[O-NV-01-2] 急性期重症片麻痺を呈する脳卒中症例における長下肢装具から早期に短下肢装具へ移行予測因子の検討
Keywords:長下肢装具, 体幹機能, NIHSS
【はじめに,目的】重症片麻痺を呈した脳卒中患者において発症早期であれば長下肢装具(以下,KAFO)から短下肢装具(以下,AFO)へ移行できる可能性が高く,その割合はおおむね60%とされている(大峯1991)。装具療法においては症例に合った下肢装具を使用することは治療効果の向上,運動量の増加や皮膚障害・疼痛予防など有益であり,早期に作製することが望ましい。しかし,治療用装具としてのKAFOの使用期間や早期にAFOに移行できる症例が存在するため,急性期において下肢装具を作成する判断に難渋することが多い。本研究の目的は,KAFOから早期にAFOへ移行できる重症片麻痺を呈した急性期脳卒中症例を早期に予測できる客観的指標を検討することである。
【方法】2011年4月から2016年7月までに当院に入院,リハビリテーションを実施した脳卒中患者522例のうち,KAFOを使用した歩行運動を発症より14日以内に開始した重症片麻痺例(n=33)を抽出した。対象症例を歩行運動開始後1ヶ月以内にAFOに移行できた症例を移行群(n=15),AFOに移行できなかった症例を非移行群(n=18)とし,一般特性および理学療法開始時のJapan Coma Scale(以下,JCS),National Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS),Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の下肢運動機能合計点,体幹機能合計点,Barthel Index,歩行運動開始時期を比較した。有意差を認めた項目について多重ロジスティック回帰分析を行った。さらに選択された従属変数についてReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線を用いて,感度,特異度,カットオフ値を算出した。有意水準は5%未満とした。
【結果】2群間比較にて有意差を求めた項目はNIHSS(p=0.0007),SIASの体幹機能合計点(p=0.0327)であり,多重ロジスティック回帰分析にてNIHSS(odds ratio:0.663,95%CI:0.491-0.896,p=0.0074)が選択された。AFOに移行できるカットオフ値はNIHSSで11点,感度0.944,特異度0.733,曲線下面積は0.846(95%CI:0.702-0.991)であった。
【結論】本結果より著しい体幹機能障害を呈した重症片麻痺例においてNIHSSにて11点をカットオフ値としてKAFOから早期にAFOへ移行できる症例を発症早期で予測が可能と考えられた。このことより,発症早期での重症片麻痺例に対する下肢装具作製の判断基準が明確となり,種々の急性期合併症をはじめとした患者各々の全身状態を加味した上で,早期に治療用下肢装具の作製が可能と考えられた。
【方法】2011年4月から2016年7月までに当院に入院,リハビリテーションを実施した脳卒中患者522例のうち,KAFOを使用した歩行運動を発症より14日以内に開始した重症片麻痺例(n=33)を抽出した。対象症例を歩行運動開始後1ヶ月以内にAFOに移行できた症例を移行群(n=15),AFOに移行できなかった症例を非移行群(n=18)とし,一般特性および理学療法開始時のJapan Coma Scale(以下,JCS),National Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS),Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の下肢運動機能合計点,体幹機能合計点,Barthel Index,歩行運動開始時期を比較した。有意差を認めた項目について多重ロジスティック回帰分析を行った。さらに選択された従属変数についてReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線を用いて,感度,特異度,カットオフ値を算出した。有意水準は5%未満とした。
【結果】2群間比較にて有意差を求めた項目はNIHSS(p=0.0007),SIASの体幹機能合計点(p=0.0327)であり,多重ロジスティック回帰分析にてNIHSS(odds ratio:0.663,95%CI:0.491-0.896,p=0.0074)が選択された。AFOに移行できるカットオフ値はNIHSSで11点,感度0.944,特異度0.733,曲線下面積は0.846(95%CI:0.702-0.991)であった。
【結論】本結果より著しい体幹機能障害を呈した重症片麻痺例においてNIHSSにて11点をカットオフ値としてKAFOから早期にAFOへ移行できる症例を発症早期で予測が可能と考えられた。このことより,発症早期での重症片麻痺例に対する下肢装具作製の判断基準が明確となり,種々の急性期合併症をはじめとした患者各々の全身状態を加味した上で,早期に治療用下肢装具の作製が可能と考えられた。