[O-KS-17-3] 電気刺激を用いた単収縮と強縮のコンビネーションプログラムが筋性拘縮と廃用性筋萎縮におよぼす影響
Keywords:電気刺激, 筋性拘縮, 廃用性筋萎縮
【目的】
従来から,電気刺激は筋萎縮の予防や筋力増強を目的に広く臨床で活用されており,その際の刺激周波数は骨格筋の強縮を誘発する高周波帯域が推奨されている。一方,われわれは線維化を主病態とする筋性拘縮を電気刺激によって予防するためには,骨格筋の単収縮を誘発する低周波帯域の刺激周波数が効果的であることを報告してきた。ただ,筋性拘縮発生時は廃用性筋萎縮が併存することが多く,臨床ではいずれの機能障害に対しても効率良い対応が求められる。従ってわれわれは,低周波・高周波帯域の刺激周波数での通電を交互に行い,骨格筋の単収縮と強縮を誘発できるコンビネーションプログラムの開発を産学共同研究で進めている。そこで,本研究では不動化したラットヒラメ筋を検索材料に本プログラムの効果を検証した。
【方法】
実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット20匹(各群5匹)を用い,1)無処置の対照群,2)両側足関節を最大底屈位の状態でギプス固定し,4週間不動化する不動群,3)不動の過程で10 Hzの刺激周波数によってヒラメ筋に単収縮を誘発するTwitch群,4)同様に10 Hzと50 Hzの刺激周波数によってヒラメ筋に単収縮と強縮を交互に誘発するDual群に振り分けた。なお,Twitch群とDual群においてはリード線付き表面電極を貼付した状態でギプス固定し,ギプスを装着したまま以下の条件で電気刺激を行った。具体的には,刺激強度10 mA以下,パルス幅250 μsecの条件で,30分/日(6回/週),延べ4週間,電気刺激を行った。実験期間終了後は各ラットを麻酔し,両側足関節の背屈可動域を測定した。そして,両側のヒラメ筋を採取し,右側試料については凍結横断切片を作製し,ATP染色を施した後,タイプI・II線維の筋線維横断面積を計測した。一方,左側試料についてはreal time RT-PCR法に供し,タイプI・IIIコラーゲンmRNA発現量を定量化した。
【結果】
足関節背屈可動域は実験群の3群とも対照群より有意に低値であったが,この3群間ではTwitch群とDual群が不動群よりも有意に高値を示した。また,タイプI・II線維の筋線維横断面積は実験群の3群とも対照群より有意に低値であったが,この3群間ではタイプI線維のみDual群が不動群やTwitch群より有意に高値を示した。次に,タイプI・IIIコラーゲンmRNA発現量はいずれも不動群が対照群より有意に高値であったが,Twitch群とDual群は対照群と有意差を認めなかった。
【結論】
今回の結果から,Twitch群では骨格筋の線維化の発生が抑えられ,筋性拘縮の進行抑制効果が認められたが,廃用性筋萎縮の進行抑制効果は認められなかった。一方,Dual群では筋性拘縮の進行抑制効果に加え,廃用性筋萎縮の進行抑制効果も認められた。つまり,単収縮と強縮のコンビネーションプログラムを用いた電気刺激は不動によって惹起される筋性拘縮と廃用性筋萎縮の進行抑制に効果的であると推察される。
従来から,電気刺激は筋萎縮の予防や筋力増強を目的に広く臨床で活用されており,その際の刺激周波数は骨格筋の強縮を誘発する高周波帯域が推奨されている。一方,われわれは線維化を主病態とする筋性拘縮を電気刺激によって予防するためには,骨格筋の単収縮を誘発する低周波帯域の刺激周波数が効果的であることを報告してきた。ただ,筋性拘縮発生時は廃用性筋萎縮が併存することが多く,臨床ではいずれの機能障害に対しても効率良い対応が求められる。従ってわれわれは,低周波・高周波帯域の刺激周波数での通電を交互に行い,骨格筋の単収縮と強縮を誘発できるコンビネーションプログラムの開発を産学共同研究で進めている。そこで,本研究では不動化したラットヒラメ筋を検索材料に本プログラムの効果を検証した。
【方法】
実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット20匹(各群5匹)を用い,1)無処置の対照群,2)両側足関節を最大底屈位の状態でギプス固定し,4週間不動化する不動群,3)不動の過程で10 Hzの刺激周波数によってヒラメ筋に単収縮を誘発するTwitch群,4)同様に10 Hzと50 Hzの刺激周波数によってヒラメ筋に単収縮と強縮を交互に誘発するDual群に振り分けた。なお,Twitch群とDual群においてはリード線付き表面電極を貼付した状態でギプス固定し,ギプスを装着したまま以下の条件で電気刺激を行った。具体的には,刺激強度10 mA以下,パルス幅250 μsecの条件で,30分/日(6回/週),延べ4週間,電気刺激を行った。実験期間終了後は各ラットを麻酔し,両側足関節の背屈可動域を測定した。そして,両側のヒラメ筋を採取し,右側試料については凍結横断切片を作製し,ATP染色を施した後,タイプI・II線維の筋線維横断面積を計測した。一方,左側試料についてはreal time RT-PCR法に供し,タイプI・IIIコラーゲンmRNA発現量を定量化した。
【結果】
足関節背屈可動域は実験群の3群とも対照群より有意に低値であったが,この3群間ではTwitch群とDual群が不動群よりも有意に高値を示した。また,タイプI・II線維の筋線維横断面積は実験群の3群とも対照群より有意に低値であったが,この3群間ではタイプI線維のみDual群が不動群やTwitch群より有意に高値を示した。次に,タイプI・IIIコラーゲンmRNA発現量はいずれも不動群が対照群より有意に高値であったが,Twitch群とDual群は対照群と有意差を認めなかった。
【結論】
今回の結果から,Twitch群では骨格筋の線維化の発生が抑えられ,筋性拘縮の進行抑制効果が認められたが,廃用性筋萎縮の進行抑制効果は認められなかった。一方,Dual群では筋性拘縮の進行抑制効果に加え,廃用性筋萎縮の進行抑制効果も認められた。つまり,単収縮と強縮のコンビネーションプログラムを用いた電気刺激は不動によって惹起される筋性拘縮と廃用性筋萎縮の進行抑制に効果的であると推察される。