The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » 口述発表

[O-YB-06] 口述演題(予防)06

Sat. May 13, 2017 6:10 PM - 7:10 PM A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

座長:藤田 博曉(埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科)

日本予防理学療法学会

[O-YB-06-6] 自家造血幹細胞移植患者に対するB-SESの有用性の検討
シングルケーススタディ

中神 孝幸1, 新屋 順子1, 内藤 健助2, 高羽 理光2 (1.浜松医療センターリハビリテーション技術科, 2.浜松医療センター血液内科)

Keywords:造血幹細胞移植, 合併症, 神経筋電気刺激

【はじめに,目的】

造血幹細胞移植患者では,治療による各種移植関連合併症により,理学療法(以下PT)の中断を余儀なくされることが多い。今回,自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を施行した患者に対して,積極的なPT介入が困難な期間に,ベルト式骨格筋電気刺激(Belt electrode-Skeletal muscle Electrical Stimulation:以下B-SES)を施行したので,その効果を検討した。


【方法】

症例はホジキンリンパ腫再発と診断され,当院に自家造血幹細胞移植併用大量化学療法目的に入院した女性患者1例である。4病日よりPTが介入し,5病日より39病日までB-SESを実施した。骨格筋電気刺激にはAuto Tens PRO Rehabili Unit(ホーマーイオン社)を使用した。刺激時間20分,周波数20Hz,強度は耐性可能な最大強度とし,骨髄抑制期には紫斑や疼痛の出現に注意した。18~21病日に大量化学療法が施行され,消化器症状により食事摂取量や身体活動量が低下した。積極的な介入は控えB-SESとベッド上でのPTのみの実施とした。22病日自家造血幹細胞移植施行後は,消化器症状に留意し離床を進めた。32病日生着確認。生着確認後はPTの負荷を漸増し,44病日自宅退院となった。評価項目は,体重,Skeletal Muscle mass Index(以下SMI),握力,6分間歩行距離(以下6MWD),30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30),Functional Assesment of Cancer Therapy-General(以下FACT-G),Cancer Fatigue Scale(以下CFS),Hospital Anxiety and Depression Scale(以下HADS),運動セルフ・エフィカシー(以下運動SE)とした。評価時期は入院後・生着後1週間以内とした。


【結果】

評価結果を以下,入院時→生着後にて示す。体重:58.7→56.7kg,SMI:9.1→8.9kg/m2,握力:22.7→19.7kg,6MWD:360→385m,CS-30:15→17回であった。FACT-Gの全ての下位尺度で低下を認め,CFS:11→34点,HADS不安スコア:7→10点,HADS抑うつスコア:2→6点,健康関連QOLや倦怠感,不安・抑うつなどは悪化傾向を示した。運動SE:12→15点,運動に対する自己効力感が向上した。


【結論】

治療開始時からB-SESを導入することで運動への意欲や理解が得られ,積極的なPT介入が困難な期間にもB-SESは継続可能であった。それにより,不安や抑うつの解消,筋肉量の増加には至らなかったが,運動に対する自己効力感が向上したことが運動機能の維持に繋がったと考えた。造血幹細胞移植患者におけるB-SESは,運動療法の一助になり得ると考えた。