[O-NV-03-1] 急性期脳梗塞片麻痺患者の大腿直筋及び中間広筋における筋厚の変化
Keywords:急性期脳梗塞, 筋厚, 超音波診断装置
【はじめに,目的】
脳卒中治療ガイドライン2015によると急性期リハビリテーションでは廃用症候群を予防し,早期のADL向上を図るために早期離床や運動量及び頻度を増やすことが推奨される。意識障害の回復,合併症の予防といった治療枠組みの中で,廃用症候群の予防にも努める必要がある。脳卒中片麻痺患者では筋萎縮を認めることが多く,筋萎縮の予防は急性期理学療法の治療戦略の一つとして重要であると言える。急性期脳卒中片麻痺患者を対象とした筋量減少に関する報告は近年増加しており,Nozoeら(2016)は麻痺則は1週目から,非麻痺側は2週目から筋厚の減少を認めたと報告している。長期臥床やギプス固定による廃用性筋萎縮は速筋線維よりも遅筋線維が優位に萎縮するとされる一方で,急性期脳卒中片麻痺患者を対象とした速筋線維と遅筋線維の含有量に差のある大腿直筋(RF)と中間広筋(IV)の筋量減少を比較した報告は見当たらない。よって本研究の目的は,脳梗塞発症直後から2週までにおける両側RF,IVの筋厚の変化を検討することとした。
【方法】
方法は計測日を1病日,7病日,14病日設けた前向き研究である。対象は発症後24時間以内の大脳半球一側のみに病巣を認めた初発脳梗塞患者の内,病前ADLが自立していた13例(男性9例,女性4例,平均年齢75.8±8.9歳)であった。1病日目のBody Mass Indexは22.3±2.3kg/m2,下肢運動麻痺はBrunnstrom Recovery StageにてII:4例,III:3例,IV:3例,V:3例であった。筋厚評価には超音波診断装置(See More,株式会社メディコスヒラタ)を用いた。計測肢位は股関節中間位の安静臥位とし,照射部位は先行研究に準拠し,上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結んだ中点とした。筋厚は画像解析ソフトImageJにて骨,筋膜を除いた距離で算出した。統計解析はRF,IV筋厚の変化は反復測定分散分析を用い,事後検定はTukey法を行った。また各筋の変化量を算出し,対応のあるt検定を用いて麻痺側と非麻痺側の差,RFとIVの差について検定を行った。有意水準は5%未満とした。統計処理にはSPSS ver23を用いた。
【結果】
1病日目を基準とした筋厚の減少割合は,麻痺側RFは7病日13.8%,14病日9.2%,非麻痺側RFは7病日9.6%,14病日8%,麻痺側IVは7病日19.7%,14病日5.6%,非麻痺側IVは7病日16.6%,14病日0.3%の減少となった。反復測定分散分析の結果,両側RF,IVで1病日目に対して7病日目,14病日目に有意な減少を認めた(p<0.05)。対応のあるt検定の結果,変化量は麻痺側と非麻痺側で有意差を認めず,RFとIVは10%の危険率で変化量の差の傾向を認めた。
【結論】
両側RF,IVともに7病日目の筋厚の減少割合が高いことから7病日以内に筋萎縮が生じ,麻痺側だけでなく非麻痺側の筋厚の減少が生じたことから不活動の影響を受ける可能性があると考えられる。筋線維タイプ含有量が異なるRF,IVの変化量の差に傾向があるため,更にデータ収集を行い検討していく。
脳卒中治療ガイドライン2015によると急性期リハビリテーションでは廃用症候群を予防し,早期のADL向上を図るために早期離床や運動量及び頻度を増やすことが推奨される。意識障害の回復,合併症の予防といった治療枠組みの中で,廃用症候群の予防にも努める必要がある。脳卒中片麻痺患者では筋萎縮を認めることが多く,筋萎縮の予防は急性期理学療法の治療戦略の一つとして重要であると言える。急性期脳卒中片麻痺患者を対象とした筋量減少に関する報告は近年増加しており,Nozoeら(2016)は麻痺則は1週目から,非麻痺側は2週目から筋厚の減少を認めたと報告している。長期臥床やギプス固定による廃用性筋萎縮は速筋線維よりも遅筋線維が優位に萎縮するとされる一方で,急性期脳卒中片麻痺患者を対象とした速筋線維と遅筋線維の含有量に差のある大腿直筋(RF)と中間広筋(IV)の筋量減少を比較した報告は見当たらない。よって本研究の目的は,脳梗塞発症直後から2週までにおける両側RF,IVの筋厚の変化を検討することとした。
【方法】
方法は計測日を1病日,7病日,14病日設けた前向き研究である。対象は発症後24時間以内の大脳半球一側のみに病巣を認めた初発脳梗塞患者の内,病前ADLが自立していた13例(男性9例,女性4例,平均年齢75.8±8.9歳)であった。1病日目のBody Mass Indexは22.3±2.3kg/m2,下肢運動麻痺はBrunnstrom Recovery StageにてII:4例,III:3例,IV:3例,V:3例であった。筋厚評価には超音波診断装置(See More,株式会社メディコスヒラタ)を用いた。計測肢位は股関節中間位の安静臥位とし,照射部位は先行研究に準拠し,上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結んだ中点とした。筋厚は画像解析ソフトImageJにて骨,筋膜を除いた距離で算出した。統計解析はRF,IV筋厚の変化は反復測定分散分析を用い,事後検定はTukey法を行った。また各筋の変化量を算出し,対応のあるt検定を用いて麻痺側と非麻痺側の差,RFとIVの差について検定を行った。有意水準は5%未満とした。統計処理にはSPSS ver23を用いた。
【結果】
1病日目を基準とした筋厚の減少割合は,麻痺側RFは7病日13.8%,14病日9.2%,非麻痺側RFは7病日9.6%,14病日8%,麻痺側IVは7病日19.7%,14病日5.6%,非麻痺側IVは7病日16.6%,14病日0.3%の減少となった。反復測定分散分析の結果,両側RF,IVで1病日目に対して7病日目,14病日目に有意な減少を認めた(p<0.05)。対応のあるt検定の結果,変化量は麻痺側と非麻痺側で有意差を認めず,RFとIVは10%の危険率で変化量の差の傾向を認めた。
【結論】
両側RF,IVともに7病日目の筋厚の減少割合が高いことから7病日以内に筋萎縮が生じ,麻痺側だけでなく非麻痺側の筋厚の減少が生じたことから不活動の影響を受ける可能性があると考えられる。筋線維タイプ含有量が異なるRF,IVの変化量の差に傾向があるため,更にデータ収集を行い検討していく。