[O-MT-03-2] 多裂筋における表面筋電図の電極貼付位置の再検討
―超音波画像診断装置を用いて―
Keywords:多裂筋, 表面筋電図, 超音波画像診断装置
【はじめに,目的】
多裂筋の定量的評価方法の1つとして,表面筋電図を用いた多裂筋の研究が多くされている。しかし,多裂筋の表面筋電図の電極貼付位置は,諸家により様々な報告がある。そのため,先行研究での電極貼付位置が統一されていない。これまでの先行研究の貼付位置では,隣接した最長筋や腸肋筋の筋活動が混入せず,多裂筋の筋活動のみを計測できているかは不明である。また,多裂筋の走行について献体での報告はあるが,生体での報告は少ない。以上より,本研究の目的は,第2腰椎(L2)から第5腰椎(L5)の棘突起および上後腸骨棘(PSIS)の計5つの各レベルにおいて,多裂筋を超音波画像診断装置で確認し,表面筋電図の電極貼付位置を再検討することとした。
【方法】
対象者は健常成人14名(男性7名,女性7名)とした。年齢は,21.2±0.4歳,BMIは,22.4±2.3であった。測定肢位は,腹臥位(腰椎中間位)とした。使用機器は,超音波画像診断装置(ViamoSSA-640A)の7.5MHzリニアプローブを用いた。プローブ位置は,各レベルにおいて,脊柱と垂直にあてて計測した。測定項目は,各レベルにおいて,多裂筋最表層の距離とした。男女間の差について比較するため,すべての測定項目において正規性の検定を行い,スチューデントのt検定を行った。なお有意水準は5%とした。
【結果】
棘突起外縁から多裂筋最表層の距離の平均値は,L2棘突起レベルでは4.4±3.3mm,L3棘突起レベルでは9.3±4.3mm,L4棘突起レベルでは14.4±3.9mm,L5棘突起レベルでは25.1±8.0mm,PSISレベルでは男性45.2±8.6mm,女性30.1±15.2mmであった。PSISレベルにおいて,男性が女性に比べて有意に多裂筋最表層の距離が長かった(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,L2棘突起レベルでは4mm,L3棘突起レベルでは14mm,L4棘突起レベルでは14mm,L5棘突起レベルでは25mm,PSISレベルでは30mmに表面筋電図の電極を貼付することで,多裂筋の筋活動を計測することは可能であると考えられる。しかし,多裂筋の表面筋電図の電極は,多くは小児用電極を用いている。小児用電極は,縦6mm,横11mmである。そのため,最長筋や腸肋筋の筋活動ではなく,多裂筋の筋活動のみを計測するためには,多裂筋最表層の距離は,最低11mm以上必要である。このことから,L2,L3棘突起レベルでは,最長筋や腸肋筋などの隣接した筋の筋活動が混入している可能性が高いと考える。L4棘突起レベルでは,L4棘突起近傍,L5棘突起レベルでは,L5棘突起近傍から2cmの間,PSISレベルでは,PSISレベルの棘突起近傍から3cmの間であれば,多裂筋の筋活動のみを測定することが可能であると推測される。また,体幹筋の形状や骨盤傾斜角度に男女差があることから,PSISレベルにおいて男女差が生じたと考えられる。よって,L4棘突起以下のレベルで,表面筋電図の電極貼付位置を配慮することで,多裂筋のみの筋活動を計測できる可能性が示唆された。
多裂筋の定量的評価方法の1つとして,表面筋電図を用いた多裂筋の研究が多くされている。しかし,多裂筋の表面筋電図の電極貼付位置は,諸家により様々な報告がある。そのため,先行研究での電極貼付位置が統一されていない。これまでの先行研究の貼付位置では,隣接した最長筋や腸肋筋の筋活動が混入せず,多裂筋の筋活動のみを計測できているかは不明である。また,多裂筋の走行について献体での報告はあるが,生体での報告は少ない。以上より,本研究の目的は,第2腰椎(L2)から第5腰椎(L5)の棘突起および上後腸骨棘(PSIS)の計5つの各レベルにおいて,多裂筋を超音波画像診断装置で確認し,表面筋電図の電極貼付位置を再検討することとした。
【方法】
対象者は健常成人14名(男性7名,女性7名)とした。年齢は,21.2±0.4歳,BMIは,22.4±2.3であった。測定肢位は,腹臥位(腰椎中間位)とした。使用機器は,超音波画像診断装置(ViamoSSA-640A)の7.5MHzリニアプローブを用いた。プローブ位置は,各レベルにおいて,脊柱と垂直にあてて計測した。測定項目は,各レベルにおいて,多裂筋最表層の距離とした。男女間の差について比較するため,すべての測定項目において正規性の検定を行い,スチューデントのt検定を行った。なお有意水準は5%とした。
【結果】
棘突起外縁から多裂筋最表層の距離の平均値は,L2棘突起レベルでは4.4±3.3mm,L3棘突起レベルでは9.3±4.3mm,L4棘突起レベルでは14.4±3.9mm,L5棘突起レベルでは25.1±8.0mm,PSISレベルでは男性45.2±8.6mm,女性30.1±15.2mmであった。PSISレベルにおいて,男性が女性に比べて有意に多裂筋最表層の距離が長かった(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,L2棘突起レベルでは4mm,L3棘突起レベルでは14mm,L4棘突起レベルでは14mm,L5棘突起レベルでは25mm,PSISレベルでは30mmに表面筋電図の電極を貼付することで,多裂筋の筋活動を計測することは可能であると考えられる。しかし,多裂筋の表面筋電図の電極は,多くは小児用電極を用いている。小児用電極は,縦6mm,横11mmである。そのため,最長筋や腸肋筋の筋活動ではなく,多裂筋の筋活動のみを計測するためには,多裂筋最表層の距離は,最低11mm以上必要である。このことから,L2,L3棘突起レベルでは,最長筋や腸肋筋などの隣接した筋の筋活動が混入している可能性が高いと考える。L4棘突起レベルでは,L4棘突起近傍,L5棘突起レベルでは,L5棘突起近傍から2cmの間,PSISレベルでは,PSISレベルの棘突起近傍から3cmの間であれば,多裂筋の筋活動のみを測定することが可能であると推測される。また,体幹筋の形状や骨盤傾斜角度に男女差があることから,PSISレベルにおいて男女差が生じたと考えられる。よって,L4棘突起以下のレベルで,表面筋電図の電極貼付位置を配慮することで,多裂筋のみの筋活動を計測できる可能性が示唆された。