[O-MT-18-6] リング型創外固定器に対する足底装具が痛みや歩行へ与える効果
Keywords:リング型創外固定器, 足底装具, ワイヤー刺入部痛
【はじめに,目的】
リング型創外固定器(創外固定)は強固な固定により,難治性の骨折や変形が治療可能となる画期的な手段である。しかし,創外固定のリハビリテーションに関する報告はほとんどなく,統一された治療方針がない。臨床上,術直後から早期荷重や自立歩行が許可されるが,足関節を固定される症例では,特に踵部のワイヤー刺入部痛により,歩行時の踵接地が困難となることが多い。そのため,荷重や歩行獲得にはワイヤー刺入部痛を軽減するような足底装具が必要となる。痛みの原因として,ワイヤー刺入部周囲の軟部組織が変形することで生じるメカニカルストレスと考え,軟部組織の形状を維持する新しい足底装具を作製した。本研究の目的は,創外固定に装着可能な新しい足底装具が歩行能力や足圧分布に与える効果を明らかにすることである。
【方法】
対象は内反型変形性足関節症に対し遠位脛骨斜め骨切り術を施行され,創外固定を装着した5例(男性2例,女性3例)であった。術後は疼痛に応じて全荷重歩行を許可された。また,術後3日目に装具を採型し,術後10日目から装具装着を開始した。我々が作成した足底装具は,ワイヤー刺入部の側壁を削り,円滑な体重移動を目的にロッカーバーとカットオフヒールを有する構造である。評価項目は,ワイヤー刺入部痛の疼痛評価テスト(NRS)と荷重率(最大荷重量/体重),10m歩行時間,足圧分布測定システム(ニッタ社製)による5歩行周期中の立脚期における最大荷重点とその部位におけるピーク圧力とし,各3回計測した。術後2週に裸足群と装具群の2群で比較した。統計解析は対応のあるt検定検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
NRSは裸足群で6.0±1.2(Mean±SD),装具群で4.0±1.4であり,装具群で有意に痛みが減少した(p<.05)。荷重率は裸足群が32.6±10.3%,装具群で69.6±6.1%であり,装具群は有意に荷重量が多かった(p<.05)。歩行時間は裸足群が26.2±3.1秒,装具群が24.2±3.5秒であり,装具群が有意に短かった(p<.05)。最大荷重点とピーク圧力は,健側では裸足群で踵部に2.0±0.2kg/cm2,装具群で踵部に2.5±0.3kg/cm2であり,有意差は認められなかった。一方,患側では裸足群で小趾中足骨頭に1.5±0.3kg/cm2,装具群で踵部に1.8±0.3kg/cm2であり,荷重点は健側と同様に踵へ移動した。
【結論】
今回作成した新しい足底装具は踵部の荷重痛を軽減させ,荷重率の増加や歩行時間の短縮をもたらした。足圧分布から,患側のワイヤー刺入部痛が踵部への荷重を阻害し,前足部接地を余儀なくされていた。しかし,足底装具によりワイヤー刺入部痛が軽減したことで,健側同様に最大荷重点を踵部に誘導したことを確認できた。本装具は創外固定器装着下で,より健常に近い状態での早期荷重や歩行獲得に貢献し,良好な治療成績につながる可能性がある。
リング型創外固定器(創外固定)は強固な固定により,難治性の骨折や変形が治療可能となる画期的な手段である。しかし,創外固定のリハビリテーションに関する報告はほとんどなく,統一された治療方針がない。臨床上,術直後から早期荷重や自立歩行が許可されるが,足関節を固定される症例では,特に踵部のワイヤー刺入部痛により,歩行時の踵接地が困難となることが多い。そのため,荷重や歩行獲得にはワイヤー刺入部痛を軽減するような足底装具が必要となる。痛みの原因として,ワイヤー刺入部周囲の軟部組織が変形することで生じるメカニカルストレスと考え,軟部組織の形状を維持する新しい足底装具を作製した。本研究の目的は,創外固定に装着可能な新しい足底装具が歩行能力や足圧分布に与える効果を明らかにすることである。
【方法】
対象は内反型変形性足関節症に対し遠位脛骨斜め骨切り術を施行され,創外固定を装着した5例(男性2例,女性3例)であった。術後は疼痛に応じて全荷重歩行を許可された。また,術後3日目に装具を採型し,術後10日目から装具装着を開始した。我々が作成した足底装具は,ワイヤー刺入部の側壁を削り,円滑な体重移動を目的にロッカーバーとカットオフヒールを有する構造である。評価項目は,ワイヤー刺入部痛の疼痛評価テスト(NRS)と荷重率(最大荷重量/体重),10m歩行時間,足圧分布測定システム(ニッタ社製)による5歩行周期中の立脚期における最大荷重点とその部位におけるピーク圧力とし,各3回計測した。術後2週に裸足群と装具群の2群で比較した。統計解析は対応のあるt検定検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
NRSは裸足群で6.0±1.2(Mean±SD),装具群で4.0±1.4であり,装具群で有意に痛みが減少した(p<.05)。荷重率は裸足群が32.6±10.3%,装具群で69.6±6.1%であり,装具群は有意に荷重量が多かった(p<.05)。歩行時間は裸足群が26.2±3.1秒,装具群が24.2±3.5秒であり,装具群が有意に短かった(p<.05)。最大荷重点とピーク圧力は,健側では裸足群で踵部に2.0±0.2kg/cm2,装具群で踵部に2.5±0.3kg/cm2であり,有意差は認められなかった。一方,患側では裸足群で小趾中足骨頭に1.5±0.3kg/cm2,装具群で踵部に1.8±0.3kg/cm2であり,荷重点は健側と同様に踵へ移動した。
【結論】
今回作成した新しい足底装具は踵部の荷重痛を軽減させ,荷重率の増加や歩行時間の短縮をもたらした。足圧分布から,患側のワイヤー刺入部痛が踵部への荷重を阻害し,前足部接地を余儀なくされていた。しかし,足底装具によりワイヤー刺入部痛が軽減したことで,健側同様に最大荷重点を踵部に誘導したことを確認できた。本装具は創外固定器装着下で,より健常に近い状態での早期荷重や歩行獲得に貢献し,良好な治療成績につながる可能性がある。