[O-SN-01-4] 先天性心疾患手術後に急性期理学療法を実施されたダウン症児の術後経過
Keywords:先天性心疾患, ダウン症, 急性期理学療法
【はじめに】我々は先天性心疾患児の術後急性期理学療法に取り組んでおり,これまでダウン症などの遺伝子疾患を有しない先天性心疾患児の術後理学療法を施行したときの粗大運動能力の回復と影響因子について報告してきた。しかし,4割程度に先天性心疾患を有するダウン症児における術後急性期の特性は不明であり,今回我々は当院で先天性心疾患手術後に急性期理学療法を実施したダウン症児の術後の粗大運動能力の変化および呼吸器合併症の発生率に注目し調査を行った。
【方法】対象は2012年4月から2015年3月までに当院で非チアノーゼ型先天性心疾患に対して手術が施行され,かつ理学療法介入した39例のうち,遺伝子疾患を有しないコントロール群28例(手術時日齢156.4±121.4日)とダウン症児群11例(手術時日齢361.6±383.4日)。理学療法は,粗大運動能力の改善を目的とした運動療法と呼吸器合併症の予防改善を目的とした呼吸理学療法を実施した。粗大運動能力の評価として,我々の作成した9-grade mobility assessment scaleを用い,術後mobility gradeの経過と術前mobility gradeまで回復するのに要した期間(回復期間)を後方視的に調査した。また,手術時間,人工呼吸器装着時間,ICU在室時間,術後入院期間および術後呼吸器合併症について調査し,2群間の比較にMann-WhitneyのU検定を用いた(p<0.05)。
【結果】粗大運動能力が理学療法開始時(術後5.0±4.5日)に術前よりも低下していた割合はコントロール群vsダウン症児群で78.5%(22例)vs 81.1%(9例)であった。回復期間は9.8±6.6日 vs 12.2±9.3日となり(p=0.67),コントロール群の1例を除き退院までに術前のmobility gradeまで回復した。手術時間,人工呼吸器装着時間,ICU在室時間,術後入院期間のいずれも2群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。無気肺などの呼吸器合併症はほとんどが理学療法介入前に発生し,その発生率は7.1%(2例)vs 36.4%(4例)で認められた。また,術後入院期間30日以上はコントロール群1例でダウン症児群2例であり,3例とも術後呼吸器合併症を併発していた。
【考察】回復期間も含めて2群間に有意差は認められず,ダウン症特有の低筋緊張や発達遅滞は理学療法施行下においては術後急性期の粗大運動の回復期間に影響しないと考えられた。ダウン症児は元々呼吸器疾患を来しやすいとされるが,本調査でも術後呼吸器合併症の発生率がダウン症児群で高かった。術後におけるダウン症児の急性期では,運動療法と並行して特に呼吸器合併症を念頭に置き,早期から十分な呼吸理学療法の実施を考慮する必要があると考えられた。
【方法】対象は2012年4月から2015年3月までに当院で非チアノーゼ型先天性心疾患に対して手術が施行され,かつ理学療法介入した39例のうち,遺伝子疾患を有しないコントロール群28例(手術時日齢156.4±121.4日)とダウン症児群11例(手術時日齢361.6±383.4日)。理学療法は,粗大運動能力の改善を目的とした運動療法と呼吸器合併症の予防改善を目的とした呼吸理学療法を実施した。粗大運動能力の評価として,我々の作成した9-grade mobility assessment scaleを用い,術後mobility gradeの経過と術前mobility gradeまで回復するのに要した期間(回復期間)を後方視的に調査した。また,手術時間,人工呼吸器装着時間,ICU在室時間,術後入院期間および術後呼吸器合併症について調査し,2群間の比較にMann-WhitneyのU検定を用いた(p<0.05)。
【結果】粗大運動能力が理学療法開始時(術後5.0±4.5日)に術前よりも低下していた割合はコントロール群vsダウン症児群で78.5%(22例)vs 81.1%(9例)であった。回復期間は9.8±6.6日 vs 12.2±9.3日となり(p=0.67),コントロール群の1例を除き退院までに術前のmobility gradeまで回復した。手術時間,人工呼吸器装着時間,ICU在室時間,術後入院期間のいずれも2群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。無気肺などの呼吸器合併症はほとんどが理学療法介入前に発生し,その発生率は7.1%(2例)vs 36.4%(4例)で認められた。また,術後入院期間30日以上はコントロール群1例でダウン症児群2例であり,3例とも術後呼吸器合併症を併発していた。
【考察】回復期間も含めて2群間に有意差は認められず,ダウン症特有の低筋緊張や発達遅滞は理学療法施行下においては術後急性期の粗大運動の回復期間に影響しないと考えられた。ダウン症児は元々呼吸器疾患を来しやすいとされるが,本調査でも術後呼吸器合併症の発生率がダウン症児群で高かった。術後におけるダウン症児の急性期では,運動療法と並行して特に呼吸器合併症を念頭に置き,早期から十分な呼吸理学療法の実施を考慮する必要があると考えられた。