[O-RS-03-2] 口腔内圧の段階的な負荷が横隔膜筋厚と胸腹部運動に及ぼす影響
Keywords:横隔膜筋厚, 呼吸筋力, 胸腹部運動
【はじめに,目的】
吸気筋力トレーニングは最大吸気位における横隔膜筋厚を増加させ,最大吸気口腔内圧(PImax)と強い相関があると示されているが,PImaxによる負荷量の変化が横隔膜に対してどのような影響を及ぼすかは定かではない。そこで本研究では,口腔内圧の段階的な負荷が横隔膜筋厚と胸腹部運動に及ぼす影響を明確にすることを目的とした。
【方法】
健常成人52名(男性24名・女性28名平均年齢22.5±2.2歳,身長164.6±7.2 cm,体重56.6±8.4 kg,BMI 20.8±2.1)を対象とした。
測定項目は,呼吸機能,および各段階的負荷における横隔膜筋厚,腋窩部拡張差及び,臍帯部拡張差とした。測定手順はまずPImaxを測定した後,負荷なし(以下rest)・20%PImax・40%PImax・60%PImax・80%PImaxの負荷を算出し,デジタル呼吸筋トレーナー(HaBInternational社製POWERbreatheTMKH2Pcsoftware)に入力した。入力順は各負荷3回ずつランダムに設定した。次に,各負荷における最大呼気~最大吸気位の胸腹部呼吸運動時の周径と最大吸気時の横隔膜筋厚を計測した。横隔膜筋厚は,超音波画像診断装置を用い,股関節膝関節屈曲90°股関節内外旋,内外転中間位,骨盤前後傾中間位の端座位にて右中腋窩線と第9肋間の交点につけた印と肋骨弓との間で測定した。腋窩部拡張差及び,臍帯部拡張差はRespiratory Inductance Plethysmography(RIP)を用いて経時的な周径の変化をリアルタイムに記録し,最大呼気位及び最大吸気位の周径を測定し算出した。
統計処理は,Shapiro-Wilk検定により正規性を確認した後,反復測定による分散分析あるいはFriedman検定により各負荷における筋厚・胸腹部周径の平均の差を検討し,事後検定としてSteel.Dwass検定を実施した。有意水準5%とした。
【結果】
横隔膜筋厚(cm)は,rest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,30±0.06/0.33±0.06/0.37±0.07/0.34±0.06/0.28±0.06であった。腋窩部最大吸気位周径-腋窩部最大呼気位周径(腋窩部拡張差)(cm)はrest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,5.77±1.72/5.62±1.69/5.65±1.72/5.57±1.71/5.51±1.72であった。臍帯部最大吸気位周径-臍帯部最大呼気位周径(臍帯部拡張差)(cm)rest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,1.50±1.83/1.49±1.85/1.41±1.80/1.35±1.66/1.31±1.70であった。
統計学的検討の結果,横隔膜筋厚は20%PImaxと60%PImaxを除く全ての負荷間で有意差を認めた(p<0.05)。腋窩部拡張差はrestと80%PImax間でのみ有意差を認めた(p<0.05)。臍帯部拡張差は有意差を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究の結果から,横隔膜の収縮を目的とするのであれば40%PImaxが適していることが明らかとなった。また,80%PImaxの高負荷のみ胸郭の拡張が最終域に達せず,横隔膜筋厚は最小であったことから横隔膜の収縮は胸郭の拡張域によって異なる可能性が示唆された。
吸気筋力トレーニングは最大吸気位における横隔膜筋厚を増加させ,最大吸気口腔内圧(PImax)と強い相関があると示されているが,PImaxによる負荷量の変化が横隔膜に対してどのような影響を及ぼすかは定かではない。そこで本研究では,口腔内圧の段階的な負荷が横隔膜筋厚と胸腹部運動に及ぼす影響を明確にすることを目的とした。
【方法】
健常成人52名(男性24名・女性28名平均年齢22.5±2.2歳,身長164.6±7.2 cm,体重56.6±8.4 kg,BMI 20.8±2.1)を対象とした。
測定項目は,呼吸機能,および各段階的負荷における横隔膜筋厚,腋窩部拡張差及び,臍帯部拡張差とした。測定手順はまずPImaxを測定した後,負荷なし(以下rest)・20%PImax・40%PImax・60%PImax・80%PImaxの負荷を算出し,デジタル呼吸筋トレーナー(HaBInternational社製POWERbreatheTMKH2Pcsoftware)に入力した。入力順は各負荷3回ずつランダムに設定した。次に,各負荷における最大呼気~最大吸気位の胸腹部呼吸運動時の周径と最大吸気時の横隔膜筋厚を計測した。横隔膜筋厚は,超音波画像診断装置を用い,股関節膝関節屈曲90°股関節内外旋,内外転中間位,骨盤前後傾中間位の端座位にて右中腋窩線と第9肋間の交点につけた印と肋骨弓との間で測定した。腋窩部拡張差及び,臍帯部拡張差はRespiratory Inductance Plethysmography(RIP)を用いて経時的な周径の変化をリアルタイムに記録し,最大呼気位及び最大吸気位の周径を測定し算出した。
統計処理は,Shapiro-Wilk検定により正規性を確認した後,反復測定による分散分析あるいはFriedman検定により各負荷における筋厚・胸腹部周径の平均の差を検討し,事後検定としてSteel.Dwass検定を実施した。有意水準5%とした。
【結果】
横隔膜筋厚(cm)は,rest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,30±0.06/0.33±0.06/0.37±0.07/0.34±0.06/0.28±0.06であった。腋窩部最大吸気位周径-腋窩部最大呼気位周径(腋窩部拡張差)(cm)はrest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,5.77±1.72/5.62±1.69/5.65±1.72/5.57±1.71/5.51±1.72であった。臍帯部最大吸気位周径-臍帯部最大呼気位周径(臍帯部拡張差)(cm)rest,20%PImax,40%PImax,60%PImax,80%PImaxでそれぞれ,1.50±1.83/1.49±1.85/1.41±1.80/1.35±1.66/1.31±1.70であった。
統計学的検討の結果,横隔膜筋厚は20%PImaxと60%PImaxを除く全ての負荷間で有意差を認めた(p<0.05)。腋窩部拡張差はrestと80%PImax間でのみ有意差を認めた(p<0.05)。臍帯部拡張差は有意差を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究の結果から,横隔膜の収縮を目的とするのであれば40%PImaxが適していることが明らかとなった。また,80%PImaxの高負荷のみ胸郭の拡張が最終域に達せず,横隔膜筋厚は最小であったことから横隔膜の収縮は胸郭の拡張域によって異なる可能性が示唆された。