[O-MT-19-1] 保存療法を施行した脊椎圧迫骨折患者の離床開始前後における活動量の変化が多面的アウトカムにおよぼす影響
腰背部痛,ADL能力,精神心理面,椎体圧潰に着目して
Keywords:脊椎圧迫骨折, 活動量の変化, ADL
【はじめに,目的】非特異的急性腰背部痛において,発症初期の活動の維持が痛みや運動機能面の改善に好影響をもたらすとしたエビデンスが示されている(Cochrane Database Syst Rev. 2010)。われわれはこのような報告を参考に,第51回本学術大会において,脊椎圧迫骨折(VCF)受傷後早期の安静臥床期間における活動量が高いほど,腰背部痛(LBP)の軽減やADL能力の改善が得られやすいことを報告した。一方,実際の臨床では安静臥床期間の活動量に比べ,離床開始後に活動量が増加する者もいれば,しない者も存在し,活動量の変化は様々である。また,このような活動量の変化が上記のアウトカムに加え,精神心理面や椎体圧潰の進行におよぼす影響は不明である。そこで,本研究ではVCF患者の離床開始前後での活動量の変化がLBPやADL能力,精神心理面,椎体圧潰に与える影響について検討した。
【方法】対象は保存療法を施行した新鮮VCF患者66例(男性10例,女性56例,81.7±7.5歳)である。対象者には入院時(baseline;BL)より単軸活動量計(Lifecorder GS,Suzuken)を装着させ,臥床期間であるBL~1週目(w)と離床開始となる1~2wの一日平均活動時間(1~9METs)の差を離床開始前後での活動量の変化値とした。また,安静時・立ち上がり時・歩行時のLBPを「全く痛くない:0」~「耐えられないほど痛い:4」の5段階のverbal rating scale(VRS)を用い,BL,2w,4wに評価した。さらに,ADLはfunctional independence measure運動項目(mFIM)を用いてBL,2w,4wに評価し,mFIM改善率を算出した(Koh GC-H, et al., 2013)。また,精神心理面の評価として,老年期うつ病評価尺度(GDS-15)ならびに痛みの破局的思考を評価するpain catastrophizing scale(PCS)をBL,2w,4wに評価した。椎体変形については,骨折椎体の前・中・後壁の圧潰率をBLと4wに計測し,BL~4wにおける圧潰進行率を算出した(Teng MM, et al., 2003)。分析として,活動量の変化値の中央値から高活動群と低活動群に分け,両群間で各評価項目を比較した。
【結果】年齢,性別,BL~1wの活動時間,BLの各評価項目は両群間で有意差を認めなかった。2wにおいて,高活動群のmFIM得点,mFIM改善率は低活動群のそれらに比べ有意に高値を示したが,その他の評価項目は両群間に有意差を認めなかった。4wにおいても,高活動群のmFIM得点,mFIM改善率は低活動群のそれらに比べ有意に高値を示し,立ち上がり時VRSならびにGDS-15は高活動群が低活動群に比べ有意に低値を示した。一方,PCSは両群間に有意差を認めず,中・後壁の圧潰進行率は高活動群が低活動群に比べ有意に高値を示した。
【結論】今回の結果から,VCF受傷後の離床前後での活動量が増加する者ほどLBPや精神心理面,ADL能力の改善は得られやすいことが示唆された。しかし,椎体変形の進行を惹起するリスクがあることも否めず,動作指導や活動量の調整を行うなどの配慮が必要である。
【方法】対象は保存療法を施行した新鮮VCF患者66例(男性10例,女性56例,81.7±7.5歳)である。対象者には入院時(baseline;BL)より単軸活動量計(Lifecorder GS,Suzuken)を装着させ,臥床期間であるBL~1週目(w)と離床開始となる1~2wの一日平均活動時間(1~9METs)の差を離床開始前後での活動量の変化値とした。また,安静時・立ち上がり時・歩行時のLBPを「全く痛くない:0」~「耐えられないほど痛い:4」の5段階のverbal rating scale(VRS)を用い,BL,2w,4wに評価した。さらに,ADLはfunctional independence measure運動項目(mFIM)を用いてBL,2w,4wに評価し,mFIM改善率を算出した(Koh GC-H, et al., 2013)。また,精神心理面の評価として,老年期うつ病評価尺度(GDS-15)ならびに痛みの破局的思考を評価するpain catastrophizing scale(PCS)をBL,2w,4wに評価した。椎体変形については,骨折椎体の前・中・後壁の圧潰率をBLと4wに計測し,BL~4wにおける圧潰進行率を算出した(Teng MM, et al., 2003)。分析として,活動量の変化値の中央値から高活動群と低活動群に分け,両群間で各評価項目を比較した。
【結果】年齢,性別,BL~1wの活動時間,BLの各評価項目は両群間で有意差を認めなかった。2wにおいて,高活動群のmFIM得点,mFIM改善率は低活動群のそれらに比べ有意に高値を示したが,その他の評価項目は両群間に有意差を認めなかった。4wにおいても,高活動群のmFIM得点,mFIM改善率は低活動群のそれらに比べ有意に高値を示し,立ち上がり時VRSならびにGDS-15は高活動群が低活動群に比べ有意に低値を示した。一方,PCSは両群間に有意差を認めず,中・後壁の圧潰進行率は高活動群が低活動群に比べ有意に高値を示した。
【結論】今回の結果から,VCF受傷後の離床前後での活動量が増加する者ほどLBPや精神心理面,ADL能力の改善は得られやすいことが示唆された。しかし,椎体変形の進行を惹起するリスクがあることも否めず,動作指導や活動量の調整を行うなどの配慮が必要である。