[O-MT-06-3] 腰部疾患術後におけるADL指導の検討
Keywords:腰部疾患術後, ADL指導, QOL
【目的】
腰部疾患術後患者においてADL指導は再発や隣接関節障害の予防,患者満足度・QOLの向上の為にも患者教育において重要である。当院では医師・理学療法士・看護師がそれぞれADL指導を行っていたため見解が統一されていなかった。そこで今回,入院生活・退院後の生活に向け腰椎の過度な屈曲・回旋の予防を目的としたADL指導パンフレット及びDVDを医師・理学療法士・看護師がチームとなり作成し,当院におけるADL指導介入の再考を図った。本研究の目的はその介入効果について検討することである。
【方法】
対象は当院にて腰部疾患の手術を施行され研究への同意が得られた者で,パンフレット・DVDによる介入を開始した2014年9月から2016年3月までを介入群,それ以前の2013年9月から2014年8月までを非介入群とし,術前・術後6ヶ月にアンケート調査を実施した。アンケートの内容は疼痛評価としてVisual analogue scale(以下VAS)・疾患特異的QOL評価としてOswestry disability index(以下ODI)・健康関連QOL評価としてSF-36v2(以下SF-36)を実施した。統計学的検討として,両群間の基本属性をMann-WhitneyのU検定及びχ2乗検定,術前・術後6ヶ月の群内比較をWilcoxonの符号付順位和検定,術前・術後6ヶ月における群間比較をMann-WhitneyのU検定にて検討し,有意水準は5%とした。
【結果】
対象は介入群60例(男性34例,女性26例,除圧術35例,制動術7例,固定術18例,年齢66.9±11.1歳,入院期間34.9±16.5日,術関節数2.5±1.3),非介入群36例(男性19例,女性17例,除圧術18例,制動術7例,固定術11例,年齢70.0±8.7歳,入院期間34.7±12.9日,術関節数2.4±1.0)であった。両群間の基本属性に有意差を認めなかった。術前・術後6ヶ月の群内比較では,非介入群のODI(物を持ち上げる)の項目以外の全項目で両群とも術後6ヶ月で有意な改善が見られた。介入群・非介入群の群間比較では,術前は全項目で両群間に有意差を認めなかったが,術後6ヵ月ではVAS(下肢臀部のしびれの程度20.8:36.5),ODI(歩くこと0.9:1.3・座ること1.0:1.5・立っていること1.3:1.9・社会生活1.1:1.7・ODI合計9.0:12.4),SF-36(BP44.5:40.1・VT50.7:46.5)の項目で介入群が有意に改善した。
【結論】
両群とも術後6ヵ月に有意な改善が見られ,さらに介入群では上記項目で非介入群よりも有意な改善が見られた。ODIにおいてはADL指導による動作方法の学習が影響していたのではないかと考える。また,SF-36においては疼痛の改善に有意差はないにも関わらずBP・VTの項目に有意差が見られたことから,精神・心理面への影響によるものと考え,今回のADL指導介入がQOL向上の一助となったのでないかと考える。しかし,SF-36においてVT以外の項目は国民標準値に達していない。本研究の限界として介入の有無以外の項目については検討してなく,他因子の影響について検討してくことが今後の課題である。
腰部疾患術後患者においてADL指導は再発や隣接関節障害の予防,患者満足度・QOLの向上の為にも患者教育において重要である。当院では医師・理学療法士・看護師がそれぞれADL指導を行っていたため見解が統一されていなかった。そこで今回,入院生活・退院後の生活に向け腰椎の過度な屈曲・回旋の予防を目的としたADL指導パンフレット及びDVDを医師・理学療法士・看護師がチームとなり作成し,当院におけるADL指導介入の再考を図った。本研究の目的はその介入効果について検討することである。
【方法】
対象は当院にて腰部疾患の手術を施行され研究への同意が得られた者で,パンフレット・DVDによる介入を開始した2014年9月から2016年3月までを介入群,それ以前の2013年9月から2014年8月までを非介入群とし,術前・術後6ヶ月にアンケート調査を実施した。アンケートの内容は疼痛評価としてVisual analogue scale(以下VAS)・疾患特異的QOL評価としてOswestry disability index(以下ODI)・健康関連QOL評価としてSF-36v2(以下SF-36)を実施した。統計学的検討として,両群間の基本属性をMann-WhitneyのU検定及びχ2乗検定,術前・術後6ヶ月の群内比較をWilcoxonの符号付順位和検定,術前・術後6ヶ月における群間比較をMann-WhitneyのU検定にて検討し,有意水準は5%とした。
【結果】
対象は介入群60例(男性34例,女性26例,除圧術35例,制動術7例,固定術18例,年齢66.9±11.1歳,入院期間34.9±16.5日,術関節数2.5±1.3),非介入群36例(男性19例,女性17例,除圧術18例,制動術7例,固定術11例,年齢70.0±8.7歳,入院期間34.7±12.9日,術関節数2.4±1.0)であった。両群間の基本属性に有意差を認めなかった。術前・術後6ヶ月の群内比較では,非介入群のODI(物を持ち上げる)の項目以外の全項目で両群とも術後6ヶ月で有意な改善が見られた。介入群・非介入群の群間比較では,術前は全項目で両群間に有意差を認めなかったが,術後6ヵ月ではVAS(下肢臀部のしびれの程度20.8:36.5),ODI(歩くこと0.9:1.3・座ること1.0:1.5・立っていること1.3:1.9・社会生活1.1:1.7・ODI合計9.0:12.4),SF-36(BP44.5:40.1・VT50.7:46.5)の項目で介入群が有意に改善した。
【結論】
両群とも術後6ヵ月に有意な改善が見られ,さらに介入群では上記項目で非介入群よりも有意な改善が見られた。ODIにおいてはADL指導による動作方法の学習が影響していたのではないかと考える。また,SF-36においては疼痛の改善に有意差はないにも関わらずBP・VTの項目に有意差が見られたことから,精神・心理面への影響によるものと考え,今回のADL指導介入がQOL向上の一助となったのでないかと考える。しかし,SF-36においてVT以外の項目は国民標準値に達していない。本研究の限界として介入の有無以外の項目については検討してなく,他因子の影響について検討してくことが今後の課題である。