[O-SP-02-5] 大学生サッカー選手における足部横アーチと下肢の傷害との関連性について
Keywords:足部横アーチ, サッカー, 傷害
【はじめに,目的】
サッカー選手の傷害は,下肢に最も頻繁に生じると報告されている。そのため,筋力・柔軟性などの下肢の身体特性や縦アーチ・Q角などの下肢アライメントとサッカー選手の傷害との関連を調査した研究は多い。しかし,足部アライメントの横アーチとサッカー選手の傷害との関連を調査した研究は見受けられない。一般的に横アーチは縦アーチと同様に,地面からの衝撃吸収や重心安定のために重要なものとされている。また,横アーチは下肢の代表的なスポーツ傷害のシンスプリントと関連があると報告されているため,サッカー選手の傷害との関連があると考えられる。そこで,本研究の目的はサッカー選手における横アーチと下肢の傷害との関連を検討する事とした。
【方法】
本研究は大学男子サッカー部に所属する選手62名(20.5±1.2歳)を対象とした。質問紙にて基本情報(身長,年齢)と1年以内に生じた足部と膝の傷害の既往歴の有無について聴取した。体重は体重計を用いて計測した。身体特性として足関節背屈可動域と足趾把持力,下肢アライメントとして横アーチと縦アーチ,leg heel alignment(LHA),踵骨傾斜角(HA),Q角を計測し,重心動揺も同時に計測した。背屈可動域は膝伸展位と屈曲位をゴニオメーターを用いて,足趾把持力は足趾筋力測定器を用いて測定した。また,横アーチと縦アーチは荷重位で評価した。横アーチでは,超音波画像診断装置で足底面から撮影した画像から,内側種子骨と第5中足骨を結んだ線分(MS5M)と第2中足骨との距離(TAH)を算出し,両者の百分率値(TAH/MS5M×100)を体重で除したものを横アーチ高率とした。縦アーチでは,床面から舟状骨の高さを体重で除したものを縦アーチ高とした。LHA,HAは静止立位時の足部を後方から撮影し,画像解析にて算出した。Q角はゴニオメーターを用いて測定した。重心動揺は,重心動揺測定器で30秒間の片脚立位時の重心の軌跡長を算出した。統計解析は,対象者の両足124足を対象とし,1年以内の足部と膝における傷害の既往歴の有無で2群に群分けした。その2群で,対応のないt検定を用いて上記の測定値を比較した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象124足のうち,傷害有群は47足,傷害無群は77足であった。t検定の結果,横アーチ高率は傷害無群と比べて有群の方が小さかった(P=0.015)。また,傷害無群と比べて有群の方が膝伸展位の背屈可動域は有意に小さく(P=0.044),重心の軌跡長は有意に長かった(P=0.016)。その他の測定項目では,有意差はなかった。
【結論】
本研究の結果,傷害有群の足が無群の足と比較して,横アーチ高が低く,膝伸展位の背屈可動域が小さく,重心動揺が大きいことが明らかになった。横アーチは地面からの衝撃吸収や重心安定の機能を持つ。そのため,横アーチが低いと,衝撃が下肢に伝わる事や,重心が安定しない事が原因で傷害が生じると考えられる。
サッカー選手の傷害は,下肢に最も頻繁に生じると報告されている。そのため,筋力・柔軟性などの下肢の身体特性や縦アーチ・Q角などの下肢アライメントとサッカー選手の傷害との関連を調査した研究は多い。しかし,足部アライメントの横アーチとサッカー選手の傷害との関連を調査した研究は見受けられない。一般的に横アーチは縦アーチと同様に,地面からの衝撃吸収や重心安定のために重要なものとされている。また,横アーチは下肢の代表的なスポーツ傷害のシンスプリントと関連があると報告されているため,サッカー選手の傷害との関連があると考えられる。そこで,本研究の目的はサッカー選手における横アーチと下肢の傷害との関連を検討する事とした。
【方法】
本研究は大学男子サッカー部に所属する選手62名(20.5±1.2歳)を対象とした。質問紙にて基本情報(身長,年齢)と1年以内に生じた足部と膝の傷害の既往歴の有無について聴取した。体重は体重計を用いて計測した。身体特性として足関節背屈可動域と足趾把持力,下肢アライメントとして横アーチと縦アーチ,leg heel alignment(LHA),踵骨傾斜角(HA),Q角を計測し,重心動揺も同時に計測した。背屈可動域は膝伸展位と屈曲位をゴニオメーターを用いて,足趾把持力は足趾筋力測定器を用いて測定した。また,横アーチと縦アーチは荷重位で評価した。横アーチでは,超音波画像診断装置で足底面から撮影した画像から,内側種子骨と第5中足骨を結んだ線分(MS5M)と第2中足骨との距離(TAH)を算出し,両者の百分率値(TAH/MS5M×100)を体重で除したものを横アーチ高率とした。縦アーチでは,床面から舟状骨の高さを体重で除したものを縦アーチ高とした。LHA,HAは静止立位時の足部を後方から撮影し,画像解析にて算出した。Q角はゴニオメーターを用いて測定した。重心動揺は,重心動揺測定器で30秒間の片脚立位時の重心の軌跡長を算出した。統計解析は,対象者の両足124足を対象とし,1年以内の足部と膝における傷害の既往歴の有無で2群に群分けした。その2群で,対応のないt検定を用いて上記の測定値を比較した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象124足のうち,傷害有群は47足,傷害無群は77足であった。t検定の結果,横アーチ高率は傷害無群と比べて有群の方が小さかった(P=0.015)。また,傷害無群と比べて有群の方が膝伸展位の背屈可動域は有意に小さく(P=0.044),重心の軌跡長は有意に長かった(P=0.016)。その他の測定項目では,有意差はなかった。
【結論】
本研究の結果,傷害有群の足が無群の足と比較して,横アーチ高が低く,膝伸展位の背屈可動域が小さく,重心動揺が大きいことが明らかになった。横アーチは地面からの衝撃吸収や重心安定の機能を持つ。そのため,横アーチが低いと,衝撃が下肢に伝わる事や,重心が安定しない事が原因で傷害が生じると考えられる。