[O-SP-01-5] 片脚着地動作における膝関節外反モーメントの発生の有無が切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさに与える影響
Keywords:膝前十字靱帯損傷, 片脚着地, 三次元動作解析
【はじめに,目的】
膝前十字靭帯(ACL)損傷は多くのスポーツ選手の競技復帰を困難にする重篤な外傷の一つである。バスケットボールやハンドボール,ラグビーなどのスポーツ活動中の非接触型ACL損傷は着地動作や切り返し動作において受傷することが多い。
非接触型ACL損傷のリスクとして着地動作や切り返し動作における膝関節外反モーメントの増大があげられる。ACL損傷予防やACL再建術後の理学療法において評価することの多い片脚着地動作では,膝関節外反モーメントが発生する者としない者に分かれることを報告した(第51回PT学会)。片脚着地動作における膝関節外反モーメントの発生の有無が受傷機転である切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさに影響するかは明らかにされていない。
本研究では,片脚着地動作における膝関節外反モーメントの評価によって切り返し動作における膝関節外反モーメントを評価することができるか検討することを目的とする。
【方法】
対象は男子ラグビー選手21名42脚(年齢20.9±2.8歳,身長171.6±4.0cm,体重75.4±7.1kg)とした。動作課題として30cm台からの片脚着地動作および切り返し動作(サイドステップカッティング)を設定した。動作解析は3次元動作解析装置(200Hz)と床反力計(1,000Hz)を同期して計測した。足部接地から500msまでの膝関節外反モーメントを算出し,最大値を結果として用い,体重で除し標準化した。
片脚着地動作における膝関節外反モーメントが発生した14脚を発生群(0.19±0.10Nm/kg),発生しなかった27脚を非発生群(-0.17±0.17Nm/kg)とした。各群の切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさを対応のないt検定を用いて比較した。また,全体および各群の膝関節外反モーメントについて動作間の関連をPearsonの積率相関係数を用いて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさは発生群1.85±0.32 Nm/kg,非発生群1.24±0.49 Nm/kgであり,発生群が有意に大きかった(p<0.01)。全体の膝関節外反モーメントについて動作間に有意な正の相関関係が認められた(r=0.60,p<0.01)。発生群,非発生群ともに膝関節外反モーメントについて動作間の有意な相関関係は認められなかった。
【結論】
片脚着地動作における膝関節外反モーメントの発生の有無が切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさを評価できることが示唆された。しかし,片脚着地動作における膝関節外反モーメントが大きければ切り返し動作における膝関節外反モーメントが大きいとは限らず,片脚着地動作における膝関節外反モーメントの評価だけでは切り返し動作における膝外反モーメントを十分に評価することはできないと考えられる。
膝前十字靭帯(ACL)損傷は多くのスポーツ選手の競技復帰を困難にする重篤な外傷の一つである。バスケットボールやハンドボール,ラグビーなどのスポーツ活動中の非接触型ACL損傷は着地動作や切り返し動作において受傷することが多い。
非接触型ACL損傷のリスクとして着地動作や切り返し動作における膝関節外反モーメントの増大があげられる。ACL損傷予防やACL再建術後の理学療法において評価することの多い片脚着地動作では,膝関節外反モーメントが発生する者としない者に分かれることを報告した(第51回PT学会)。片脚着地動作における膝関節外反モーメントの発生の有無が受傷機転である切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさに影響するかは明らかにされていない。
本研究では,片脚着地動作における膝関節外反モーメントの評価によって切り返し動作における膝関節外反モーメントを評価することができるか検討することを目的とする。
【方法】
対象は男子ラグビー選手21名42脚(年齢20.9±2.8歳,身長171.6±4.0cm,体重75.4±7.1kg)とした。動作課題として30cm台からの片脚着地動作および切り返し動作(サイドステップカッティング)を設定した。動作解析は3次元動作解析装置(200Hz)と床反力計(1,000Hz)を同期して計測した。足部接地から500msまでの膝関節外反モーメントを算出し,最大値を結果として用い,体重で除し標準化した。
片脚着地動作における膝関節外反モーメントが発生した14脚を発生群(0.19±0.10Nm/kg),発生しなかった27脚を非発生群(-0.17±0.17Nm/kg)とした。各群の切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさを対応のないt検定を用いて比較した。また,全体および各群の膝関節外反モーメントについて動作間の関連をPearsonの積率相関係数を用いて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさは発生群1.85±0.32 Nm/kg,非発生群1.24±0.49 Nm/kgであり,発生群が有意に大きかった(p<0.01)。全体の膝関節外反モーメントについて動作間に有意な正の相関関係が認められた(r=0.60,p<0.01)。発生群,非発生群ともに膝関節外反モーメントについて動作間の有意な相関関係は認められなかった。
【結論】
片脚着地動作における膝関節外反モーメントの発生の有無が切り返し動作における膝関節外反モーメントの大きさを評価できることが示唆された。しかし,片脚着地動作における膝関節外反モーメントが大きければ切り返し動作における膝関節外反モーメントが大きいとは限らず,片脚着地動作における膝関節外反モーメントの評価だけでは切り返し動作における膝外反モーメントを十分に評価することはできないと考えられる。