The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » 口述発表

[O-KS-10] 口述演題(基礎)10

Sat. May 13, 2017 9:30 AM - 10:30 AM A5会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室302)

座長:中江 秀幸(東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[O-KS-10-1] 超音波画像診断装置を用いた大腿直筋の筋輝度,横断面積の検者内および検者間間信頼性の検討

佐藤 宏樹1, 國安 勝司2, 小原 謙一2, 岡田 有司3, 河島 隆貴3 (1.川崎医療福祉大学大学院医療技術学研究科, 2.川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科, 3.川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター)

Keywords:超音波画像診断, 大腿直筋, 筋輝度

【はじめに,目的】超音波画像による骨格筋評価は筋横断面積や筋輝度などの量や質的評価が同時に可能で,その有用性から様々な分野で急速に普及している。しかし,超音波画像診断では目標とする筋によって,測定部位や姿勢などが異なるため,一般化された測定方法が存在しない。介入研究や臨床応用の際に経時的変化を評価するにあたり,測定方法の統一や測定誤差の検証が必要である。本研究では,超音波画像診断装置による骨格筋評価を臨床応用するための基礎研究として,大腿直筋を対象に超音波評価の相対信頼性と絶対信頼性を検討した。

【方法】被検者は健常男性16名(年齢21.5歳)とした。検査者は検査習熟度の差を除くため,超音波画像診断の経験のない理学療法士3名とした。検査者には事前に機器の操作説明および数回の撮像練習を実施した。測定回数は被検者1人に対して,各検査者が3回行った。測定は超音波画像診断装置(SonoSite M-turbo)を使用し,リニア型プローブ(56mm,6~15MHz)を用いて,Bモード法で短軸像にて統一し撮像した。測定姿勢は背臥位,股関節中間位とした。測定部位は,上前腸骨棘から膝蓋骨上縁を結ぶ線の遠位1/3の位置とした。垂直指標は大腿骨上縁の輝度が最も高輝度に描出される位置とし,プローブが皮膚に直接触れないようにジェルを塗布し,皮膚の圧迫を回避した。画像解析はImage Jソフトウェアを使用し,横断面積(cm2)および筋輝度を測定した。測定で得られたデータの相対信頼性は級内相関係数(intra-class correlation coefficient:以下ICC)を用い,筋横断面積,筋輝度の各項目の検者内信頼性(ICC(1,1)),検者間信頼性(ICC(2,1),(3,1))を算出した。絶対信頼性はBland-Altman(以下B-A)分析を用い,誤差の許容範囲(固定誤差),測定値の標準誤差(standard error of measurement:以下SEM),最小可検変化量(minimal detectable change:以下MDC95)を算出および系統誤差を確認した。SPSS statistics 22(IBM)を用いICCを算出し,R2.8.1を用いてB-A分析を行った。

【結果】ICC(1,1)では,筋輝度(ICC=0.765~0.882),横断面積(ICC>0.9)の信頼性が確認された。ICC(2,1)では筋輝度(ICC=0.823~854),横断面積(ICC>0.9),ICC(3,3)では筋輝度(ICC>0.9),横断面積(ICC>0.9)の信頼性が確認された。B-A分析により同一検査者におけるSEMは,筋輝度が1.49~2.26,横断面積は0.12~0.17cm2MDC95は,筋輝度が4.13~6.77,横断面積は0.32~0.46cm2であった。系統誤差(固定誤差,比例誤差)は各項目に認められなかった。

【考察】健常男性を対象に大腿直筋の筋輝度および横断面積の検者間および検者内信頼性を検討した結果,本研究の測定方法であればいずれのICCも高値を示し,B-A分析では系統誤差が認められなかった。ICC(1,3)は両者でICC>0.9を確保でき,本研究で得られたMDC95より大きな変化は「真の変化」として介入研究や臨床応用の際の効果判定に使用することが可能である。