[O-ED-04-6] 大学生と在宅介護者の睡眠覚醒リズムの相違点について
Actigraphを用いた睡眠パラメーターの比較
Keywords:睡眠覚醒リズム, Actigraph, 教育
【はじめに】大学生を対象とした睡眠覚醒リズムに関する多くの先行研究は,ピツバーグ睡眠評価票や睡眠日誌などから得たデータを解析したものである。体動センサーを用いた研究は少ない。本研究の目的は,モーションロガー腕時計型Actigraphを用いて,大学生の睡眠覚醒リズムを解析すると同時に,在宅障害者の介護者と比較検討することである。【方法】対象は,K大学理学療法学科3年生18名(男性9名,女性9名,平均年齢20.9歳)で,以下「大学生群」とする。在宅障害者(脳卒中)の介護者9名(男性4名,女性5名,平均年齢64.3歳)で,以下「介護者群」とする。方法は,大学生群へ主観的評価として,ピッツバーグ睡眠評価票PSQI・エプワース眠気評価票JESS・精神健康調査票GHQ30を施行した。また,客観的評価として,Actigraph(AMI社製:アメリカ睡眠学会公認,国土交通省公認機器)を非利き手に装着した。測定期間は,1週間から2週間であり,誤認識を防止するため,睡眠日誌を記載させた。Actigraphから得られたデータはAW2 ver.2.7を用いて,睡眠日誌と照合しながら夜間睡眠の区間を決定した(平日のみ)。また,カスタム設定として,授業時間帯(9:00-16:00)の区間を設定して解析を行った。主な睡眠パラメーターは,睡眠時間,睡眠効率,入眠潜時,体動指数,覚醒ブロック数,5分以上の覚醒ブロック数である。なお,在宅障害者の介護者におけるActigraphのデータは,我々の先行研究より取得した。解析は,単純集計,大学生群と介護者群の比較は,対応のないt検定を行った。統計解析は,SPSS ver.21を使用した。【結果】1.大学生群のみ:PSQIにおける正常者9名,睡眠障害者9名であった。JESSにおける正常者8名,SASの疑い者7名,SAS相当者3名であった。GHQ30における正常者14名,高ストレス者4名であった。2.大学生群と介護者群の比較(平均値):年齢は,大学生群20.9±1.4歳,介護者群64.3±5.2歳で介護者群が有意に高かった。睡眠時間は,大学生群309.8分,介護者群399.1分で大学生群が有意に短かった。睡眠効率は,大学生群92.9%,介護者群92.9%と差はなかった。入眠潜時は,大学生群6.6分,介護者群29.2分と大学生群が有意に短かった。体動指数は,大学生群32.7%,介護者群37.2%と差はなかった。覚醒ブロック数も大学生群7.0回,介護者群6.9回と差はなかった。平均覚醒時間は大学生群4.8分,介護者群9.1分と大学生群が有意に短かった。5分以上覚醒ブロック数は大学生群2.3回,介護者群3.2回と差はなかった。3.カスタム設定(大学生のみ,平均値)における体動指数97.4%,睡眠ブロック数3.3回であった。【結論】大学生の睡眠覚醒リズムは,ほぼ60代の介護者と同等で,寝つきは良いものの,就寝時間は後退しており,睡眠の質が低下しているものと推測された。したがって,規則正しい睡眠習慣を再学習するプログラムの開発が必要である事が示唆された。