学生)だけでなく,広く療法士教育としての現状を検証する意味で作業療法学生(以下OT学生)も同様に施行し比較した。

【方法】H28年6~8月の間の8週間にわたり4年制大学のPTOT学科2年生に対し運動学IIの科目で国家試験問題を教材とするeラーニングを施行した。教材は過去15年間の国家試験問題の中から科目の教員が50問を選び筆者が専用のソフトを使って作成した。この教材を専用のサーバーに置き授業外の時間に学習させた。そしてeラーニングの期間の前後に実際に国家試験形式のテストを行いこの結果を基にeラーニングに積極的だった群と積極的でなかった群に分け2要因混合計画の分散分析を行った。なお被験者の割り付けなどのカウンターバランスは取らなかった。群分けについてはサーバー管理者に学生の施行回数とアクセス時間から判断して貰い平均±1SDを中間群としこの上位と下位から協議し決定した。

【結果】eラーニングを行った学生はPT学科42名(男25女17),OT学科45名(男19女26)であった。eラーニング実施前後の国家試験形式のテストの平均値は100点満点でPTが23.0(±8.9)が86.5(±23.2)に,OTは23.5(±10.2)が69.1(±28.2)に上昇した。このうちeラーニングに積極的だったPT学科17名OT学科17名,積極的でなかったPT学科14名OT学科18名についてそれぞれ分散分析を行った結果,PTOT共に交互作用(PTが(F(1,29)=11.48,p<.01,OTが((F(1,33)=73.8,p<.01)),前後の国試形式テストの主効果(PTが(F(1,29)=214.4,p<.01),OTが(F(1,33)=182.8,p<.01)),eラーニングの積極性の主効果(PTが(F(1,29)=7.56,p<.01),OTが(F(1,33)=90.3,p<.01))のいずれも有意であった。

【結論】今回の運動学においてはPTOT学生共にeラーニング教材の学習効果は高かったと考えられる。PT学生とOT学生を比べた時にPT学生の方がOT学生よりも早くからeラーニングに取り組む者が多かった。また施行回数も全体的にPT学生の方が多かった。これらは学科の特性や学生の余暇活動の過ごし方などが関係しているものと考えられる。