[O-SP-04-3] 中学生野球選手におけるワインドアップ時と足部接地時の骨盤アライメントの関係
Keywords:投球動作, 三次元動作解析, 骨盤傾斜角
【はじめに,目的】投球動作において,wind up期における骨盤及び体幹の後方傾斜は,投球障害と関連している代表的な問題点として挙げられている(山口1996)。また,早期cocking期で骨盤後傾位を呈した選手のほとんどが,wind up期から後傾位であったと報告されている(遠藤ら2014)。しかし,これらは定性的分析であり,wind up期の骨盤傾斜角度と早期cocking期の骨盤傾斜角度との関係を定量的に分析した報告は少ない。今回,中学生野球選手における投球動作の三次元動作解析を行い,wind up期の骨盤傾斜角度とステップ脚(右投げの左脚)足部接地(FC)時の骨盤傾斜角度の関係を分析した。
【方法】対象は,投球時痛のない中学校軟式野球部員26名(野球歴4.6±2.1年)であった。対象に18.44m先の標的に向けて全力投球させた。同期した4台のハイスピードカメラ(200Hz)を用い,その様子を撮影した。対象が「最もイメージ通りに投げられた」と感じた試技を分析した。動画解析ソフトを用い,DLT法によりランドマークに貼付した各反射マーカーの三次元座標値を得た。得られた座標値から骨盤前傾角度(両上前腸骨棘中点と両上後腸骨棘中点の結線と水平面がなす角度)を算出した。ステップ脚最大挙上時(以下,脚最大挙上時)からFC時までの所要時間を100%に規格化し,脚最大挙上時を0%,FC時を100%とした。ピアソンの相関係数を用い,脚最大挙上時とFC時における骨盤前傾角度の関係を分析した。また,対象毎に脚最大挙上時及びFC時の骨盤アライメントを前傾位と後傾位に分類し,その組み合わせを検討した。
【結果】骨盤前傾角度は,脚最大挙上時が-8.9±10.1度,FC時が1.0±8.5度であり,有意な正の相関が認められた(r=0.61,p=0.001)。脚最大挙上時に骨盤前傾位は26名中4名(全体の15%)で,そのうちFCに前傾位は3名75%,後傾位は1名25%であった。脚最大挙上時に骨盤後傾位は26名中22名(全体の85%)で,そのうちFCに前傾位は13名59%,後傾位は9名41%であった。
【結論】ステップ脚最大挙上時とFC時の骨盤傾斜角度に相関関係が認められ,先行研究の定性的分析を支持する結果となった。しかし,脚最大挙上時に骨盤後傾位であった対象の半数以上は,FC時では前傾位を呈しており,早期cocking期の中で傾斜角度が変化する場合もあった。そのため,必ずしもwind up期の後傾位が問題にはならず,wind up期に対するアプローチは,その後の位相への影響を考慮した上で,個別に対応する必要があると考える。
【方法】対象は,投球時痛のない中学校軟式野球部員26名(野球歴4.6±2.1年)であった。対象に18.44m先の標的に向けて全力投球させた。同期した4台のハイスピードカメラ(200Hz)を用い,その様子を撮影した。対象が「最もイメージ通りに投げられた」と感じた試技を分析した。動画解析ソフトを用い,DLT法によりランドマークに貼付した各反射マーカーの三次元座標値を得た。得られた座標値から骨盤前傾角度(両上前腸骨棘中点と両上後腸骨棘中点の結線と水平面がなす角度)を算出した。ステップ脚最大挙上時(以下,脚最大挙上時)からFC時までの所要時間を100%に規格化し,脚最大挙上時を0%,FC時を100%とした。ピアソンの相関係数を用い,脚最大挙上時とFC時における骨盤前傾角度の関係を分析した。また,対象毎に脚最大挙上時及びFC時の骨盤アライメントを前傾位と後傾位に分類し,その組み合わせを検討した。
【結果】骨盤前傾角度は,脚最大挙上時が-8.9±10.1度,FC時が1.0±8.5度であり,有意な正の相関が認められた(r=0.61,p=0.001)。脚最大挙上時に骨盤前傾位は26名中4名(全体の15%)で,そのうちFCに前傾位は3名75%,後傾位は1名25%であった。脚最大挙上時に骨盤後傾位は26名中22名(全体の85%)で,そのうちFCに前傾位は13名59%,後傾位は9名41%であった。
【結論】ステップ脚最大挙上時とFC時の骨盤傾斜角度に相関関係が認められ,先行研究の定性的分析を支持する結果となった。しかし,脚最大挙上時に骨盤後傾位であった対象の半数以上は,FC時では前傾位を呈しており,早期cocking期の中で傾斜角度が変化する場合もあった。そのため,必ずしもwind up期の後傾位が問題にはならず,wind up期に対するアプローチは,その後の位相への影響を考慮した上で,個別に対応する必要があると考える。