[O-KS-12-4] スタティック・ストレッチングの施行時間および強度が柔軟性に及ぼす影響
Keywords:スタティック・ストレッチング, 柔軟性, ストレッチング強度
【はじめに,目的】スタティック・ストレッチング(static stretching:SST)による柔軟性改善効果は関節可動域(range of motion:ROM)の増加,神経学的要因である最大動的トルクの増加,力学的要因であるstiffnessの低下を用いて報告されている。我々はSSTの施行時間が長い方が柔軟性の改善効果が大きいことを報告している。また,痛みが生じる高強度SSTは痛みの直前の強度のSSTと比べ,柔軟性改善効果が大きいことも報告している。しかしながら,高強度SSTを含む異なる強度と時間を組み合わせたSST効果を比較した研究はない。そこで本研究は,SSTの施行時間および強度が柔軟性に及ぼす影響を検証することを目的とした。
【方法】被験者は健常男子学生14名とし,対象筋は右ハムストリングスとした。実験には等速性運動機器(BTE社製PRIMUS RS)を用い,SSTならびに各評価指標の測定を行った。被験者は,股関節および膝関節を約110°屈曲した測定開始肢位から膝関節を伸展させることでSSTを施行した。SSTは大腿後面に痛みが生じる直前の膝関節伸展角度を100%強度とし,100%,120%の強度ならびに1分間,2分間の時間を設定し,それらを組み合わせた合計4種類のSST(100%-1min群,100%-2min群,120%-1min群,120%-2min群)をランダムに施行した。評価指標はROM,最大動的トルク,stiffnessとした。これらは測定開始肢位から痛みの直前の膝関節伸展角度まで5°/秒の角速度で他動的に伸展させた際のトルク-角度曲線から算出し,SST前後の測定値を比較した。ROMおよび最大動的トルクは膝関節最大伸展角度における値とし,stiffnessは膝関節最大伸展角度からその50%の角度までの回帰曲線の傾きと定義した。統計解析にはSigmaStat4.0(SYSTAT社)を用い,正規性を認めたので,2元配置反復測定分散分析を行った。SST施行前後とSST方法との間に有意に交互作用を認めた場合,事後検定としてBonferroni法を用いた。なお,全ての有意水準は5%未満とした。
【結果】全ての指標において,SST施行前後とSST方法との間に有意な交互作用を認めた。事後検定を行った結果,ROMおよび最大動的トルクは全群でSST後に有意に増加した。stiffnessは100%-1min群,120%-1min群,120%-2min群において,SST後に有意に低下した。群間比較では,全ての指標のSST施行前の測定値に有意な差を認めなかった。一方,SST後の各指標の測定値では,ROMは120%-1min群と120%-2min群が100%-1min群と100%-2min群と比べ,有意に高値を示し,最大動的トルクは120%-1min群が100%-1min群と比べ,有意に高値を示した。stiffnessは120%-1min群と120%-2min群が100%-1min群と100%-2min群と比べ,有意に低値を示した。
【結論】柔軟性改善を目的としたSSTでは,高強度である方が柔軟性改善効果は大きいが,1分間または2分間という施行時間の違いで効果に差はない。
【方法】被験者は健常男子学生14名とし,対象筋は右ハムストリングスとした。実験には等速性運動機器(BTE社製PRIMUS RS)を用い,SSTならびに各評価指標の測定を行った。被験者は,股関節および膝関節を約110°屈曲した測定開始肢位から膝関節を伸展させることでSSTを施行した。SSTは大腿後面に痛みが生じる直前の膝関節伸展角度を100%強度とし,100%,120%の強度ならびに1分間,2分間の時間を設定し,それらを組み合わせた合計4種類のSST(100%-1min群,100%-2min群,120%-1min群,120%-2min群)をランダムに施行した。評価指標はROM,最大動的トルク,stiffnessとした。これらは測定開始肢位から痛みの直前の膝関節伸展角度まで5°/秒の角速度で他動的に伸展させた際のトルク-角度曲線から算出し,SST前後の測定値を比較した。ROMおよび最大動的トルクは膝関節最大伸展角度における値とし,stiffnessは膝関節最大伸展角度からその50%の角度までの回帰曲線の傾きと定義した。統計解析にはSigmaStat4.0(SYSTAT社)を用い,正規性を認めたので,2元配置反復測定分散分析を行った。SST施行前後とSST方法との間に有意に交互作用を認めた場合,事後検定としてBonferroni法を用いた。なお,全ての有意水準は5%未満とした。
【結果】全ての指標において,SST施行前後とSST方法との間に有意な交互作用を認めた。事後検定を行った結果,ROMおよび最大動的トルクは全群でSST後に有意に増加した。stiffnessは100%-1min群,120%-1min群,120%-2min群において,SST後に有意に低下した。群間比較では,全ての指標のSST施行前の測定値に有意な差を認めなかった。一方,SST後の各指標の測定値では,ROMは120%-1min群と120%-2min群が100%-1min群と100%-2min群と比べ,有意に高値を示し,最大動的トルクは120%-1min群が100%-1min群と比べ,有意に高値を示した。stiffnessは120%-1min群と120%-2min群が100%-1min群と100%-2min群と比べ,有意に低値を示した。
【結論】柔軟性改善を目的としたSSTでは,高強度である方が柔軟性改善効果は大きいが,1分間または2分間という施行時間の違いで効果に差はない。