[O-NV-06-2] 経皮的脊髄電気刺激を用いたFunctional Assistive Stimulation walkによる脳卒中片麻痺患者の歩行機能改善
足圧分布解析装置とSymmetry Indexを用いた検討
Keywords:脳卒中片麻痺, 経皮的脊髄刺激, 歩行再建
【はじめに】
ヒトの歩行運動は脊髄反射を用いた運動により構成されている。拮抗筋との相反する動きは相反性抑制により制御されており,遊脚期における下肢の振出しはflexor reflexの利用により再現が可能である。また遊脚相に対して対側の下肢の立脚は交叉性伸展反射を利用している。歩行ではこれらの脊髄歩行回路を利用し,それを上位中枢からの制御により調節していると考えられる。
Hofstoetter, et al.(2008)は非侵襲的な表面電極による経皮的脊髄電気刺激により健常成人において大腿四頭筋,ハムストリングス,前脛骨筋,下腿三頭筋に歩行類似の筋活動を誘発することが可能であることを報告している。そこで我々は,非麻痺側下腿三頭筋筋活動により片麻痺患者の歩行周期における遊脚期初期ならびに立脚期後期を判別し,非麻痺側下腿三頭筋筋活動をトリガーとして運動閾値下の刺激強度のburst刺激を随意的なトレッドミル歩行に合わせて経皮的に脊髄後根へ与えるFunctional Assistive Stimulation walk(以下:FAST walk)を開発した。今回,FAST walkによる歩行機能改善を足圧分布解析装置とSymmetry index(以下:SI)を用いて検討した。
【方法】
対象は6ヵ月以上経過した脳卒中片麻痺患者4名(44.5±12.1)。FAST walkを用いた15分間のトレッドミル歩行を5分の休憩をはさんで2回施行。これを週1回,計10回行った。
介入前後においてトレッドミル足圧分析(ノラクソン社製マイオプレッシャー)により麻痺側立脚時間,非麻痺側立脚時間を計測し,歩行周期におけるそれぞれの時間比を計測した。またストライド長の計測を行った。歩行対称性の評価にはSI=(非麻痺側立脚時間比-麻痺側立脚時間比)/0.5(非麻痺側立脚時間比+麻痺側立脚時間比)を用いた。
【結果】
介入前後でストライド長は41.2cmから62.7cmと改善を認め[95%信頼区間-29.7~-13.2],SIは0.097から0.069と改善を認めた[95%信頼区間-0.01~0.069]。
【結論】
本法は歩行周期における遊脚期初期の麻痺肢振出しと立脚中期における股関節伸展のタイミングに合わせて,脊髄反射を利用して脊髄歩行回路の興奮性を上げ,随意的な歩行運動をアシストする。よって下降性経路による制御が不十分な脳卒中患者においても歩行機能の改善が得られたと考えられる。対称性も改善していることより,その改善が非麻痺側の代償ではなく,生理学的な歩行神経回路の利用による改善であると考えられる。
ヒトの歩行運動は脊髄反射を用いた運動により構成されている。拮抗筋との相反する動きは相反性抑制により制御されており,遊脚期における下肢の振出しはflexor reflexの利用により再現が可能である。また遊脚相に対して対側の下肢の立脚は交叉性伸展反射を利用している。歩行ではこれらの脊髄歩行回路を利用し,それを上位中枢からの制御により調節していると考えられる。
Hofstoetter, et al.(2008)は非侵襲的な表面電極による経皮的脊髄電気刺激により健常成人において大腿四頭筋,ハムストリングス,前脛骨筋,下腿三頭筋に歩行類似の筋活動を誘発することが可能であることを報告している。そこで我々は,非麻痺側下腿三頭筋筋活動により片麻痺患者の歩行周期における遊脚期初期ならびに立脚期後期を判別し,非麻痺側下腿三頭筋筋活動をトリガーとして運動閾値下の刺激強度のburst刺激を随意的なトレッドミル歩行に合わせて経皮的に脊髄後根へ与えるFunctional Assistive Stimulation walk(以下:FAST walk)を開発した。今回,FAST walkによる歩行機能改善を足圧分布解析装置とSymmetry index(以下:SI)を用いて検討した。
【方法】
対象は6ヵ月以上経過した脳卒中片麻痺患者4名(44.5±12.1)。FAST walkを用いた15分間のトレッドミル歩行を5分の休憩をはさんで2回施行。これを週1回,計10回行った。
介入前後においてトレッドミル足圧分析(ノラクソン社製マイオプレッシャー)により麻痺側立脚時間,非麻痺側立脚時間を計測し,歩行周期におけるそれぞれの時間比を計測した。またストライド長の計測を行った。歩行対称性の評価にはSI=(非麻痺側立脚時間比-麻痺側立脚時間比)/0.5(非麻痺側立脚時間比+麻痺側立脚時間比)を用いた。
【結果】
介入前後でストライド長は41.2cmから62.7cmと改善を認め[95%信頼区間-29.7~-13.2],SIは0.097から0.069と改善を認めた[95%信頼区間-0.01~0.069]。
【結論】
本法は歩行周期における遊脚期初期の麻痺肢振出しと立脚中期における股関節伸展のタイミングに合わせて,脊髄反射を利用して脊髄歩行回路の興奮性を上げ,随意的な歩行運動をアシストする。よって下降性経路による制御が不十分な脳卒中患者においても歩行機能の改善が得られたと考えられる。対称性も改善していることより,その改善が非麻痺側の代償ではなく,生理学的な歩行神経回路の利用による改善であると考えられる。