第52回日本理学療法学術大会

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日本予防理学療法学会 » 口述発表

[O-YB-05] 口述演題(予防)05

2017年5月13日(土) 16:50 〜 17:50 A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

座長:白谷 智子(苑田第二病院リハビリテーション科)

日本予防理学療法学会

[O-YB-05-5] 尿失禁を併発した膀胱瘤に対する理学療法の効果
~骨盤底機能と症状改善の検討~

井澤 美保1, 塙 美緒1, 八武崎 李菜1, 藤田 綾子1, 山崎 知美2, 柳澤 良三3 (1.IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院リハビリテーション科, 2.IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院看護部, 3.IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院泌尿器科)

キーワード:骨盤底筋体操, 尿失禁, 膀胱瘤

【はじめに,目的】

女性下部尿路症状に対する骨盤底筋体操は,腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁に対する行動療法として有用性が高いと報告されている。尿失禁の発生には骨盤底筋群の筋力・筋機能低下,膀胱頸部組織の脆弱化との関連が報告されている。継続した骨盤底筋体操の実施により骨盤底機能は改善し,尿失禁の改善に至ると考えられている。しかし,本邦では,症例に対しての効果を検証した報告は少ない。当院では2015年より泌尿器科医師の指示のもと,女性下部尿路症状に対する外来理学療法を実施している。今回,骨盤臓器脱の中で最も尿失禁を併発する膀胱瘤患者に対し,理学療法を実施した効果を検証したので報告する。


【方法】

2015年7月から2016年7月までに,膀胱瘤と診断された女性14名(平均年齢70.6±8.4歳)を対象とした。理学療法は,骨盤底筋体操(持続収縮練習,最大収縮での反復練習),腹式呼吸練習を実施し,自宅での自主トレーニングを指導した。効果検証は,失禁に対する自覚的評価International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form(ICIQ-SF),10秒間の骨盤底筋反復収縮回数,骨盤底筋持続収縮時間(秒)とした。測定した3項目を介入初回と3カ月後をそれぞれWilcoxonの順位和検定で比較検討した。統計処理はR2.8.1を使用し,有意水準p=0.05とした。


【結果】

ICIQ-SFは初回10±3.4点・3カ月後4.4±3.7点,反復収縮回数は初回6±2.7回・3カ月後8.1±1.9回,持続収縮時間は初回10.8±7.2秒・3カ月後17.1±11.0秒。全ての項目で,初回と3カ月後に有意差を認めた。


【結論】

尿失禁を併発する膀胱瘤患者に対し,骨盤底筋体操を中心とする理学療法介入を3カ月継続することで,尿失禁症状と骨盤底筋筋力・筋機能が改善した。