The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本予防理学療法学会 » 口述発表

[O-YB-02] 口述演題(予防)02

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 11:50 AM B3会場 (東京ベイ幕張ホール No. 6)

座長:小松 泰喜(日本大学スポーツ科学部)

日本予防理学療法学会

[O-YB-02-4] 小学生の第1趾側角度の経時的変化

鹿内 和也1, 尾田 敦2, 石川 大瑛2, 川口 陽亮3, 吉田 深咲4, 前田 健太郎1, 浦本 史也1, 横山 寛子1, 伊藤 亮太1, 藤林 直樹1 (1.弘前大学大学院保健学研究科, 2.弘前大学教育研究院医学系保健科学領域, 3.近江整形外科, 4.あづま脳神経外科病院)

Keywords:小学生, 第1趾側角度, 経時的変化

【はじめに,目的】

外反母趾は小学6年生,中学生になると発症し始めるといわれているが,小学生時期における母趾の変形の経過は明らかになっていない。外反母趾の低侵襲検査法の1つとして第1趾側角度の計測があり,単純X線像と高い相関があると報告されている。本研究の目的は第1趾側角度を用いて小学生の外反母趾の経過を明らかにすることである。


【方法】

対象はA県H市内の某小学校に通っていた1年生の中で保護者から同意が得られた児童のうち6年生まで継続して調査可能であった79名(男子37名,女子42名)とした。第1趾側角度を計測するためにPedscopeを用いて安静静止立位における足底面を撮影した。その際,両後足部間および両第2趾間に15cmの間隔をあけ,体重を両足に均等にかけるように指示した。その後,画像解析ソフトimageJを用いて第1基節骨頭・第1中足骨頭・内果後方を指標とした第1趾側角度を計測した。

統計解析は男女で分け,左右それぞれの足で行った。1年時とそれ以降の学年の第1趾側角度を比較するために多重比較法としてDunnettの方法を用いた。統計ソフトにはSPSS16.0を使用し,有意水準は5%とした。


【結果】

各学年の第1趾側角度を平均±標準偏差(単位:°)(右/左)で示す。男子は1年8.4±3.8/9.4±4.0,2年8.1±4.1/8.7±3.8,3年8.7±3.4/8.9±3.9,4年9.8±4.1/9.2±3.7,5年10.3±3.8/10.9±4.0,6年10.2±4.2/11.0±4.1であった。女子は1年8.5±4.0/8.9±3.5,2年9.5±4.2/8.5±4.1,3年10.4±5.7/10.5±4.8,4年12.0±5.4/11.3±5.0,5年12.2±4.6/12.5±4.7,6年12.1±4.7/12.5±4.8であった。6年生の時点で少なくとも片足が第1趾側角度16°以上であった児童は男子7名(両足1名,右足3名,左足3名),女子14名(両足5名,右足3名,左足6名)であった。

男子の第1趾側角度は両足ともに1年時と比較して5年時以降に有意な増加が認められた。女子の第1趾側角度は両足ともに1年時と比較して3年時以降に有意な増加が認められた。


【結論】

本研究の結果では,小学生時期に第1趾側角度は増加し,外反母趾の基準値である16°を超える児童も数名みられた。女子の第1趾側角度の増加は男子よりも早く3年生付近から生じており,この時期の男女の違いとして第二次性徴が考えられた。男子でも高学年になると第1趾側角度の増加が生じており,この時期は一般的に部活動が始まる時期であるため,運動や運動靴が影響している可能性が考えられた。今後は部活動や運動靴と外反母趾との関連を検討していくとともに,外反母趾予防のため小学生時期から適切な靴や運動療法の指導を行っていくことが必要になってくると考えられた。