The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-04] 口述演題(教育)04

卒前教育2

Sat. May 13, 2017 6:10 PM - 7:10 PM A5会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室302)

座長:芳野 純(帝京平成大学健康メディカル学部理学療法学科)

日本理学療法教育学会

[O-ED-04-1] 高校3年生が考える理学療法士像について

前田 雄太1, 菅沼 一男2, 金子 千香2, 齋藤 孝義3, 五味 雅大4, 佐野 徳雄2, 丸山 仁司3 (1.クロス病院, 2.帝京科学大学, 3.国際医療福祉大学, 4.了徳寺大学)

Keywords:理学療法士, 高校生, 医療

【はじめに,目的】

理学療法学科は,理学療法士になる目標を持ち,将来の職業を意識できる学科である。近年,子どもの数は減少しているが,進学率が上がり学力の低い生徒が大学に進学している。また,就職難や非正規労働者の増加などを背景に,資格取得を目的として大学に進学する生徒も多い。これらの生徒は,自らの意思でなく両親や高校教員の勧めや資格取得のみを目的として理学療法学科に入学することが多い。このような生徒は,理学療法士の仕事を十分に理解せずに入学し,入学後に理学療法の授業を受ける中で,自身の職業に対する考えと理学療法士の仕事の違いに気付き大学不適応を起こす。理学療法学科の学生を対象とした調査では,入学前後の大学生活のイメージが異なる学生に大学生活不安が高く,入学直後から理学療法士になる意志のない学生も存在すると報告されている。本研究は,医療系学部(以下;医療系)に進学を考えている生徒とその他の学部(以下;一般学部)に進学を考えている生徒を対象とし高校生が考える理学療法士像について調査した。

【方法】

対象は某高校3年生341名とした。対象者は,医療系に進学を希望する生徒32名,一般学部に進学を希望する生徒309名に分類し,医療系と一般学部に進学を希望する生徒の間で理学療法士像に違いがあるのか調査した。アンケートは,自作のアンケートを使用し集合調査法にて実施した。アンケートは,性別,進学先,理学療法士像についての設問35項目とし4件法にて回答を得た。

統計解析は,各設問の関係を調べるために因子分析を行い,因子負荷量の推定には一般化された最小2乗を用い,バリマックス法直行回転を施した。次に,因子分析で分類したカテゴリーごとに医療系と一般学部間についてマンホイットニーのU検定を行った。統計ソフトはSPSS Statistics21を用い有意水準は5%とした。

【結果】

全対象者のアンケートに対する因子分析の結果,7因子(対人関係,社会的評価,専門性,私生活,卒業後の展望,自己実現,精神的負荷)を抽出した。医療系と一般学部の群間比較では7因子とも有意な差を認めなかった。

【結論】

高校生の考える理学療法士像は,医療系に進学を希望する生徒も一般学部に進学を希望する生徒も理学療法士に対する考えに差を認めなかったことから,医療系を目指す生徒と一般学部を目指す生徒の考える理学療法士像に大きな違いはないと考えた。したがって,高校生の理学療法士に対する職業の理解は十分とは言えないと考えた。

このことから,理学療法学科に入学を希望する生徒は,大学入学前に理学療法士の現場を見学することやオープンキャンパスで理学療法士の仕事について理解することが重要である。このことで,不本意入学や大学不適応を減らすことが可能となるのではないかと考えた。

今後は,理学療法学科に入学を希望する生徒とそれ以外の医療系学科に進学を希望する生徒について調査する必要があると考えた。