[O-NV-06-3] 運動誘発型電気刺激(IVES)と自転車エルゴメータの併用による急性期脳卒中患者の臨床的治療効果
Keywords:運動誘発型電気刺激(IVES), 自転車エルゴメータ, 急性期脳卒中
【はじめに,目的】脳卒中片麻痺者に対する機能的電気刺激療法(FES)を併用したペダリング動作は,下肢機能と歩行スピードを改善させるとの報告されているものの,随意筋電量に比例した筋活動を促すIVESを用いた研究や急性期片麻痺患者における報告は少ない。そこで,脳卒中急性期片麻痺患者に対するIVESを併用した自転車エルゴメータを用いた運動療法プログラムを考案し,下肢随意性と歩行関連パラメータに与える即時的な効果を検討した。
【方法】対象は急性期脳梗塞,脳出血患者17名,年齢は62±11.2歳。発症から初回計測までの平均経過日数9.3日±5.6日,男性14名で女性2名,全例右利きで麻痺側は右が11名,左が6名で補装具を使用せずに歩行能力の計測が可能で平均歩行速度は1.15m/sあった。自転車エルゴメータはコンビ社製エアロバイクⓇ75XLを使用した。設定は駆動時間7分,26W,50rpmとした。電気刺激はオージー技研社製低周波治療器IVESⓇ GD-611を2つ用い,下肢屈筋である前脛骨筋と伸筋の大腿四頭筋を標的筋とした。モード設定はパワーアシストを選択。クロスオーバー研究にて①IVESを併用する自転車エルゴメータから開始し,その後②自転車エルゴメータのみを実施する群と,②から開始し,その後①を実施する2群に分け,乱数表を用いて対象者を無作為に割り付けた。測定項目はStroke Impairment Assessment Set(SIAS)におけるfoot pat testとknee extension testの10秒間反復回数,10m快適歩行速度および歩数を2回計測し,歩行速度と歩行率を算出し平均の値を使用。測定は介入①②の前後に実施した。統計学的解析は,R-2.8.1を使用し有意水準はp=0.05とした。介入①と②による前後比較について対応のあるt検定もしくはWilcoxonの符号付き順位検定を用い,IVESの有無による差については2標本のt検定もしくはMann-WhitneyのU検定を用いた。解析値より効果量も算出した。
【結果】IVESを併用した自転車エルゴメータの前後,自転車エルゴメータのみの前後でともに全測定の平均値もしくは中央値に有意差を認め(p<0.05),効果量はいずれも大であった(r=0.58~0.88)。IVESの有無による差では,平均の歩行速度の改善度に有意差を認め(p=0.037),効果量は中であった(r=0.31)。
【結論】低負荷で実施する自転車エルゴメータによるペダリング運動であっても下肢機能,歩行を改善させる。さらにペダリング運動にIVESを併用したことで位相に応じた筋活動パターンが増強され,推進力へと反映し,歩行速度の向上をもたらしたと考える。軽度な歩行障害を有する急性期脳卒中患者に対するIVESを併用した自転車エルゴメータの介入は歩行速度改善効果を増強させる。
【方法】対象は急性期脳梗塞,脳出血患者17名,年齢は62±11.2歳。発症から初回計測までの平均経過日数9.3日±5.6日,男性14名で女性2名,全例右利きで麻痺側は右が11名,左が6名で補装具を使用せずに歩行能力の計測が可能で平均歩行速度は1.15m/sあった。自転車エルゴメータはコンビ社製エアロバイクⓇ75XLを使用した。設定は駆動時間7分,26W,50rpmとした。電気刺激はオージー技研社製低周波治療器IVESⓇ GD-611を2つ用い,下肢屈筋である前脛骨筋と伸筋の大腿四頭筋を標的筋とした。モード設定はパワーアシストを選択。クロスオーバー研究にて①IVESを併用する自転車エルゴメータから開始し,その後②自転車エルゴメータのみを実施する群と,②から開始し,その後①を実施する2群に分け,乱数表を用いて対象者を無作為に割り付けた。測定項目はStroke Impairment Assessment Set(SIAS)におけるfoot pat testとknee extension testの10秒間反復回数,10m快適歩行速度および歩数を2回計測し,歩行速度と歩行率を算出し平均の値を使用。測定は介入①②の前後に実施した。統計学的解析は,R-2.8.1を使用し有意水準はp=0.05とした。介入①と②による前後比較について対応のあるt検定もしくはWilcoxonの符号付き順位検定を用い,IVESの有無による差については2標本のt検定もしくはMann-WhitneyのU検定を用いた。解析値より効果量も算出した。
【結果】IVESを併用した自転車エルゴメータの前後,自転車エルゴメータのみの前後でともに全測定の平均値もしくは中央値に有意差を認め(p<0.05),効果量はいずれも大であった(r=0.58~0.88)。IVESの有無による差では,平均の歩行速度の改善度に有意差を認め(p=0.037),効果量は中であった(r=0.31)。
【結論】低負荷で実施する自転車エルゴメータによるペダリング運動であっても下肢機能,歩行を改善させる。さらにペダリング運動にIVESを併用したことで位相に応じた筋活動パターンが増強され,推進力へと反映し,歩行速度の向上をもたらしたと考える。軽度な歩行障害を有する急性期脳卒中患者に対するIVESを併用した自転車エルゴメータの介入は歩行速度改善効果を増強させる。