[O-KS-15-6] 大腿部の血流制限を伴う下腿三頭筋への電気刺激が骨格筋に与える肥大効果
Keywords:血流制限, 中周波電気刺激, 筋肥大
【はじめに,目的】レジスタンス運動の効果は運動強度に依存するが,低強度のレジスタンス運動では筋肥大は生じない。一方,血流制限下での低強度レジスタンス運動は,成長ホルモンの分泌を促進させ,筋タンパク質合成系を活性化し,筋肥大効果をもたらすと報告されている。また,電気刺激はレジスタンス運動と同様に筋タンパク質合成系を活性化させる。さらに,虚弱高齢者に対しても実施可能でありレジスタンス運動と比較し対象者の範囲が広いという利点がある。そこで血流制限下での低強度電気刺激が筋肥大や筋タンパク質合成経路を活性化することが期待できるのではないかと考えた。本研究では大腿部の血流制限環境下での下腿後面部への低強度電気刺激がヒラメ筋に与える肥大効果について検証した。
【方法】11週齢Wistar雄性ラットを対照群(Con群),大腿部に血流制限のみを行う血流制限群(Bfr群),下腿部に電気刺激のみを行う電気刺激群(ES群),大腿部の血流制限に加え下腿部に電気刺激を行う血流制限+電気刺激群(Bfr+ES群)の4群に分類した。電気刺激は中周波電気刺激(変調波100Hz)を用い,刺激サイクルを1秒on,2秒offとし,最大筋張力の30%の強度で5分間を4回実施した。Bfr群には大腿部にカフ(Hokanson)を用い80mmHgの圧を5分間加えた。Bfr+ES群には電気刺激開始直前に大腿部に80mmHgの圧を加え電気刺激を実施した。介入は週に3回,8週間実施した。被験筋をヒラメ筋とし,筋重量を測定した後,筋横断面積の解析をATPase染色にて実施した。また,筋タンパク質合成の指標としてWestern blotting法でリボゾームタンパク質S6(rpS6)の発現量を測定した。
【結果】ヒラメ筋の相対重量比はBfr+ES群がCon群,Bfr群と比較し有意に高値を示した。また,ヒラメ筋の筋横断面積はBfr+ES群がCon群,ES群と比較し有意に高値を示した。rpS6の発現量はCon群と比較し,Bfr群,Es群で有意な差は認められなかったが,Bfr+ES群ではCon群と比較し有意に増加が認められた。
【結論】血流制限を伴う下腿三頭筋への電気刺激は,低強度刺激においても筋タンパク質合成経路の活性化が生じ,筋肥大効果をもたらすことが明らかになった。
【方法】11週齢Wistar雄性ラットを対照群(Con群),大腿部に血流制限のみを行う血流制限群(Bfr群),下腿部に電気刺激のみを行う電気刺激群(ES群),大腿部の血流制限に加え下腿部に電気刺激を行う血流制限+電気刺激群(Bfr+ES群)の4群に分類した。電気刺激は中周波電気刺激(変調波100Hz)を用い,刺激サイクルを1秒on,2秒offとし,最大筋張力の30%の強度で5分間を4回実施した。Bfr群には大腿部にカフ(Hokanson)を用い80mmHgの圧を5分間加えた。Bfr+ES群には電気刺激開始直前に大腿部に80mmHgの圧を加え電気刺激を実施した。介入は週に3回,8週間実施した。被験筋をヒラメ筋とし,筋重量を測定した後,筋横断面積の解析をATPase染色にて実施した。また,筋タンパク質合成の指標としてWestern blotting法でリボゾームタンパク質S6(rpS6)の発現量を測定した。
【結果】ヒラメ筋の相対重量比はBfr+ES群がCon群,Bfr群と比較し有意に高値を示した。また,ヒラメ筋の筋横断面積はBfr+ES群がCon群,ES群と比較し有意に高値を示した。rpS6の発現量はCon群と比較し,Bfr群,Es群で有意な差は認められなかったが,Bfr+ES群ではCon群と比較し有意に増加が認められた。
【結論】血流制限を伴う下腿三頭筋への電気刺激は,低強度刺激においても筋タンパク質合成経路の活性化が生じ,筋肥大効果をもたらすことが明らかになった。