[O-MT-07-1] 扁平足のインソール装着による骨盤・肩甲骨への波及効果
―デジタルカメラの臨床応用の検討―
Keywords:扁平足, インソール, デジタルカメラ
【はじめに,目的】
扁平足へのインソール装着による踵骨中間位補正が静止立位の下肢,骨盤,肩甲骨へ及ぼすアライメント変化の波及効果を運動連鎖の視点より検討する。また,デジタルカメラでの計測方法が臨床場面で有用であるか検討する。
【方法】
大学生39名(男性:20名,女性:19名,年齢:21.8±0.7歳)を対象とした。アーチ高率(基準値:男性16.4%,女性14.6%)より正常足(NF:Normal foot)と扁平足(FF:Flat foot)に群分けした。インソール有無で踵骨傾斜角度と下腿踵骨角度,FTA,骨盤前傾角度,肩甲骨上方回旋角度のアライメントをデジタルカメラで撮影し,画像解析ソフトImage Jで関節角度を計測した。事前に各アライメント項目の検者内信頼性を確かめるために級内相関係数(1,1)を調べた。統計処理はShapiro-Wilk検定で正規性の確認,群内でのインソール装着と非装着の比較,群間比較に対応のあるt検定を行った。
【結果】
すべての級内相関係数(1,1)の判定基準が0.8以上で良好だった。アーチ高率よりNF群は40足(17.3±1.2%),FF群は38足(13.6±1.7%)であった。両群共に,インソールの装着で踵骨傾斜角度(NF:4.7±2.9→3.7±3.0,FF:4.7±2.6→2.5±2.4)と下腿踵骨角度(NF:8.0±3.6→6+9±3.0,FF:10.0±4.0→6.8±3.5)が有意に減少した。下腿踵骨角度はFF群が有意に大きかったが,インソール装着でNF群と有意差がなくなった。FTA(NF:175.3±3.3→175.1±3.4,FF:175.9±2.4→175.8±2.4)は両群共に有意差はなかった。骨盤前傾角度(NF:42.4±9.1→40.3±9.6,FF:36.1±8.6→34.3±5.1)は両群共にインソールの装着で有意に減少したが,変化量に有意差はなかった。肩甲骨上方回旋角度(NF:36.9±4.2→40.2±5.6,FF:36.4±6.0→40.6±6.9)は両群共に,インソールの装着により有意に増加した。
【結論】
健常者の下肢・骨盤のアライメントを三次元動作解析装置VICONで解析した研究では,ウェッジで踵骨を回内させることで下腿内旋や股関節内旋,骨盤前傾が有意に増大したと報告されている。本研究ではFF群へのインソール使用で下腿踵骨角度や骨盤前傾角度が有意に減少したことから,踵骨が回内位から中間位付近に誘導され,脛骨・大腿骨が外旋方向に移動し骨盤を後傾させたと考える。これはVICONを使用した研究と骨盤後傾まで類似した結果のため,下肢・骨盤アライメントはデジタルカメラでも計測でき,臨床現場で有用な測定方法であることが示唆された。また,FF群がNF群と骨盤変化までは同様な変化だったことから,扁平足へのインソール使用は下肢関節障害や腰痛の予防に期待できると考えられる。肩甲骨は胸郭上を動くため胸椎彎曲や胸郭形状から影響を受ける。本研究ではインソール使用により骨盤前傾の減少と肩甲骨上方回旋の増大が生じた。これは骨盤後傾により腰椎前彎や胸椎後彎が減少し,胸郭形状が変化したことで肩甲骨上方回旋が増大したと推測される。
扁平足へのインソール装着による踵骨中間位補正が静止立位の下肢,骨盤,肩甲骨へ及ぼすアライメント変化の波及効果を運動連鎖の視点より検討する。また,デジタルカメラでの計測方法が臨床場面で有用であるか検討する。
【方法】
大学生39名(男性:20名,女性:19名,年齢:21.8±0.7歳)を対象とした。アーチ高率(基準値:男性16.4%,女性14.6%)より正常足(NF:Normal foot)と扁平足(FF:Flat foot)に群分けした。インソール有無で踵骨傾斜角度と下腿踵骨角度,FTA,骨盤前傾角度,肩甲骨上方回旋角度のアライメントをデジタルカメラで撮影し,画像解析ソフトImage Jで関節角度を計測した。事前に各アライメント項目の検者内信頼性を確かめるために級内相関係数(1,1)を調べた。統計処理はShapiro-Wilk検定で正規性の確認,群内でのインソール装着と非装着の比較,群間比較に対応のあるt検定を行った。
【結果】
すべての級内相関係数(1,1)の判定基準が0.8以上で良好だった。アーチ高率よりNF群は40足(17.3±1.2%),FF群は38足(13.6±1.7%)であった。両群共に,インソールの装着で踵骨傾斜角度(NF:4.7±2.9→3.7±3.0,FF:4.7±2.6→2.5±2.4)と下腿踵骨角度(NF:8.0±3.6→6+9±3.0,FF:10.0±4.0→6.8±3.5)が有意に減少した。下腿踵骨角度はFF群が有意に大きかったが,インソール装着でNF群と有意差がなくなった。FTA(NF:175.3±3.3→175.1±3.4,FF:175.9±2.4→175.8±2.4)は両群共に有意差はなかった。骨盤前傾角度(NF:42.4±9.1→40.3±9.6,FF:36.1±8.6→34.3±5.1)は両群共にインソールの装着で有意に減少したが,変化量に有意差はなかった。肩甲骨上方回旋角度(NF:36.9±4.2→40.2±5.6,FF:36.4±6.0→40.6±6.9)は両群共に,インソールの装着により有意に増加した。
【結論】
健常者の下肢・骨盤のアライメントを三次元動作解析装置VICONで解析した研究では,ウェッジで踵骨を回内させることで下腿内旋や股関節内旋,骨盤前傾が有意に増大したと報告されている。本研究ではFF群へのインソール使用で下腿踵骨角度や骨盤前傾角度が有意に減少したことから,踵骨が回内位から中間位付近に誘導され,脛骨・大腿骨が外旋方向に移動し骨盤を後傾させたと考える。これはVICONを使用した研究と骨盤後傾まで類似した結果のため,下肢・骨盤アライメントはデジタルカメラでも計測でき,臨床現場で有用な測定方法であることが示唆された。また,FF群がNF群と骨盤変化までは同様な変化だったことから,扁平足へのインソール使用は下肢関節障害や腰痛の予防に期待できると考えられる。肩甲骨は胸郭上を動くため胸椎彎曲や胸郭形状から影響を受ける。本研究ではインソール使用により骨盤前傾の減少と肩甲骨上方回旋の増大が生じた。これは骨盤後傾により腰椎前彎や胸椎後彎が減少し,胸郭形状が変化したことで肩甲骨上方回旋が増大したと推測される。