[O-TK-04-6] 気仙沼訪問リハビリステーションにおける活動報告
Keywords:訪問リハビリステーション, 東日本大震災復興特別区域法, 離島・僻地
【目的】
平成23年3月11日の東日本大震災後,国は東日本大震災復興特別区域法(以下,特別区域法)を施行した(同年12月)。平成24年10月,「(一財)訪問リハビリテーション振興財団」が(公社)日本理学療法士協会,(一社)日本作業療法士協会,(一社)日本言語聴覚士協会により設立され,特別区域法に基づいた訪問リハビリテーション事業所整備推進事業を展開している。平成26年10月宮城県気仙沼市に筆者らの所属する「気仙沼訪問リハビリステーション」が福島県・岩手県に続き,開設された。今回は当事業所開設から現在までの経過について報告し,リハビリテーション資源の少ない地域での展開を考察する。
【活動報告】
宮城県北東部に位置する気仙沼医療圏は,震災以前から医療資源の少ない地域であり,人口10万人当たりの医師数は全国平均224.5人を下回る115.3人であった(平成20年3月現在)。震災後,生産年齢人口の減少(平成22年3月末の人口74,926人→平成28年6月末66,178人)や高齢化率の上昇(平成22年3月末30.1%→平成28年6月末35.5%(大島43%))が急速に進んだ地域であり,現在,10万人当たりの医師数は124.9人,介護保険における訪問リハビリテーション資源は,訪問リハビリテーション2事業所,訪問看護1事業所と極めて少なく,通所・施設系の資源も事業が縮小化している。また,気仙沼市には回復期リハビリテーション病棟がないため,介護保険サービスが回復期に対するリハビリテーションの役割を担うことも多い。
特別区域法による単独型訪問リハビリステーションの特色は,地域のかかりつけ医が共同で活用できる事業所であること,リハビリテーションの専門的視点から地域をマネジメントできる点である。一方,地域に則したサービス体系を構築するため,開設より多職種と積極的に連携を深めてきた。現在まで明確な目標設定に基づく訪問リハビリテーションの実施により,終了者全体の約3割(平成27年4月1日~平成28年3月31日)が目標達成で卒業している。また,訪問事業のみならず,気仙沼市からの受託で介護予防事業等へも積極的に参加してきた。特別区域法は平成29年3月で終了を迎えるが,地域の方々から事業継続を強く望まれているため,関係省庁へ働きかけを行っている。
今後は事業継続,訪問リハビリテーション終了後の追跡調査,医療保険でのサービス提供が課題と考えている。
【考察】
訪問リハビリ終了者の目標達成者が高値を示したのは,リハビリ専門職の予後予測に基づく,課題解決解散型のチームが数多く構築できたことが影響していると思われる。また,単独型訪問リハビリテーションは,医療機関が乏しい離島・僻地にこそ必要なサービスであると考えている。
【結論】
少子高齢化が進行している気仙沼の地で,医療機関等に属さない訪問リハビリテーション事業所の活動は,離島・僻地における高齢化対策の一助になるものと期待している。
平成23年3月11日の東日本大震災後,国は東日本大震災復興特別区域法(以下,特別区域法)を施行した(同年12月)。平成24年10月,「(一財)訪問リハビリテーション振興財団」が(公社)日本理学療法士協会,(一社)日本作業療法士協会,(一社)日本言語聴覚士協会により設立され,特別区域法に基づいた訪問リハビリテーション事業所整備推進事業を展開している。平成26年10月宮城県気仙沼市に筆者らの所属する「気仙沼訪問リハビリステーション」が福島県・岩手県に続き,開設された。今回は当事業所開設から現在までの経過について報告し,リハビリテーション資源の少ない地域での展開を考察する。
【活動報告】
宮城県北東部に位置する気仙沼医療圏は,震災以前から医療資源の少ない地域であり,人口10万人当たりの医師数は全国平均224.5人を下回る115.3人であった(平成20年3月現在)。震災後,生産年齢人口の減少(平成22年3月末の人口74,926人→平成28年6月末66,178人)や高齢化率の上昇(平成22年3月末30.1%→平成28年6月末35.5%(大島43%))が急速に進んだ地域であり,現在,10万人当たりの医師数は124.9人,介護保険における訪問リハビリテーション資源は,訪問リハビリテーション2事業所,訪問看護1事業所と極めて少なく,通所・施設系の資源も事業が縮小化している。また,気仙沼市には回復期リハビリテーション病棟がないため,介護保険サービスが回復期に対するリハビリテーションの役割を担うことも多い。
特別区域法による単独型訪問リハビリステーションの特色は,地域のかかりつけ医が共同で活用できる事業所であること,リハビリテーションの専門的視点から地域をマネジメントできる点である。一方,地域に則したサービス体系を構築するため,開設より多職種と積極的に連携を深めてきた。現在まで明確な目標設定に基づく訪問リハビリテーションの実施により,終了者全体の約3割(平成27年4月1日~平成28年3月31日)が目標達成で卒業している。また,訪問事業のみならず,気仙沼市からの受託で介護予防事業等へも積極的に参加してきた。特別区域法は平成29年3月で終了を迎えるが,地域の方々から事業継続を強く望まれているため,関係省庁へ働きかけを行っている。
今後は事業継続,訪問リハビリテーション終了後の追跡調査,医療保険でのサービス提供が課題と考えている。
【考察】
訪問リハビリ終了者の目標達成者が高値を示したのは,リハビリ専門職の予後予測に基づく,課題解決解散型のチームが数多く構築できたことが影響していると思われる。また,単独型訪問リハビリテーションは,医療機関が乏しい離島・僻地にこそ必要なサービスであると考えている。
【結論】
少子高齢化が進行している気仙沼の地で,医療機関等に属さない訪問リハビリテーション事業所の活動は,離島・僻地における高齢化対策の一助になるものと期待している。