The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » 口述発表

[O-MT-05] 口述演題(運動器)05

Fri. May 12, 2017 4:50 PM - 5:50 PM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:山中 正紀(北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野)

日本運動器理学療法学会

[O-MT-05-2] 関節リウマチ患者の身体活動量に関する因子の検討

平 和晃1, 広畑 美峰2, 森本 信三1, 出立 明宏1, 小池 達也3 (1.白浜医療福祉財団白浜はまゆう病院南紀白浜温泉リハビリテーションセンター, 2.白浜医療福祉財団白浜はまゆう病院看護部, 3.白浜医療福祉財団骨リウマチ疾患探索研究所)

Keywords:関節リウマチ, 身体活動量, 疾患活動性

【はじめに,目的】関節リウマチ(RA)患者は健常者と比較して心疾患の罹患リスクが高いとされており,そのリスクを軽減させるためにも身体活動量を高めることは重要とされている。ヘルスプロモーション領域において身体活動量と運動習慣には関連性があり,運動セルフエフィカシーは身体活動や運動行動の規定因子とされているが,RAは全身性の炎症疾患であり,疾患活動性,関節痛や腫れ,それに伴うADL障害やQOLの低下が身体活動量に影響を及ぼしている可能性も考えられる。故に,本研究ではRA患者における身体活動量に及ぼす因子について明らかにすることを目的とした。

【方法】対象を65才以下の女性RA患者70名とした。対象者の身体活動量を国際身体活動量質問表(IPAQ)にて聴取し,消費カロリーを算出した。さらに,疾患活動性をDisease Activity Score 28 based on erythrocyte sedimentation rates(DAS28-ESR)にて評価し,ADL状況をmodified Health Assessment Questionnaire(mHAQ),QOLをRAQOLにて聴取した。また,運動習慣の有無はトランスセオロティカルモデルを使用し,運動習慣の行動変容ステージの維持期を運動習慣あり,前熟考期・熟考期・準備期・実行期を運動習慣なしと定義して聴取し,運動セルフエフィカシーは岡ら(2003)が作成した運動セルフエフィカシー尺度を用い,各項目の相関関係をspearmanの順位相関係数を用いて分析した。さらに,従属変数を消費カロリー,独立変数を①年齢,②BMI,③疼痛強度,④DAS28-ESR,⑤mHAQ,⑥RAQOL,⑦運動習慣の有無,⑧運動セルフエフィカシーの8項目として,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。有意水準は5%未満とし,検定にはR(ver3.3.0)を使用した。


【結果】消費カロリーとDAS28-ESR(r=-0.33),mHAQ(r=0.43),RAQOL(r=-0.45)間に有意な相関を認め(p<0.01),DAS28-ESRとmHAQ(r=0.59),RAQOL(r=0.59)間にも有意な相関関係(p<0.01)を認めた。また,重回帰分析の結果,消費カロリーに関連する因子としてDAS28-ESRが抽出された(p<0.05)。


【結論】RA患者の身体活動量には疾患活動性,ADL,QOLが関連し,ADLおよびQOLには疾患活動性が関連していることが明らかとなった。RA患者の身体活動量は疾患活動性の影響を受け,疾患活動性は身体活動量,ADL,QOLに影響を与えていることが明らかとなった。故に,RA患者の身体活動量の向上には,疾患活動性のコントロールが重要であり,疾患活動性の抑制後に身体活動量の向上を図ることが重要といえる。