[O-NV-10-2] 中大脳動脈起始部に閉塞を認めた心原性脳塞栓症患者における歩行自立の可否の検討
Keywords:中大脳動脈, 心原性脳塞栓症, 歩行
【はじめに,目的】
澤島らは中大脳動脈領域脳梗塞患者の,下肢運動機能・歩行能力の予後予測に急性期の磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:以下,MRI)を用いて,側脳室体部レベルの梗塞の内側比と横径比を評価することが有用と報告している。その他も中大脳動脈領域脳梗塞患者の予後予測の報告はみられるが,閉塞区域,病型を統一した報告はみられない。そこで,本研究の目的は中大脳動脈起始部閉塞の,心原性脳塞栓症患者の歩行自立の可否について検討することとした。
【方法】
対象は,平成25年7月から平成28年6月で,当院急性期病棟から回復期病棟を経由し退院した心原性脳塞栓症患者40例中,発症時の磁気共鳴血管造影(magnetic resonance angiography:MRA)にて中大脳動脈起始部閉塞を認め,初発の脳卒中,発症前modified Rankin Scale0の14例とした(歩行自立群5例,介助群9例)。
評価は,①リハビリ開始日数②離床日数③歩行練習開始日数④Berg Balance Scale(以下,BBS)座位3点到達日数⑤発症時Glasgow Coma Scale⑥発症時・退院時下肢Brunnstrom Recovery Stage(以下,BRS)⑦合併症有無⑧出血性梗塞有無⑨梗塞域の容積⑩脳室体部・基底核レベル内側への拡がり(以下,内側比)と横幅の大きさ(以下,横径比)とした。⑨梗塞域の容積は,発症時MRI(拡散強調画像)にて,梗塞域が最大に抽出されているスライスでの梗塞域の最大縦径(mm)×最大縦径と直行する方向の梗塞域の最大横径(mm)×梗塞域のみられるスライス数×スライス厚(mm)/2にて算出した。⑩脳室体部・基底核レベル内側比,横径比は,澤島らが考案した大脳縦列と垂直に交わる直線L1を引き,大脳縦列部を始点とした直線L1にて脳実質最大横径距離(A),梗塞域内側端までの距離(B)外側端までの距離(C)を測定し,内側比B/A×100,横径比を(C-B)/A×100にて算出した。側脳室体部レベルは側脳室,基底核レベルは第三脳室中央0~20mm前方の外側の範囲にて計測した。統計解析は回復期退院時の歩行自立可否をFunctional Ambulation Classificationの0から3を介助群,4・5を自立群に分け二群比較(T検定,U検定)を行った。統計解析はSPSSver.21.0を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
自立群vs介助群で有意差を示した項目は,BBS座位3点到達日数(中央値,7日vs 43日),退院時下肢BRS(中央値,V vs III),梗塞域の容積,側脳室体部レベルの内側比,横径比であった。
【結論】
側脳室体部レベルの内側比,横径比,梗塞域の容積で有意差がみられたが,発症時下肢BRSは有意差示さず,退院時下肢BRSで有意差がみられた。MRAで中大脳動脈起始部閉塞を認めても,発症時MRIで側脳室体部レベルの内側比,横径比を評価することが有用であることが示唆された。その他はBBS座位3点到達日数で有意差を示しており,中島や藤本の先行研究でも端座位保持を歩行自立の因子として報告している。本研究でも端座位保持能力が歩行自立に影響があることが示唆された。
澤島らは中大脳動脈領域脳梗塞患者の,下肢運動機能・歩行能力の予後予測に急性期の磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:以下,MRI)を用いて,側脳室体部レベルの梗塞の内側比と横径比を評価することが有用と報告している。その他も中大脳動脈領域脳梗塞患者の予後予測の報告はみられるが,閉塞区域,病型を統一した報告はみられない。そこで,本研究の目的は中大脳動脈起始部閉塞の,心原性脳塞栓症患者の歩行自立の可否について検討することとした。
【方法】
対象は,平成25年7月から平成28年6月で,当院急性期病棟から回復期病棟を経由し退院した心原性脳塞栓症患者40例中,発症時の磁気共鳴血管造影(magnetic resonance angiography:MRA)にて中大脳動脈起始部閉塞を認め,初発の脳卒中,発症前modified Rankin Scale0の14例とした(歩行自立群5例,介助群9例)。
評価は,①リハビリ開始日数②離床日数③歩行練習開始日数④Berg Balance Scale(以下,BBS)座位3点到達日数⑤発症時Glasgow Coma Scale⑥発症時・退院時下肢Brunnstrom Recovery Stage(以下,BRS)⑦合併症有無⑧出血性梗塞有無⑨梗塞域の容積⑩脳室体部・基底核レベル内側への拡がり(以下,内側比)と横幅の大きさ(以下,横径比)とした。⑨梗塞域の容積は,発症時MRI(拡散強調画像)にて,梗塞域が最大に抽出されているスライスでの梗塞域の最大縦径(mm)×最大縦径と直行する方向の梗塞域の最大横径(mm)×梗塞域のみられるスライス数×スライス厚(mm)/2にて算出した。⑩脳室体部・基底核レベル内側比,横径比は,澤島らが考案した大脳縦列と垂直に交わる直線L1を引き,大脳縦列部を始点とした直線L1にて脳実質最大横径距離(A),梗塞域内側端までの距離(B)外側端までの距離(C)を測定し,内側比B/A×100,横径比を(C-B)/A×100にて算出した。側脳室体部レベルは側脳室,基底核レベルは第三脳室中央0~20mm前方の外側の範囲にて計測した。統計解析は回復期退院時の歩行自立可否をFunctional Ambulation Classificationの0から3を介助群,4・5を自立群に分け二群比較(T検定,U検定)を行った。統計解析はSPSSver.21.0を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
自立群vs介助群で有意差を示した項目は,BBS座位3点到達日数(中央値,7日vs 43日),退院時下肢BRS(中央値,V vs III),梗塞域の容積,側脳室体部レベルの内側比,横径比であった。
【結論】
側脳室体部レベルの内側比,横径比,梗塞域の容積で有意差がみられたが,発症時下肢BRSは有意差示さず,退院時下肢BRSで有意差がみられた。MRAで中大脳動脈起始部閉塞を認めても,発症時MRIで側脳室体部レベルの内側比,横径比を評価することが有用であることが示唆された。その他はBBS座位3点到達日数で有意差を示しており,中島や藤本の先行研究でも端座位保持を歩行自立の因子として報告している。本研究でも端座位保持能力が歩行自立に影響があることが示唆された。