[O-KS-13-3] 立位における足部荷重位置の違いが筋活動に及ぼす影響
Keywords:立位, 足部荷重位置, 筋活動
【はじめに,目的】
臨床において,筋由来の疼痛や関節可動域制限を多く経験する。これらの要因として,立位姿勢や足部荷重位置の変化により筋活動が増加した結果,引き起こされることが考えられる。本研究の目的は,立位における足部荷重位置の違いが筋活動に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】
対象は明らかな運動器疾患や神経疾患の既往がなく,本研究に同意が得られた健常成人20名(男性15名,女性5名)であった。対象者の平均年齢は21.3±1.2歳,平均身長は169.8±9.7cm,平均体重は63.1±11.2kgであった。方法は5条件(自然立位,母趾球荷重立位,舟状骨荷重立位,脛骨内果荷重立位,踵部荷重立位)での立位とし,表面筋電計(Noraxon社製)を用いて腹直筋,外腹斜筋,腰部脊柱起立筋,多裂筋,大腿直筋,大腿二頭筋の筋活動を計測した。被験筋は全て右側とし,電極貼付位置は下野らの方法に準じて行った。筋電図の計測時間は10秒間とし,中間5秒間の筋電図平均振幅を算出した。記録条件は,サンプリング周波数を1500Hzとし,電極間距離を2cmで配置した。導出方法は,双極導出法を用いた。計測手順は,まず自然立位における筋電図を計測した後,母趾中足骨頭,舟状骨粗面垂直下,脛骨内果最突起部垂直下,踵骨載距突起と踵骨後下端の中点が足軸と垂直に交わる位置にて,それぞれコアステップ棒に30秒間乗った直後の立位における筋電図を計測した。各課題は対象者ごとにランダムに3回実施した。計測時の姿勢は,視線は前方を向くようにして,両上肢下垂位,骨盤中間位,足幅は肩幅となるようにした。また計測中,床反力計(AMTI社製)上で赤外線カメラを用い,赤外線反射マーカーを母趾中足骨頭内側,舟状骨粗面,脛骨内果最突起部,踵骨載距突起と踵骨後下端の中点に貼付し,床反力合力線の移動と左右差を視覚的に確認しながら実施した。得られた筋電図データは筋電図解析ソフトMyoResarchXPを用いて全波整流化および心電図ノイズ低減処理した後,最大等尺性随意収縮で正規化した%MVCを算出した。統計解析はIBM SPSS Stastics 23を使用し,Kruskal-Wallis検定を実施した。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】
大腿二頭筋において,母趾球荷重立位104.9±5.8%,舟状骨荷重立位97.1±7.6%,脛骨内果荷重立位95.8±9.1%,踵部荷重立位97.7±4.3%であり,母趾球荷重立位と舟状骨荷重立位,脛骨内果荷重立位,踵部荷重立位間でそれぞれ有意差が認められた(p<0.05)。その他有意差は認められなかった。
【結論】
立位でコアステップ棒に乗ることで足底部の感覚受容器が刺激され,足部荷重位置が変化したと考えられる。大腿二頭筋においては,母趾球荷重と比較して舟状骨荷重,脛骨内果荷重,踵部荷重の方が過剰な筋活動を抑制できることが示唆された。大腿二頭筋の筋活動が過剰な症例では,足部荷重位置の是正も有効な治療手段となると考えられる。
臨床において,筋由来の疼痛や関節可動域制限を多く経験する。これらの要因として,立位姿勢や足部荷重位置の変化により筋活動が増加した結果,引き起こされることが考えられる。本研究の目的は,立位における足部荷重位置の違いが筋活動に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】
対象は明らかな運動器疾患や神経疾患の既往がなく,本研究に同意が得られた健常成人20名(男性15名,女性5名)であった。対象者の平均年齢は21.3±1.2歳,平均身長は169.8±9.7cm,平均体重は63.1±11.2kgであった。方法は5条件(自然立位,母趾球荷重立位,舟状骨荷重立位,脛骨内果荷重立位,踵部荷重立位)での立位とし,表面筋電計(Noraxon社製)を用いて腹直筋,外腹斜筋,腰部脊柱起立筋,多裂筋,大腿直筋,大腿二頭筋の筋活動を計測した。被験筋は全て右側とし,電極貼付位置は下野らの方法に準じて行った。筋電図の計測時間は10秒間とし,中間5秒間の筋電図平均振幅を算出した。記録条件は,サンプリング周波数を1500Hzとし,電極間距離を2cmで配置した。導出方法は,双極導出法を用いた。計測手順は,まず自然立位における筋電図を計測した後,母趾中足骨頭,舟状骨粗面垂直下,脛骨内果最突起部垂直下,踵骨載距突起と踵骨後下端の中点が足軸と垂直に交わる位置にて,それぞれコアステップ棒に30秒間乗った直後の立位における筋電図を計測した。各課題は対象者ごとにランダムに3回実施した。計測時の姿勢は,視線は前方を向くようにして,両上肢下垂位,骨盤中間位,足幅は肩幅となるようにした。また計測中,床反力計(AMTI社製)上で赤外線カメラを用い,赤外線反射マーカーを母趾中足骨頭内側,舟状骨粗面,脛骨内果最突起部,踵骨載距突起と踵骨後下端の中点に貼付し,床反力合力線の移動と左右差を視覚的に確認しながら実施した。得られた筋電図データは筋電図解析ソフトMyoResarchXPを用いて全波整流化および心電図ノイズ低減処理した後,最大等尺性随意収縮で正規化した%MVCを算出した。統計解析はIBM SPSS Stastics 23を使用し,Kruskal-Wallis検定を実施した。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】
大腿二頭筋において,母趾球荷重立位104.9±5.8%,舟状骨荷重立位97.1±7.6%,脛骨内果荷重立位95.8±9.1%,踵部荷重立位97.7±4.3%であり,母趾球荷重立位と舟状骨荷重立位,脛骨内果荷重立位,踵部荷重立位間でそれぞれ有意差が認められた(p<0.05)。その他有意差は認められなかった。
【結論】
立位でコアステップ棒に乗ることで足底部の感覚受容器が刺激され,足部荷重位置が変化したと考えられる。大腿二頭筋においては,母趾球荷重と比較して舟状骨荷重,脛骨内果荷重,踵部荷重の方が過剰な筋活動を抑制できることが示唆された。大腿二頭筋の筋活動が過剰な症例では,足部荷重位置の是正も有効な治療手段となると考えられる。