[O-RS-04-3] 男性COPD患者における過換気IC測定法の再現性と動的肺過膨張の指標としての有用性の検証
キーワード:慢性閉塞性肺疾患, 過換気IC測定法, 動的肺過膨張
【はじめに,目的】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のADL,身体活動量などを阻害する症状は,動作時の呼吸困難である。呼吸困難の最大の要因は,air-trappingによる肺の過膨張が挙げられる。特に,動作に伴う動的肺過膨張の抑制は,COPD患者の最優先治療の一つとされている。我々は,これまで健常成人に対する過換気直後に最大吸気のみを行う,簡便な過換気IC測定法の報告を行った。その中で,過換気IC測定法は,再現性を有し,従来の方法と比較しても差異なく実施できたことを報告した。
そこで,本研究の目的は,過換気IC測定法が,COPD患者に対し信頼性を有するのかを検証し,更に,動的肺過膨張の指標となりうるのかを検証することとした。
【方法】
対象者は,男性COPD患者27名(平均年齢67.6±9.9歳,StageI期7名,StageII期13名,StageIII期5名,StageIV期2名)とした。主要測定指標は,IC変化率とし,説明測定指標は,FEV1,FEV1%,%FEV1,AT,BMI,漸増シャトルウォーキング(ISW)距離,ISW試験前後のSpO2,PR,呼吸困難感,下肢疲労感の変化量,St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)の得点,COPD Assessment Test(CAT)とした。過換気IC測定法は,電子メトロノームを用いて呼吸数20回/分,40回/分で30秒間呼吸し,その後,最大吸気位まで吸気を行う方法とした。そして,20回/分,40回/分の呼吸数で得られたICの差を,20回/分のICで除して算出した値をIC変化率とした。測定は,2回実施し,その最良値を採用した。統計学的解析は,過換気IC測定法の信頼性は,級内相関係数ICC(1,2),およびICC(1,1)を用いて,その再現性分析した。また,過換気IC測定法で得られた変化率と説明測定指標との相関を,Pearsonの積率相関係数を用いて分析した。なお,統計学的有意水準は5%とし,統計解析ソフトはSPSSを使用した。
【結果】
過換気IC測定法(20回)における,ICC(1,2)はr=0.967,ICC(1,1)はr=0.936,過換気IC測定法(40回)における,ICC(1,2)はr=0.987,ICC(1,1)はr=0.975非常に高い再現性を有していた。IC変化率と説明測定指標との相関は,FEV1(r=-0.429,p<0.05),FEV1%(r=-0.476,p<0.05),%FEV1(r=-0.485,p<0.05),ISW距離(r=-0.426,p<0.05)と有意な負の相関を認めた。それ以外の説明測定指標との相関は認められなかった。ATとISW距離との相関は認められなかった。
【考察】
過換気IC測定法は,呼吸数20回/分,40回/分共に高い再現性を有していた。更に,ICC(1,1)においても高い級内相関が得られたことから,複数回実施することなく,高い信頼性を有する測定法であることが示唆された。また,IC変化率と気流制限の指標および,ISW距離とも有意な相関を示しており,動的肺過膨張の指標となりうる可能性が示唆された。今後は,より客観的,かつ精度の高い指標を用いて,過換気IC測定法が,動的肺過膨張の指標となりうるのかを検証していきたい。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のADL,身体活動量などを阻害する症状は,動作時の呼吸困難である。呼吸困難の最大の要因は,air-trappingによる肺の過膨張が挙げられる。特に,動作に伴う動的肺過膨張の抑制は,COPD患者の最優先治療の一つとされている。我々は,これまで健常成人に対する過換気直後に最大吸気のみを行う,簡便な過換気IC測定法の報告を行った。その中で,過換気IC測定法は,再現性を有し,従来の方法と比較しても差異なく実施できたことを報告した。
そこで,本研究の目的は,過換気IC測定法が,COPD患者に対し信頼性を有するのかを検証し,更に,動的肺過膨張の指標となりうるのかを検証することとした。
【方法】
対象者は,男性COPD患者27名(平均年齢67.6±9.9歳,StageI期7名,StageII期13名,StageIII期5名,StageIV期2名)とした。主要測定指標は,IC変化率とし,説明測定指標は,FEV1,FEV1%,%FEV1,AT,BMI,漸増シャトルウォーキング(ISW)距離,ISW試験前後のSpO2,PR,呼吸困難感,下肢疲労感の変化量,St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)の得点,COPD Assessment Test(CAT)とした。過換気IC測定法は,電子メトロノームを用いて呼吸数20回/分,40回/分で30秒間呼吸し,その後,最大吸気位まで吸気を行う方法とした。そして,20回/分,40回/分の呼吸数で得られたICの差を,20回/分のICで除して算出した値をIC変化率とした。測定は,2回実施し,その最良値を採用した。統計学的解析は,過換気IC測定法の信頼性は,級内相関係数ICC(1,2),およびICC(1,1)を用いて,その再現性分析した。また,過換気IC測定法で得られた変化率と説明測定指標との相関を,Pearsonの積率相関係数を用いて分析した。なお,統計学的有意水準は5%とし,統計解析ソフトはSPSSを使用した。
【結果】
過換気IC測定法(20回)における,ICC(1,2)はr=0.967,ICC(1,1)はr=0.936,過換気IC測定法(40回)における,ICC(1,2)はr=0.987,ICC(1,1)はr=0.975非常に高い再現性を有していた。IC変化率と説明測定指標との相関は,FEV1(r=-0.429,p<0.05),FEV1%(r=-0.476,p<0.05),%FEV1(r=-0.485,p<0.05),ISW距離(r=-0.426,p<0.05)と有意な負の相関を認めた。それ以外の説明測定指標との相関は認められなかった。ATとISW距離との相関は認められなかった。
【考察】
過換気IC測定法は,呼吸数20回/分,40回/分共に高い再現性を有していた。更に,ICC(1,1)においても高い級内相関が得られたことから,複数回実施することなく,高い信頼性を有する測定法であることが示唆された。また,IC変化率と気流制限の指標および,ISW距離とも有意な相関を示しており,動的肺過膨張の指標となりうる可能性が示唆された。今後は,より客観的,かつ精度の高い指標を用いて,過換気IC測定法が,動的肺過膨張の指標となりうるのかを検証していきたい。