[O-MT-18-4] 初発大腿骨転子部骨折骨接合術患者におけるM-FIM予後予測式の考案
Keywords:初発大腿骨転子部骨折, M-FIM, 予後予測
【はじめに,目的】
運動器疾患では大腿骨近位部骨折後の歩行獲得や転帰先等の予後予測は多いが,運動項目のFunctional Independence Measure(以下;M-FIM)に関する報告や,病前M-FIMを因子に列挙している報告は散見される程度である。今回M-FIM推移を後方視的に調査,術日を1病日とし,回復期リハビリテーション病棟(以下;回復期リハ病棟)の入院時,入院後1週間,1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月各々の病日の5点を取り散布図から対数近似曲線との相関を調査した。R-square=0.947(0.606-0.998)となり,相関の可能性が示唆された。そこで今回,我々は指定病日数におけるM-FIM予後予測式を算出およびその妥当性を検証。病前M-FIMが予後予測に影響起因するのかを調査,また時期による点数推移を予測することにより,目標到達ADLに合わせた院内や家屋内における環境設定の考案等を予見することで円滑な在宅退院また介護保険下への移行に対する一助とすることを目的とした。
【方法】
平成25年4月から平成28年3月に入退院した初発大腿骨転子部骨折患者,かつ90病日まで経過を追えた者32例を対象とした。対象内訳として,年齢86(69-96)歳,病前M-FIM83.5(54-91)点,性別男性4例,女性28例,Evans分類にて安定型20例(type1group1-6例,group2-14例,術式CHS6例,γ-nail8例,PFNA6例),不安定型12例(type1group3-9例,group4-3例,術式CHS8例,γ-nail4例),受傷~回復期リハ病棟転院20(8-45)日,回復期リハ病棟在院日数87.5(78-92)日とした。
目的変数を90病日M-FIM,説明変数を病前M-FIM,年齢とし重回帰分析を実施。相関を示した際,重回帰式を算出し得られた値を90病日M-FIM予測値とした。1病日のM-FIM13点,90病日のM-FIM予測値の2点から対数近似曲線を算出。
また,算出式の実用性検証方法として,単純無作為法にて対象における回復期リハ病棟入院後1週間,1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月各々の病日の4項目から1項目を抽出し,M-FIM予測値と実測値の相関係数を算出した。
【結果】
重回帰分析の結果,r=0.826,R-square=0.681(P<0.05)と相関が得られ,90日M-FIM予測値=53.54+(0.8256×病前M-FIM)+(-0.69×年齢)と算出。得られた重回帰式を用い算出された対数近似曲線式は,予測病日M-FIM=a×LN(x)+13,Slope関数にて係数a=Slope(13:90病日予測M-FIM,LN(1:90))を代入し予後予測式を算出。算出後,単純無作為法を実施した。Pearsonの相関係数は0.6863(P<0.05)となった。
【結論】
大腿骨転子部骨折におけるM-FIMは対数近似曲線と相関した推移をたどり,予測式を算出することにより,算出したい病日におけるM-FIMの予測が可能になる事が示唆された。なお年齢と病前のM-FIMは予測式に影響起因する為,情報収集は必須である。またM-FIM予測値を算出することで患者の円滑な在宅退院と,介護保険下のフォローへ繋げることが可能になると思われる。
運動器疾患では大腿骨近位部骨折後の歩行獲得や転帰先等の予後予測は多いが,運動項目のFunctional Independence Measure(以下;M-FIM)に関する報告や,病前M-FIMを因子に列挙している報告は散見される程度である。今回M-FIM推移を後方視的に調査,術日を1病日とし,回復期リハビリテーション病棟(以下;回復期リハ病棟)の入院時,入院後1週間,1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月各々の病日の5点を取り散布図から対数近似曲線との相関を調査した。R-square=0.947(0.606-0.998)となり,相関の可能性が示唆された。そこで今回,我々は指定病日数におけるM-FIM予後予測式を算出およびその妥当性を検証。病前M-FIMが予後予測に影響起因するのかを調査,また時期による点数推移を予測することにより,目標到達ADLに合わせた院内や家屋内における環境設定の考案等を予見することで円滑な在宅退院また介護保険下への移行に対する一助とすることを目的とした。
【方法】
平成25年4月から平成28年3月に入退院した初発大腿骨転子部骨折患者,かつ90病日まで経過を追えた者32例を対象とした。対象内訳として,年齢86(69-96)歳,病前M-FIM83.5(54-91)点,性別男性4例,女性28例,Evans分類にて安定型20例(type1group1-6例,group2-14例,術式CHS6例,γ-nail8例,PFNA6例),不安定型12例(type1group3-9例,group4-3例,術式CHS8例,γ-nail4例),受傷~回復期リハ病棟転院20(8-45)日,回復期リハ病棟在院日数87.5(78-92)日とした。
目的変数を90病日M-FIM,説明変数を病前M-FIM,年齢とし重回帰分析を実施。相関を示した際,重回帰式を算出し得られた値を90病日M-FIM予測値とした。1病日のM-FIM13点,90病日のM-FIM予測値の2点から対数近似曲線を算出。
また,算出式の実用性検証方法として,単純無作為法にて対象における回復期リハ病棟入院後1週間,1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月各々の病日の4項目から1項目を抽出し,M-FIM予測値と実測値の相関係数を算出した。
【結果】
重回帰分析の結果,r=0.826,R-square=0.681(P<0.05)と相関が得られ,90日M-FIM予測値=53.54+(0.8256×病前M-FIM)+(-0.69×年齢)と算出。得られた重回帰式を用い算出された対数近似曲線式は,予測病日M-FIM=a×LN(x)+13,Slope関数にて係数a=Slope(13:90病日予測M-FIM,LN(1:90))を代入し予後予測式を算出。算出後,単純無作為法を実施した。Pearsonの相関係数は0.6863(P<0.05)となった。
【結論】
大腿骨転子部骨折におけるM-FIMは対数近似曲線と相関した推移をたどり,予測式を算出することにより,算出したい病日におけるM-FIMの予測が可能になる事が示唆された。なお年齢と病前のM-FIMは予測式に影響起因する為,情報収集は必須である。またM-FIM予測値を算出することで患者の円滑な在宅退院と,介護保険下のフォローへ繋げることが可能になると思われる。