The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » 口述発表

[O-NV-12] 口述演題(神経)12

Sun. May 14, 2017 10:20 AM - 11:20 AM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:中 徹(群馬パース大学保健衛生学部理学療法学科), 座長:羽田 晋也(星ヶ丘医療センターリハビリテーション部)

日本神経理学療法学会

[O-NV-12-6] 理学療法を実施した精神科入院患者の継続入院に関連する因子の検討

石橋 雄介1, 西田 宗幹1, 林 久恵2 (1.秋津鴻池病院リハビリテーション部, 2.星城大学リハビリテーション学部)

Keywords:精神科, 理学療法, 継続入院

【はじめに,目的】

精神保健福祉政策の喫緊の課題として,精神科の長期入院対策が掲げられている。我々は,これまで,」長期入院予防を目的に精神科入院患者に対する理学療法(PT)を行なってきた。その結果,PTはBarthel Index(BI)およびGlobal Assessment of Functioning(GAF)の改善をもたらすが,終了後も継続入院を要する患者が半数程度存在することが明らかとなった。そこで,本研究では,PTを実施した精神科入院患者の継続入院に関連する因子について検討することを目的とした。

【方法】

当院精神科病棟に入院し,2012年1月から2014年12月までの期間にPTを実施した統合失調症もしくは気分障害を呈する連続症例を対象に,後方視的観察研究を行なった。調査項目はPT終了時の転帰,年齢,性別,精神疾患,身体疾患分類,身体疾患発症前の歩行自立度,PT処方前の入院日数,身体疾患発症からPT処方までの日数,PT実施日数,PT開始時および終了時BI,PT開始時および終了時GAFとし,評価項目のデータ欠損,終了時の転帰が転院もしくは死亡であった患者は除外した。統計学的解析は,PT終了後の継続入院の有無により2群に分類し,群間比較を行なった。連続変数の比較は正規性を確認後,t検定またはMann-Whitney U検定を,名義変数はχ2検定を行なった。有意水準は5%とした。多変量解析はPT終了後の継続入院の有無を従属変数とし,単変量解析にて有意差が検出された項目を独立変数とし,2項ロジスティック回帰分析を行なった。

【結果】

対象は88名(平均年齢63.2±13.8歳),そのうちPT終了後も継続入院を要した患者は45名であった。継続入院の有無による群間比較の結果,精神疾患(p=0.02),PT処方前の入院日数(p<0.01),終了時BI(p<0.01),開始時GAF(p<0.01),終了時GAF(p<0.01)に有意差を認めた。独立変数の投入にあたっては,PT処方前の入院日数,終了時BI,終了時GAFを中央値で2値化した。また,多重共線性に配慮し,開始時GAFは分析から除外した。2項ロジスティック回帰分析の結果,継続入院の有無と有意な独立変数は,PT処方前の入院日数(オッズ比6.65,95% CI 2.38-18.59,p<0.01),終了時BI(オッズ比3.51,95% CI 1.23-9.95,p=0.019)であった。

【結論】

多変量解析の結果,PTを実施した精神科入院患者の継続入院に関連する因子は,PT処方前の入院日数とPT終了時BIであった。理学療法士は身体疾患によって低下したADLの改善を支援することで,精神科入院患者の退院に寄与できることが示唆された。