The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » 口述発表

[O-NV-10] 口述演題(神経)10

Sun. May 14, 2017 9:00 AM - 10:00 AM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:高村 浩司(健康科学大学理学療法学科)

日本神経理学療法学会

[O-NV-10-1] 病院完結型の脳卒中症例における発症7病日での在院日数の検討

實 結樹, 小野田 翔太, 浜野 祐樹 (上尾中央総合病院リハビリテーション技術科)

Keywords:在院日数, 脳出血・脳梗塞, 転帰

【はじめに,目的】

当院は,脳神経外科と神経内科,回復期リハビリテーション病棟を有しており,病院完結型の脳卒中治療を行っている。上野らは,初回介入時にNational Institutes of Health Stroke Scaleを用いて,急性期での転帰先と在院日数を検討している。急性期以降の在院日数は,実測ではなく予測値で報告している。当院では,回復期リハビリテーション病棟との連携にて,急性期病棟だけでなく,回復期病棟を含めた在院日数の短縮が必要である。そのために,急性期での目安となる指標をもとに,目標期間を定めることは重要である。初回介入では,神経学的所見の変化や,その後の改善度も大きくなるために,当院では7日を目安に退院支援を行っている。また,その際に日常生活動作を参考に検討している現状がある。そこで,今回は発症後7病日でのmodified Rankin Scale(以下,mRS)の違いによる在院日数の検討を行うことを目的とした。


【方法】

対象は,2014年3月から2016年6月までに当院脳神経外科または神経内科病棟に入院し,理学療法を実施し,退院した1,359例とした。取り込み基準は,入院前mRS0であり,初発の脳出血・脳梗塞であることとした。入院前の生活が自宅以外である症例,転帰が死亡例,他院の回復期病院に転院した症例,発症から7日以内に退院した症例,データに不備があった症例を除外した,227例(男性:152例,女性:75例,年齢:72.1±11.9歳,脳出血:83例,脳梗塞:144例)を本研究の対象とした。対象に対して,基本情報(疾患名・年齢・性別),理学療法開始日,発症7病日でのmRS,転帰先,当院在院日数を診療録より後方視的に調査した。発症7病日でのmRSと在院日数について,Spearmanの順位相関検定を用いて,相関係数を算出した。また,各群における予測在院日数を中央値と四分位偏差の範囲として算出した。統計処理は,R2.8.1を使用し,有意水準は5%または1%とした。


【結果】

発症7病日でのmRSは1が14例(自宅:13例,施設:1例),2が33例(自宅:32例,施設:1例),3が62例(自宅:61例,維持期病院に転院:1例),4が91例(自宅:70例,施設:6例,維持期病院に転院:15例),5が27例(自宅:2例,施設:9例,維持期病院に転院:16例)であった。在院日数は,中央値±四分位偏差にて表し,mRSが1の症例で8.5±1.9日,2の症例で12.0±4.5日,3の症例で20±10.4日,4の症例で66±41.8日,5の症例で88±53.8日であった。対象の発症7病日でのmRSと在院日数の間には,順位相関係数:0.769と高い正の相関がみとめられた(p<0.01)。予測在院日数の中央値と四分位偏差の範囲に含まれる割合は,mRS1の症例では71.4%,2では58.8%,3では66.1%,4では59.3%,5では50%であった。


【結論】

発症7病日でのmRSと在院日数には高い正の相関がみられた。在院日数の目安を踏まえた急性期からのプロトコルの作成が今後の課題である。