[O-MT-14-6] ShearWave Elastographyを用いて体幹安定化エクササイズ時における体幹筋群の動態を検討する
Keywords:ShearWave Elastography, 筋硬度, 体幹安定化エクササイズ
【はじめに,目的】
筋機能の評価に関して近年,shearwave elastographyを使用して算出する筋硬度が新たな指標として注目されているが,この筋硬度を使用した体幹筋群の評価に関する先行研究は少なく,臨床においてよく使用される体幹安定化エクササイズ時の筋硬度や体幹ローカル筋とグローバル筋の筋硬度の違いなどは検討されていない。したがって,本研究の目的はshearwave elastographyを用いて,体幹安定化エクササイズにおける体幹筋群の筋硬度について検討することとした。
【方法】
対象は健常成人10名(25.8±6.0歳)で,計測機器は超音波画像診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を用いた。課題はDraw-in,Valsalvaの2つとした。画像処理は,解析対象とする外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の各筋上に直径2 mmの円状のROI(関心領域)を設定し筋硬度を算出した。解析項目は各課題における各筋の筋硬度および筋硬度変化率であり,これらを2-way ANOVAを用いて解析し,post-hocにはTukeyを使用した。有意水準は5%とした。
【結果】
安静時では内腹斜筋(10.7±4.0 kPa)および腹横筋(7.8±3.1 kPa)に比して外腹斜筋(18.6±8.5 kPa)の筋硬度が有意に高値であった(P<0.01)。Draw-in時では各筋の筋硬度に有意差は認められなかったが,Valsalva時では腹横筋(18.7±11.0 kPa)に比して外腹斜筋(33.1±18.3 kPa)の筋硬度が有意に高かった(P<0.01)。筋硬度変化率においてはDraw-in時,外腹斜筋(1.2±0.4)および内腹斜筋(1.2±0.4)に比して腹横筋(1.8±0.9)が有意に高値であった(P<0.05)が,Valsalva時に有意差は認められなかった。
【結論】
安静時の結果は体幹グローバル筋のようなトルク算出が主目的の筋では体幹ローカル筋のような比較的低活動にて機能する筋よりも筋硬度が高い可能性を示す。また,Draw-in時において筋硬度の絶対値では差がなく変化率で有意差が認められたことはDraw-inの特性を反映したものである。つまり,Draw-inにより体幹ローカル筋の分離的な活動性が増加した結果,安静時にみられた外腹斜筋との差が無くなったものと推察される。一方,Valsalva時の筋硬度変化率に関して有意差が認められなかったこともまたValsalvaの特性を反映した結果であると考える。つまり,体幹筋群全体を同時収縮させ剛性を高めるため対象3筋が一様に活動したものと推察される。先行研究より,四肢骨格筋においては収縮時に筋硬度が有意に増加するという報告がある。本結果から,体幹筋群においても活動性の増加に伴い筋硬度は増加し,さらに,筋硬度はエクササイズの特性を反映することができるパラメータであることが示された。しかしながら,本研究からは体幹筋群における筋硬度の変化が持つ意味についての言及はできないため,今後は筋活動など他のパラメータとの関連性や非特異的慢性腰痛症例での検討を行う必要がある。
筋機能の評価に関して近年,shearwave elastographyを使用して算出する筋硬度が新たな指標として注目されているが,この筋硬度を使用した体幹筋群の評価に関する先行研究は少なく,臨床においてよく使用される体幹安定化エクササイズ時の筋硬度や体幹ローカル筋とグローバル筋の筋硬度の違いなどは検討されていない。したがって,本研究の目的はshearwave elastographyを用いて,体幹安定化エクササイズにおける体幹筋群の筋硬度について検討することとした。
【方法】
対象は健常成人10名(25.8±6.0歳)で,計測機器は超音波画像診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を用いた。課題はDraw-in,Valsalvaの2つとした。画像処理は,解析対象とする外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の各筋上に直径2 mmの円状のROI(関心領域)を設定し筋硬度を算出した。解析項目は各課題における各筋の筋硬度および筋硬度変化率であり,これらを2-way ANOVAを用いて解析し,post-hocにはTukeyを使用した。有意水準は5%とした。
【結果】
安静時では内腹斜筋(10.7±4.0 kPa)および腹横筋(7.8±3.1 kPa)に比して外腹斜筋(18.6±8.5 kPa)の筋硬度が有意に高値であった(P<0.01)。Draw-in時では各筋の筋硬度に有意差は認められなかったが,Valsalva時では腹横筋(18.7±11.0 kPa)に比して外腹斜筋(33.1±18.3 kPa)の筋硬度が有意に高かった(P<0.01)。筋硬度変化率においてはDraw-in時,外腹斜筋(1.2±0.4)および内腹斜筋(1.2±0.4)に比して腹横筋(1.8±0.9)が有意に高値であった(P<0.05)が,Valsalva時に有意差は認められなかった。
【結論】
安静時の結果は体幹グローバル筋のようなトルク算出が主目的の筋では体幹ローカル筋のような比較的低活動にて機能する筋よりも筋硬度が高い可能性を示す。また,Draw-in時において筋硬度の絶対値では差がなく変化率で有意差が認められたことはDraw-inの特性を反映したものである。つまり,Draw-inにより体幹ローカル筋の分離的な活動性が増加した結果,安静時にみられた外腹斜筋との差が無くなったものと推察される。一方,Valsalva時の筋硬度変化率に関して有意差が認められなかったこともまたValsalvaの特性を反映した結果であると考える。つまり,体幹筋群全体を同時収縮させ剛性を高めるため対象3筋が一様に活動したものと推察される。先行研究より,四肢骨格筋においては収縮時に筋硬度が有意に増加するという報告がある。本結果から,体幹筋群においても活動性の増加に伴い筋硬度は増加し,さらに,筋硬度はエクササイズの特性を反映することができるパラメータであることが示された。しかしながら,本研究からは体幹筋群における筋硬度の変化が持つ意味についての言及はできないため,今後は筋活動など他のパラメータとの関連性や非特異的慢性腰痛症例での検討を行う必要がある。