[O-TK-01-3] 地域高齢者における自覚的年齢と運動機能,主観的健康度および転倒との関係
Keywords:地域高齢者, 自覚的年齢, 主観的健康度
【はじめに】高齢者における心理状態は健康行動に影響すると考えられており,前向き思考の高齢者は運動習慣が定着しやすいなど,健康状態に良好な影響を与える可能性が高い。また自覚的年齢が実年齢より若いことは心疾患などによる死亡率や骨折後の機能回復などと関連すると報告されている。しかし,自覚的年齢と実年齢との差が歩行能力や下肢筋力などの運動機能や主観的健康度と関連するかについては十分な検討はなされていない。本研究の目的は地域在住高齢者の自覚的年齢と心身機能および転倒経験との関連性を明らかにすることである。
【方法】対象は奈良県A市在住の地域在住高齢者465名(平均年齢77.5±6.7歳)である。自覚的年齢は「あなたの気持ちの年齢は実際の年齢より若いですか」との設問と具体的な自覚的年齢を記載するようにし,実年齢との差を年齢ギャップとして定義した(実年齢より若い場合をプラス表記)。その他の評価として,身体機能面では複合動作能力の指標としてTimed Up and Go Test(TUG),脚力の指標には30秒立ち上がりテスト(CS-30)を用い,身体柔軟性の評価には椅座位体前屈距離を測定した。また質問紙票にて個人レベルのソーシャルキャピタル強度をその3要素である近隣住民への信頼および交流,社会参加の多さで評価し,主観的健康度および過去1年の転倒有無についても聴取した。主観的健康度は「よい=5点」から「よくない=1点」の5段階Likert scaleで評価した。データ解析は年齢ギャップと各評価指標との関連についての相関分析と転倒経験の有無による年齢ギャップの比較を中心に行った。
【結果】対象者の自覚的年齢は67.9±9.2歳であり実年齢よりも有意に若く(p<0.01),実年齢とのギャップは8.3±6.2歳であった。年齢ギャップの大きさと運動機能との単純相関分析では全ての項目に有意な相関を認めた。年齢ギャップとTUGでは有意な負の相関を示し(r=-0.22,p<0.01),CS-30(r=0.14,p=0.02)および椅座位体前屈距離(r=0.12,p<0.05)とは正の相関を示した。また年齢ギャップは主観的健康度とも正の相関を示した(ρ=0.25,p<0.01)。転倒経験の有無による比較においては統計学的な差は検出されなかったが,転倒経験者において年齢ギャップが大きい傾向を示した(p=0.09)。
【結論】地域高齢者において実年齢より若いと感じる大きさは運動機能の高さと関連し,自身の健康度に影響を与えている可能性が示唆された。本研究は横断的調査のため,これらの因果関係については明らかではないが,気持ちを若く保つ事が運動機能予後に関連し,このことは健康増進・介護予防領域における行動変容アプローチへの一助となる可能性がある。今後は同評価を経年的に実施し,自覚的年齢の変化および心身機能面の変化を前向きに調査していく予定である。
【方法】対象は奈良県A市在住の地域在住高齢者465名(平均年齢77.5±6.7歳)である。自覚的年齢は「あなたの気持ちの年齢は実際の年齢より若いですか」との設問と具体的な自覚的年齢を記載するようにし,実年齢との差を年齢ギャップとして定義した(実年齢より若い場合をプラス表記)。その他の評価として,身体機能面では複合動作能力の指標としてTimed Up and Go Test(TUG),脚力の指標には30秒立ち上がりテスト(CS-30)を用い,身体柔軟性の評価には椅座位体前屈距離を測定した。また質問紙票にて個人レベルのソーシャルキャピタル強度をその3要素である近隣住民への信頼および交流,社会参加の多さで評価し,主観的健康度および過去1年の転倒有無についても聴取した。主観的健康度は「よい=5点」から「よくない=1点」の5段階Likert scaleで評価した。データ解析は年齢ギャップと各評価指標との関連についての相関分析と転倒経験の有無による年齢ギャップの比較を中心に行った。
【結果】対象者の自覚的年齢は67.9±9.2歳であり実年齢よりも有意に若く(p<0.01),実年齢とのギャップは8.3±6.2歳であった。年齢ギャップの大きさと運動機能との単純相関分析では全ての項目に有意な相関を認めた。年齢ギャップとTUGでは有意な負の相関を示し(r=-0.22,p<0.01),CS-30(r=0.14,p=0.02)および椅座位体前屈距離(r=0.12,p<0.05)とは正の相関を示した。また年齢ギャップは主観的健康度とも正の相関を示した(ρ=0.25,p<0.01)。転倒経験の有無による比較においては統計学的な差は検出されなかったが,転倒経験者において年齢ギャップが大きい傾向を示した(p=0.09)。
【結論】地域高齢者において実年齢より若いと感じる大きさは運動機能の高さと関連し,自身の健康度に影響を与えている可能性が示唆された。本研究は横断的調査のため,これらの因果関係については明らかではないが,気持ちを若く保つ事が運動機能予後に関連し,このことは健康増進・介護予防領域における行動変容アプローチへの一助となる可能性がある。今後は同評価を経年的に実施し,自覚的年齢の変化および心身機能面の変化を前向きに調査していく予定である。